初めての投資で覚えておきたい株の買い方と基礎知識

初めての投資で覚えておきたい株の買い方と基礎知識

日本人は投資に消極的と言われていますが、実際に周りで株式や投資信託などの金融商品に投資することを考えている人は、少ないのではないでしょうか。
現在、目立った物価上昇に見舞われていない我が国では、預貯金で資産を保有することにリスクはあまりないと考えられます。リスクのある投資で資金を運用することに、魅力を感じない人が多いのも無理はないとも言えそうです。
しかし、実はその考えが、私たちの資産を目減りさせる原因の一つにもなっています。
それは一体、どういうことなのでしょうか。

ポートフォリオに投資を組み入れるべき理由とは

最初に、私たち日本人の投資に対する向き合い方を定量的に見てみます。
2015年度を例に上げると、我が国の家計金融資産1740兆円のうち、株式や投資信託として運用されている資産の割合はわずか14.9%でした。
同じ年のアメリカが29%であったことを考えると、まさにダブルスコアです。
なおかつ、アメリカの家計金融資産の総額は実に8514兆円にのぼりますので、比較するとアメリカがおよそ2469兆円に対し、日本はたったの259兆円です。
私たち日本人は、アメリカ人の約10分の1程度しか、株式や投資信託に投資をしていないというのは、驚きの数字と言って良いでしょう。

出所)金融庁「説明資料平成29年2月3日」を基に三菱UFJ国際投信作成

しかし本当に意味があるのは、その数字が意味するものです。
株式投資とは、文字通り株式に投資をすることに他なりません。
そして株式投資とは、企業が事業活動を進めていくために資金を出すということです。株式市場を通じて活発に資金を集めている企業は、新しい事業を素早く実行できるようになるということでもあります。
また、上場企業には「上場廃止基準」というものがあり、投資が行われない企業は強制的に上場廃止になるルールが定められています。
東証一部を例に取ると、3ヶ月間で1度も売買が成立しないか、もしくは直近1年間の月平均の売買単位が10単位未満であると、上場が廃止されるリスクに晒されます。

つまり日本は、新しい事業に流入する資金の量も、既存の上場企業を支えようという売買の頻度も、アメリカに比べ1/10程度か、もしくは相当程度に低い水準であることが考えられます。
もちろん、アメリカの家計金融資産の全てが自国産業に投資をしているわけではありませんが、それでもこれだけの資金に差があれば、企業の育成力に差がでるのは歴然でしょう。

時に「日本はイノベーションを起こす力が弱い」という議論を聞くことが少なくありませんが、それは必ずしも経営者個人の差だけではないのかも知れません。
日本では、先進的で画期的な事業であっても、アメリカに比べ、投資家が事業を育成する力に見劣りしており、同じことを同じ時期に始めても、株式による資金調達にこれほどの差があると、同じスピードで事業を拡大することは、難しいと考えられます。
事業を育成する力がなければ、イノベーションを起こす力が弱くなり、企業の成長力もなくなり、結果として国民の生活を豊かにする事業が生まれにくくなる可能性もあります
それを避けるためにも、私たち日本人はもっと、投資というものの本質を理解する必要があるのではないでしょうか。

これが、一人ひとりが投資というものを理解し、できる範囲で株式や投資信託で資産を運用するべき理由です。
投資とは、投資対象となる企業を応援する「人気投票」でもあり、経済を成長させる元手そのものなのです。

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何に投資をすれば良いのか

できる範囲からでもいいので、資産の一部を投資に回すべき理由の概要は理解して頂けたと思います。
では具体的に、私たちは何を基準にして投資をすれば良いのでしょうか。
銀行などの金融機関に預ければ100万円が100万円のままである預貯金よりも、1年後に80万円に目減りしているかもしれない株式には、誰しも投資したくありません。
そして、人は堅実であればあるほど、儲かるかもしれない未来よりも、損するかもしれないリスクを考えます。だからこそ、人は投資に尻込みするのかもしれません。
では、初心者が株の買い方に迷った時、どのような株に投資をすれば良いのでしょうか。

投資という考え方の原点に戻り、「育てる」という気持ちで投資ができる企業の株を買うことです。
目先、損をしても気にならないほどに応援できる企業に投資し、長期に渡り株を保有すること。これが、投資の本来のあるべき姿と言って良いでしょう。

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長期投資は実利も得られるという事実

「投資対象を育てる」という意識で投資をする姿勢の人ほど、損をするどころか長期的にリターンを得ているという現実があります。

具体的な例をあげると、例えば2018年。
経済誌ダイヤモンド・ザイによると、読者140名を対象に調査した結果で、2018年中に売買をした株式でキャピタルゲイン(売買益)を得た人は、わずか22%でした。
10人のうち8人が、短期売買で損を出していることになります。*1

他方、日経新聞2016年1月4日版「積み立て投資は10年続けよ 「勝率」は9割 “完璧”安心老後のポートフォリオ」の中では、10年以上の積立投資を許容できた投資家の勝率は9割に昇ることを述べています。*2
やはり投資銘柄を愛し、短期の損益に捉われず、リスクを受け入れられる投資姿勢は、損をしない傾向があると言って良さそうです。
この事例は投資信託ですので、個別銘柄の株式投資よりもさらに、その傾向があるといえるでしょう。

ではなぜ、長期投資では損をすることが少なくなるのでしょうか。

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リスク管理の上では、投資信託が秀逸

それはひとえに、株式市場における原則があるからです。
上場企業である限り、投資家からは常に成長を求められ、企業価値の向上が求められます。
企業価値の向上とは、すなわち株価の上昇です。
そのため原則として、上場企業は株価が上がることを考えます
これが、マーケット全体の数字を押し上げる原動力です。

とはいえ、単一銘柄だけで見ると会社の浮き沈みの幅は小さくありません。
株主の要求にかかわらず、マーケットから退場を宣告される会社もあり、そのような突発的なリスクを見抜くことは、個人投資家には非常に困難です。

であれば、どうすれば良いのか。
複数の銘柄をパッケージにした、金融商品に投資をすること。
すなわち、投資信託を通じてマーケット全体に投資をすることです。
そうすれば、個別企業の持つリスクは小さくなり、全体としてトレンドを享受しやすくなります。このようにして、長期的に見れば成長を要求されるマーケットの利点を受けることができるでしょう。

短期ではなく長期の資産形成を
まずはそのようなところから始めて見るのが、投資初心者の株式や投資信託の買い方と言えるかもしれません。

*1 
出所)ダイヤモンド・ザイ4月号「株式投資で「儲けた人」と「損した人」は、どちらが多い!」

*2 
出所)日経新聞2016年1月4日版「積み立て投資は10年続けよ 「勝率」は9割 “完璧”安心老後のポートフォリオ」

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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