株に関するニュースの中で、最も多く目にするのが「日経平均株価」という言葉です。
これは、「日経平均」という名の株式が存在するのではありません。あくまで「平均株価」という名の指標です。
では、一体何の「平均」なのか、なぜ日経平均株価がよく話題になるのか。今回はそんな疑問を解説してまいります。
日経平均は「平均株価」「日経225」とも呼ばれます
ニュース等で「株価が上がった」「下がった」というとき、日経平均株価のことを指していることも多いです。実際、日経平均株価は、日本経済のバロメーターでもあります。
株式市場では、多くの企業の株式が取引されています。
その中で、東証1部に上場している代表的な銘柄を、業種のバランスを考えて225社選び出し、この225社の値動きに注目して、国内の株式全体の傾向をつかもうというわけです。
225社の内容は年に1度見直しが行われています。その時々によって代表的と呼べる企業は変わっていくからです。
最近のわかりやすい例としては2018年にサイバーエージェント、2016年には楽天、2015年にはディー・エヌ・エーが新規採用されるなど、IT企業が増えています。2019年には、バンダイナムコホールディングスが採用されました。
そして、ここが誤解されがちな点なのですが、「日経平均株価」とは、225銘柄の株価を足して225で割った、というものではありません。
225銘柄の入れ替えが行われた時、外れた企業と新規に採用された企業では一株あたりの値段が違います。
この時、例えば一株が数百円の銘柄を外し、一株が数万円の銘柄を採用した場合、桁が大きく違うため単純計算に馴染みません。
連続性がなくなり、過去との比較ができなくなってしまうからです。
このような事態にならないように、様々な補正を加え、「日経平均株価」は算出されています。
つまり日経平均株価とは「株価の平均」ではなく、「代表的な企業225社の株価を元に算出された『指数』」なのです。
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日経平均株価を構成する代表的な銘柄
では225銘柄には、どのような企業が選ばれているのでしょうか。
ほとんどが、誰もが知っているような大企業です。
例えば自動車業界ではトヨタ自動車やホンダ(本田技研工業) など、電機メーカーであればソニーやパナソニック、通信はNTT(日本電信電話) やソフトバンク、メガバンクや証券会社、保険会社、鉄道会社、不動産会社、商社、鉄道会社など幅広く含まれます。
また、小売業ではユニクロでおなじみのファーストリテイリングや三越伊勢丹ホールディングスなど、まさに日本を代表する銘柄です。(2019年8月現在)
ちなみに、日経平均株価は1950年から算出が始まりました。その当時から現在まで採用され続けている企業もあります。
例えばキッコーマン、TOTO、ヤマハ、などです。
歴史あるブランド力を維持してきた企業とも言えるでしょう。
また、旭化成や富士フイルムなどは、当初のイメージとは違う幅広いビジネスを展開し、時代の移り変わりに左右されることなく企業価値を守ってきた銘柄でもあります。
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歴史的な金融危機と日経平均株価
過去には、世界規模の大きな金融危機が何度もありました。
1987年の「ブラック・マンデー」や1973年と1979年に起きた二度のオイルショック、2008年のリーマン・ショックなどは歴史に残る世界的な金融危機です。
こうした危機のたびに、株価は大きく値崩れしました。
例えばリーマン・ショックの直後には、日経平均株価は7,000円ぐらいまで下落しました。
また、日経平均株価には、その都度の「節目」と呼ばれる価格があります。
リーマン・ショック後は「いつ1万円台に回復するか」が意識されていました。
それが2019年8月現在では、「2万円」がその節目になっています。
大台と呼ばれる金額を境にして、株価の変動に大きなインパクトを感じるという投資家心理です。
ニュースでよく聞く「心理的な節目」という言葉がこれにあたりますが、投資家などが株を買うか手放すか、あるいは投資先を変えるかどうか、などを考えるきっかけになることもあります。
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日経平均株価と「TOPIX(東証株価指数)」
日経平均株価と並んで、日本の株価の傾向を示す指標に「TOPIX(トピックス=東証株価指数)」があります。
テレビなどでは、日経平均株価と一緒に表示されています。
TOPIXは東証一部に上場している全ての企業の時価総額の合計を元に算出した指数です。
1968年1月4日の時価総額を100とした数字で示され、単位は「ポイント」です。
日経平均株価とTOPIXにはそれぞれ特徴があります。
まず、計算に含まれている企業の数です。
日経平均株価は225銘柄を対象としているのに対し、TOPIXは東証一部上場の全企業を対象にしています。
また、元になっているデータの違いです。
日経平均株価は「株価」から算出されている指数であるのに対し、TOPIXは、企業の「時価総額」を元に計算されています。
株を発行する際の数や値段は企業によって異なります。一株の値段を小さくし、買ってもらいやすくする企業もあり、一株あたりの価額が企業の規模や価値を反映しているわけではありません。
この点では、日経平均株価はあくまで「株価」を元に算出されているため、一株の値段が大きい銘柄(値がさ株)の影響を受けやすいという特徴があります。特定の企業の株価が全体を引っ張ってしまうのです。
そこで、「時価総額」に着目した指数であるTOPIXの方が、日本企業全体の価値を反映しているとも言われます。
大まかな認識として、日経平均株価は日々の値動きによる株式市場の雰囲気、TOPIXは日本市場の実質的な価値、値段を反映したものと言えるでしょう。
両者を同時に眺めることも重要です。
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まとめ
毎日のニュースや日頃の会話に出てくる「日経平均株価」という言葉ですが、その仕組みは意外に複雑で、奥が深いものです。
また、日経平均株価は、採用される銘柄が定期的に入れ替わることから、その時代にどのような企業が日本の産業に影響を与えているのかを知ることもできます。
毎年、銘柄の入れ替えが近づくと、どの企業が採用されるかについて様々な事前予想が飛び交い、大きな話題になりますので、注目してみると良いでしょう。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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