いろいろとやるのが心底面倒な人のための、怠惰な家計簿づくりのノウハウについて

いろいろとやるのが心底面倒な人のための、怠惰な家計簿づくりのノウハウについて

少し前、「日本人は、直ちに全員Apple watchをつけるべき」という記事を書きました。

健康やダイエットに興味のある人にお読みいただきたいと思って書いた記事なのですが、お読みいただくと分かる通り、実はApple watchはこの話の本筋にはあまり関係がありません。

この記事で言いたかったのは、「将来に困らないための良い習慣をつけるには、まずは記録をつけるところから」というただ一点です。

しかし、なぜ記録が重要なのでしょうか。

それは、我々の脳のバグのせいだといえます。
我々は、良い習慣だとわかっていても、脳が将来的かつ長期にわたるデメリットの計算をとても苦手としているため、
「健康維持」
「人間関係のメンテナンス」
「資産形成」
などの、長期的視野に立って行動を起こさなければならない事項について、後手に回ってしまうというわけです。

そのバグへの対処に最も有効なのが、記録をつけることなのです。

ピーター・ドラッカーが、

「われわれは、どのように時間を過ごしたかを記憶に頼って知ることはできない」

と言った通り、我々は記録をつけることで初めて、自分の行動が妥当であったかどうかの検証ができるのです。

出所)P・F・ドラッカー:著 上田淳生:訳「経営者の条件」

したがって、行動や習慣を変えたければ、記録することが必須です。

「記録をつけるだけで痩せる」との触れ込みの「レコーディングダイエット」というものが一時期流行ったものの、そこには一定の合理性があります。体重や体脂肪率の計測記録、摂取カロリーの記録、運動の記録は健康の維持に大きく役に立つのです。

家族や知人と大事な時間をどの程度過ごしたのかを、スケジュール管理表に記録をつけ、定期的に振り返って見るだけでも、人間関係にとても良い影響があります。

そして、それは「資産形成」という点においても同様なのです。

ところで、個人が持つ「資産形成のための記録」といえば、家計簿です。

家計簿は個人のお金の流れを可視化し、自分が何にお金を投じているのかを反省するための、重要な記録となります。

老後のために投資をするのも、子供を学校に通わせるお金を用意することも、自分の肥やしとなる体験をするのにも、お金の流れを把握することから始めなければなりません。

しかし「家計簿」は、記録の中でもっともハードルの高いものの一つです。

例えば、マネーフォワード社の家計簿に関する意識調査によると、女性の7割以上が家計簿に挫折、男性でも過半数が挫折の経験があるようです。

この原因は、家計簿をつけたことのある人ならお分かりの通り、要するに家計簿は「超面倒」なのです。

毎日発生する大量のレシート、支出を分類し、転記し、分析に当て、予算をたててその枠内に支出を抑える……

要は予算管理なのですが、企業においても難しい予算管理を、個人のレベルで要求するのは、どう考えても無理があるとしか思えません。

専業主婦などが意図的に時間を作って行うならばともかく、仕事後に帰ってきてからレシートを見て家計簿に打ち込む、など誰もやりたくないでしょう。

そうして、家計簿に挫折をした人々の屍が、累々と積もっていくことになります…。

では「家計簿」によって、収入と支出を管理し、資産形成を行うことは夢のまた夢なのでしょうか。

そんなことはありません。
30年前ならいざしらず、現代はいわゆる「自動記録ツール」が偉大なる発達を遂げており、誰でも簡単に記録できる仕組みを使うことができます。
家計簿は「付けなければならない」という意識を捨てて良いということです。

事実、私は16年間に渡って家計簿を継続していますが、それらはすべて「自動記録ツール」のおかげであったと認識しています。

ただ、自動記録ツールも完全ではありません。
業務管理のパッケージソフトなどと同様に、一人ひとりのライフスタイルが異なる以上、どうしても「ツール」に自分の生活スタイルを合わせていく部分が存在します。

しかし、多少のスタイルの変更を許容するデメリットと、記録をつけて資産形成を行うことができるメリットを比べれば、圧倒的にメリットのほうが大きいと思います。

では、どのようにして家計を「自動記録」していけばよいでしょうか。
ステップバイステップで、以下ご紹介していきます。

家計簿は紙を使ってはならない。マネーフォワード、もしくはZaimなどの、オンライン家計簿を使う

もっともやってはいけないのが「紙」の家計簿を使うことです。
紙への記入は自動化できません。自動化できなければ、挫折は約束されています…。

一方、オンライン家計簿が優れているのは「アカウントアグリゲーション」が使える点にあります。

アカウントアグリゲーションとは、 簡単に言ってしまうと、インターネットバンキング、クレジットカードなどの利用履歴を一括してダウンロードし、記録することのできるサービスです。銀行への預入れ、引出し、クレジットカードの利用などをすべて自動で一元管理できることが特徴です。

まずはウダウダ言わず、オンライン家計簿サービスでアカウントを作りましょう(笑)。
また、メインバンクでインターネットバンキングを利用していなければ、いい機会ですのでやってみましょう。申込みなどは、30分もあればできます。

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クレジットカードの利用を1枚に集約する

次に、自分の財布を取り出して、中を見てみましょう。
何枚クレジットカードが入っているでしょうか?

