今さら聞けないニュース用語 「円安が進む理由」の基本をおさらいしよう

今さら聞けないニュース用語 「円安が進む理由」の基本をおさらいしよう

2022年春頃から日本では円安が進んでいます。為替レートは通貨の需給バランスにより決
定されます。その変動要因は経済や政治等様々ですが、この円安が進んでいる理由の一つに、日米の金融政策の違いがあります。具体的には、アメリカでは、金融引き締めを行っている一方で、日本では継続的に金融緩和を行っているからです。

これら金融引き締めや金融緩和という言葉自体は聞いたことがあるという方も多いかと思います。他方で、金融引き締めや金融緩和はどういった仕組みで行われ、そしてどのような経路で経済に影響を与えるかについては実はあまりイメージできていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、金融引き締めと金融緩和の仕組みについて説明するとともに、日米の金融政策の違いがどのような経路をたどって、現在の円安をもたらしているのかを解説します。

金融引き締めとは金利を上げることで、金融緩和は金利を下げること

「金融引き締め」とは、中央銀行が金利を上げることを通じて世の中に出回っている資金の量を抑制し、景気の過熱を抑えることをいいます。反対に「金融緩和」とは、中央銀行が金利を引き下げることで、世の中に流通する資金の量を増やし、景気を刺激しようとするものです。

ここで「金利」といっても、人によってイメージする金利が違うと思われます。例えば、預金を預けている人は銀行の預金金利をイメージするかもしれません。自動車を購入している人は自動車ローンの金利、住宅を購入しようと検討している人は住宅ローンが気になるでしょう。会社を経営している人や財務担当の人は、銀行から借り入れる融資の金利を想像するかもしれません。これらはいずれも確かに金利です。

「金融引き締め」や「金融緩和」という言葉で使われる金利は、基本的にはすべて政策金利を意味します。ここでの政策金利とは、中央銀行がコントロールする金利のことを言います。日本の場合は、日本銀行(以下、日銀)がコントロールする短期金利や長期金利のことをいい、アメリカの場合は、中央銀行に相当する連邦準備委員会(FRB)がコントロールするフェデラルファンドレート(通称FFレート)のことを言います。

これら政策金利が変化することで、世の中で使われている多くの金利が変動することになります。具体的には、政策金利が上がれば、銀行が企業に貸し出す融資の金利は上がります。政策金利が下がれば、融資の金利は下がります。短期の政策金利を引き下げるために、ゼロ金利政策、量的緩和、マイナス金利政策といったようなさらなる金融緩和の手法が用いられてきました。*1

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国債の売買を通じて、金利を上げ下げすることで景気をコントロールする

では、どうやって中央銀行は政策金利を上げたり下げたりするのでしょうか。例えば日本の場合、市場において、日本の中央銀行である日銀が国債等を金融機関から買ったり売ったりすることで、政策金利である短期金利や長期金利を操作することになります。
日銀が金融緩和を行う場合は、市場を通じて、市中の銀行や証券会社といった金融機関から国債等を購入し、対価としてお金を銀行や金融機関に渡します。その結果、銀行は日銀当座預金の残高が増えることになります。日銀当座預金とは、銀行等の金融機関が日本銀行に開設している当座預金のことを言います。このような日銀による国債等の購入を通称「買いオペ」といいます。これを行うことで、銀行は資金を手に入れることが出来るとともに、市場での資金供給量が増え金利が下がります。
また、金融引き締めをしたい場合には、市中の銀行に対して、国債等を売って、日銀当座預金から資金を回収します。これを通称「売りオペ」といいます。*2
銀行は、日銀当座預金の代わりに国債等を手に入れることになります。資金の供給量が減ることで、金利は上がることになります。
これら「買いオペ」や「売りオペ」といった日銀による行動は「公開市場操作」と呼ばれています。2016年(平成28年)1月に導入された「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの調節方針は現状以下のとおりとなっています。*1

  • 短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲-0.1%のマイナス金利を適用
  • 長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う

今後の景気の回復および物価上昇2%の目標を達成するための日銀の動向が注目されます。

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金融政策の波及効果

具体的に景気にどのような影響を与えるのでしょうか。それは、金利を上げることで消費や投資を抑制し、金利を下げることで消費や投資を促すというものです。

例えば、個人で自動車のローンを活用して自動車の購入を検討しているとしましょう。金利が上がれば当然支払うべき総額も増えます。よって、自動車の購入需要は減ることが考えられます。反対に金利が下がれば、自動車ローンの金利も減るので、自動車購入に対する需要は増えるでしょう。また、住宅ローンの場合、変動型では短期金利に、固定型では長期金利にそれぞれ影響されます。

企業も同様に、金利が上がれば借入の意欲は減りますし、金利が下がれば、よりお金を借りて投資を増やそうと考えます。このような金融政策の効果が、企業等の資金調達や支出行動の変化を通じて、実体経済に波及する経路が「金利チャネル」と呼ばれています。

「金利チャネル系」の一つである「為替レートチャネル」では、金融引き締めや金融緩和による金利の変動を通じて、為替レートに影響します。具体的には、金融引き締めを通じて、他国と比べて相対的に金利が上昇すると、世界から資金が国に流入することになります。その結果、為替レートが増価(円の場合は、円高)します。他方、金融緩和を通じて、金利が下がれば、資金は国から逃げていくことになります。この場合は、為替レートは減価(円の場合は円安)します。

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なぜいま円安が進んでいるのか

現在アメリカでは、コロナ禍からの経済の回復とロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、インフレ基調にあります。そのため、アメリカの中央銀行にあたるFRBは、インフレを抑制するために金融引き締めを行い、政策金利を引き上げる方針をとっています。

一方日本では、まだ景気回復が思うように進まず、日銀は継続的に金融緩和策を続けています。こうした政策の違いもあり、日米の金利差は拡大しています。

このような日米の金融政策の違いが為替レートチャネルを通じて、資金は金利が高いアメリカに向かう一方、金利が低いままの日本から逃げています。結果として、円安が進んでいる状況です。つまり、今後アメリカは金融引き締めの方針を続ける一方で、日本は金融緩和を続けていることで、円が売られ米ドルが買われることによって円安が続く傾向が続くかもしれません。
今後の日米の金融政策ならびに金利差に注目していきましょう。

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