育児休業中の家計管理 やりくり上手のカギは事前対策

育児休業中の家計管理 やりくり上手のカギは事前対策

育児休業を取得する人は年々増えている状況にあり、働く新ママ、新パパには励みになりますね。しかし、育児休業中の家計の収支の変化を知っておかないと、育児休業に入ってから月々の家計が赤字になって困る可能性もあります。育児休業制度の仕組みや休業中の収支の変化を知り、事前対策に努めましょう

育児休業中の収入はどう変わる?

会社の賃金規定にもよりますが、多くの会社では育児休業中には給料の支払いがされないのはご存じでしょうか。

厚生労働省が作成・公表している「育児・介護休業等に関する規則の規定例(平成29年1月施行対応版)」のなかでは、育児休業をした期間について給料は支給されない旨の記載があります*1。これはあくまで、会社が就業規則や給与規定を作成するときのモデルとなるものですが、公的機関が作った規定例を参考にして、育児休業中の給料も支払いしない場合が多いのが実情です。

そのため経済支援として、ハローワークから支給される「育児休業給付金」があります。同一の事業主に引き続き1年以上雇用されているなど、いくつかの条件を満たすことが必要ですが、休業中の収入源として心強いものです。

育児休業給付金の金額は、育児休業に入ってからの期間によって変わり、最初の6ヵ月間は休業開始時賃金の約67%、休業6ヵ月経つと50%に下がります。たとえば、育児休業前の月額給料が20万円の場合、育児休業給付金の金額は、最初の6ヵ月は1ヵ月当たり「20万円×67%=13万4,000円」、6カ月経過後は1ヵ月当たり「20万円×50%=10万円」と見積もることが可能です。

具体的には、育児休業に入る前の6ヵ月間の賃金を180で割った賃金日額を算出し、それに30日を掛けて賃金月額を算出するという計算ステップを踏みます。また、こうして算出された賃金月額には上限(45万4,200円)、下限(7万5,000円)が設けられています。元々の給料が多い人の場合、育児休業給付金が実際の給料の67%よりも少なくなる可能性があることを知っておきましょう。

なお、育児休業給付金の支給開始時期は育児休業に入って約4ヵ月後ということも知っておきたいことの1つです。育児休業給付金の給付を受けるためには、原則として会社経由で2ヵ月ごとに、ハローワークが指定する申請期間中に支給申請をしなければならず、また、初回の支給申請は休業開始日の初日から起算して4ヵ月を経過する日の属する月末と決められています。つまり、育児休業に入ってからの数ヵ月間は無収入という状況になってしまうことが考えられます。

なお、支給申請は休業者本人が希望する場合、1ヵ月ごとに行うことも可能です。詳しくは勤務先の総務担当者などに確認、相談してみましょう。

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子どもの誕生後、家計費目はどう変わる?

収入が減るのとは対照的に、支出は増えるのが一般的です。オムツ、お尻ふき、ミルクなど、子どもが生まれてからは、それまでになかった「子どもに関する支出」が発生するようになるのは容易に想像できますね。

実際に、どのような費目がどれぐらい必要になるのか、内閣府の「インターネットによる子育て費用に関する調査(2009年)」*2で0歳児1人当たりにかかる子育て費用を見てみましょう。ここでは月々の家計管理に関わりそうな費目を取り上げ、表にまとめました。

食費が月々9,000円程度というのは0歳児にしては高い気がします。しかし、当統計では、保育機関に預けている人も含めての統計であることから、ミルク代やレトルトの離乳食、ベビー用おやつなどに多くかかっているとも考えられます。育児休業中で自宅にいる人の家庭では、母乳や手作りの離乳食による対応でもう少し安くすむかもしれません。

それでも、オムツ、お尻ふきなどの生活消耗品費や衣服・下着類などは、育児休業でパパ・ママが自宅にいても必要な支出です。子どもの成長とともに不要になるものもありますが、育児休業中の家計支出を見積もるときの参考としておきましょう。

なお、これらの他にも、0歳児を持つ家庭では「お祝い行事関係費」が年間15万9,354円、生活用品費は、上記表中に示した生活消耗品費の他に、子ども用玩具、子ども用家具・家電などの支出が年間12万7,243円かかっています。これらは毎月定期的に支出するものではないものの、金額的にも見逃せない支出です。休業中の家計収支を検討する際に、これらの支出についても考えておきたいものです。

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育児休業中の家計やりくりのポイント

収入減となるのに対して支出が増えれば、育児休業中は家計収支のバランスが崩れてしまいかねません。家計のやりくりをする上で、検討すべきポイントを知っておきましょう。

家計の分担

共働き世帯では、夫婦で家計支出を分担する家庭も多いものです。これまで妻が負担していた分をどのようにするのか今一度、夫婦で検討してみましょう。育児休業給付金でまかなえる場合もありますが、収入減によりまかないきれなくなる場合には夫が負担する、あるいは貯金で対応することを考えておきましょう。まずは家計全体の支出を削減出来ないか検討してみましょう。

住民税の支払い

育児休業中はこれまで給料から支払われていた健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は免除されます。また、育児休業給付金に対しては税金がかからないため、所得税の支払いも必要ありません。しかしながら、住民税は前年所得に対する分を当年支払うことになるため、育児休業中も支払い続けることになります。これまで給与天引きされていた分を自分で払わなければなりません。

給与天引きされていた貯金や保険料など

会社員であれば財形貯蓄や生命保険に加入し、給与天引きしている人もいるでしょう。また、個人的にiDeCo(イデコ)やつみたてNISAに加入して、自動振替で積み立てている人も多いのではないでしょうか。育児休業中にこれらの支払いを継続して出来るよう、貯金等で確保しておくことも考えておきましょう。
なお、給与天引きとなっているものは、休業中の支払い継続に関して、休業に入る前に所定の手続きをすることが必要です。会社の総務担当者や保険会社に確認してみましょう。

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安心して育児休業ライフを過ごすために

厚生労働省の委託調査として三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した調査*3によると、育児休業の対象となる労働者のうち、育児休業取得者は女性正社員で86.7%、男性正社員で8.2%という状況です。男性はまだまだ少数派のようですが、女性は9割近くの人が取得しているのは、これから育児休暇を申し出たい人には心強いことですね。

背景には育児休業制度の改正や働き方改革、共働き志向の向上など、さまざまなものがあると考えられますが、育児休業期間は子どもとの時間をたっぷり取れる貴重な期間と思えばできるだけ制度を有効に利用したいものです。

しかし、これまで見たように、収支バランスの変化が起こりうることを考えると、収入減となる分を貯金などできちんと確保しておくなどの対策を取っておきましょう。そもそも共働き夫婦は支出が増える傾向にあります。職場復帰後は仕事&育児の両立でさらに支出が増えることも考えられます。休業に入る前から家計の見直しをして、節約に努めることも大切でしょう。

*1 出所)厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例(平成29年1月施行対応版)」

*2 出所)内閣府「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」

*3 出所)厚生労働省「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書(労働者調査)」

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(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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