日本人は、平均でクレジットカードを3枚保有しているという調査結果があるようですが、よほどのことがない限り、利用は1枚に集約しましょう。

なぜでしょうか?
それは、カードの枚数が増えると管理が面倒だからです。

支出の管理は、クレジットカードの利用履歴で確認をする人もいるでしょう。複数のクレジットカードを使っていると、確認項目が増えて嫌になり、きっと見なくなります。
オンラインの家計簿であれば、ある程度負担は軽減されるものの、設定とか、利用額の確認とか、全てが面倒になる場合もあります。

「シチュエーションでお得なクレジットカードを使い分けたい」という上級者は、どうぞご自由に。
しかし、家計簿をつけることすら面倒な人に、クレジットカードの使い分けはおすすめできません。

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履歴が自動で記録される決済手段しか使わない

怠惰な家計簿のために、もっとも重要なことの一つがこの項目です。

言ってしまえば、「現金」を廃して、クレジットカードを使え、ということです。
オンライン家計簿に対応していれば、Suicaや新しく出てきたpaypay、Linepayなどの新しい決済手段を使ってもよいですが、各種の設定が面倒な人は、とにかくクレジットカードで決済することです。

コンビニやスターバックスなどではクレジットカードが使えますし、私はApple watchを持っているので、QuickPayを利用することも多いです。

使途不明を極限まで減らすことができるうえ、全て自動で記録されるので、支出の傾向把握にもっとも有効な手段だと思います。

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レシートは即捨てる

そして、絶対にやってはいけないのが、レシートを見て記録する、という行為です。
よほどの人でない限り、家計簿が嫌になります。

「そんな事を言っても、現金しか使えない店があるよ」という方もいるでしょう。
それはわかります。

だが、現金の使途は無視してしまいしょう。銀行から「現金」がおろされたことはオンライン家計簿が記録してくれています。
極力、クレジットカードを使えば、現金での決済など微々たるものです。

だから、いくら現金を使ったかを把握しておくだけでよいのです。
完璧主義者になる必要はまったくありません。

このあたりで「ズボラでいい」と思うことが、家計簿を継続するための重要なポイントでしょう。

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家計簿を見るのは、月1回だけでいい

記録がたまっていくと、家計簿を見るのが楽しくなってきます。しかし、「毎日チェックする」とか、辛い作業を自分に課すのは面倒で逆効果ですので、やめたほうがいいでしょう。

そもそも「怠惰な家計簿」に、毎日とか、真面目にとか、予算とか、そんなものは必要ありません(笑)。
月に1回、大まかな予算の傾向を把握するだけでも、自分の支出をコントロールしようという意識が芽生えますので、それで十分です。

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細かい費目の分類や、費目単位での予算などは不要

中には、細かい支出の分類をするだけで疲れてしまう、という方もいるでしょう。
本末転倒なので、やらなくていいです。

例えば、食費の内訳を、外食、カフェ、材料代、調味料……などと分けている人がいますが、はっきり言って時間のムダです。

食費は「食費」でよく、その内訳を記録するときに分類する必要はありません。
「食費が妙に多いな」と思った月に、中身を自分で確認すればよいのです。

ちなみに、私は16年間家計簿をつけ続けて、生き残った費目が結局、以下のこれだけでした。
よくわからない項目は、全部まとめて「雑費」に放り込んでおけばよいでしょう。

収入、食費、交通費、消耗品費、交際費、被服費、住宅費、水道光熱費、新聞図書費、通信費、医療費、税金、雑費。

これ以上、細かく分ける必要はありません。

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家計簿をつけただけでは、資産形成はできない。資産形成は天引きで

そして、家計簿をつけると、自分の支出傾向が見えてきます。
そこで、「外食を一ヶ月に◯万円に抑えたい〜」とかやりだすと、面倒になって失敗します。

逆説的ですが、お金をためたいなら、予算管理をしてはいけません
そうではなく、「天引き」を使うことで、貯金をしていったほうが遥かに楽です。

例えば、給料の振込先を2つに分けて、一方は触らないようにします。
会社が給料を複数口座に分けて振り込んでくれるのでしたら、そうしてもらいましょう。

あるいは、iDeCo(個人型確定拠出年金)でも、保険でも、積立投資でも、なんでも構いません。 とにかく、給料から自動的に天引きされるように仕組んでしまうことです。

すると、あら不思議、みるみるうちにお金が溜まっていきます。
予算管理の100倍楽で、大した苦労もせずにお金が貯まり始めます。
オンライン家計簿でお金の貯まっていく様子を把握できれば、さらにモチベーションも上がるというもの。

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「怠惰さ」を味方につけよう

上で述べてきたように、家計簿は真面目にやるほど続けられません。
むしろ「怠惰さ」を持ち合わせている人のほうが、自動化することで継続できます

だから、こういった日常の「仕組み化」を積極的に楽しめるように、「怠惰さ」を味方につけましょう。

健闘を祈ります。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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