子育て費用に占める習い事費はどれくらいが適正?

子育て費用に占める習い事費はどれくらいが適正?

子育て費用のうち、大きなウェイトを占めるものの一つが「習い事費」という家庭は少なくありません。

子どもが小さいうち(園児~小学生)は教育費などの大きな支出もなく、児童手当の受給もあるので、比較的習い事にお金をかけられる時期だと言えます。

もちろん、最初から払えないような金額の習い事であれば選びませんが、ひと月数千円の月謝であれば、深く考えずに選んでしまうことがあるかもしれません。
「払えないわけではないし、子供のやりたいことはやらせてあげたい」というのが親心というものです。
しかし、ひと月数千円であっても、数年間続けることを考えると総額ではかなりのものになってしまいます。さらに、習い事を複数させている場合や、兄弟姉妹にも習い事をさせている場合は支出も倍増します。

また子どもの習い事費は、道具・楽器・ユニフォームなど最初にまとまった額を必要とすることがあります。試合の遠征費、合宿費、発表会やコンサートの参加費なども考えると、とても月謝代だけで考えて良いものではありません。

習い事のメリットはたくさんあるとはいえ、お金をかけすぎるあまり、将来の教育費を貯めることができないようでは本末転倒と言ってよいでしょう。

そこで今回は、子育て費用に占める子どもの習い事費はどれくらいが適正なのか。
一緒に考えてみましょう。

現代の子どもの習い事事情と家計への負担

現代の子どもはどれくらいの習い事をしており、習い事費の負担はどれくらいなのでしょうか。もちろん地域差もあるでしょうが、二児の母である筆者の周りの子育て世代を見てみると、子どもに2~3種類の習い事をさせている家庭が多いようです。

子どもが幼児~小学校低学年のうちは、スポーツの習い事1種類と、芸術系の習い事1種類という組み合わせが多いようです。また高学年になるとそれまでの習い事をやめて学習塾に通い始める子どもも目立ちます。特に、中学受験をする子どもが多い地域ではその傾向が顕著でしょう。

ベネッセ教育総合研究所「学校外教育活動に関する調査2017」によると、子ども1人あたりの学校外教育活動費(月額)は、幼児で6,500円、小学生で15,300円、中学生で22,200円となっています。

ここでいう「学校外教育活動費」は、スポーツ活動/芸術活動(音楽活動、美術活動、その他)/学習活動(教室学習活動、家庭学習活動)/その他の活動(海外留学・海外体験・自然体験の有無)にかかる費用のことで、必ずしも習い事費だけを指すわけではありません。

スポーツ活動の支出は小学3年生をピークにその後は減少し、それに変わって中学3年生までは教室学習活動(塾など)の支出割合が年々増えていきます。

また、世帯年収別で見てみると、子ども1人あたりの学校外教育活動費(月額)は、世帯年収400万円未満の場合8,000円、400万円~800万円で13,400円、800万円以上で25,000円となっており、年収800万円以上の世帯は、400万円未満の世帯に比べ、3倍以上もの支出があることがわかりました。

出所)ベネッセ教育総合研究所「学校外教育活動に関する調査2017」

世帯年収が上がるほど家計には余裕が生まれ、かけられる子どもの習い事費(塾代含む)が増えるのは、当然といえば当然でしょう。

子どものお友達が4つも5つも習い事をしていると聞くと、「うちの子にはそんなにたくさん習い事をさせていないけれど、差が開いてしまわないかな……。みんなから取り残されてしまったらどうしよう。」と焦りや不安を感じるかもしれません。

しかし、子どもの習い事は多ければ多いほど、お金をかければかけるほど良い、というものでもないのです。

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子どもの習い事のメリット・デメリット

子どもの習い事は絶対に必要なものではありません。それでも、幼児~小学生の時期にスポーツや芸術の習い事をさせることは、以下のようなメリットがあります。

メリット

  • 子どもの好きなことや得意なことを増やせる。興味が広がる、自信が持てる
  • 習い事が授業に役立ち、アドバンテージが取れる。成績アップも期待できる
  • 子どもの体力づくりや、運動能力の向上に役立つ。特に、9~12歳は動き・技術の獲得に最も適した時期と言われる
  • チームスポーツでは集団で協力することやライバルと切磋琢磨することを学べる
  • ピアノなどの楽器の習い事は頭が良くなる(脳の働きが良くなる)と言われる
  • 子ども同士面倒を見たり見られたりする中で異学年交流ができる


しかし、子どもの習い事には以下のようなデメリットも考えられます。

デメリット

  • 習い事が多すぎると時間に余裕がなくなり、友達と遊ぶ時間がなくなったり、学校の宿題ができなかったり、睡眠不足になったりする
  • 親がやらせたいことと子どもがやりたいことが違ったり、親の期待が大きすぎたりすると、習い事が子どものストレスの原因になる(親子の間に深い溝ができることも)
  • 子どもが小さいうちは将来の教育費となる預貯金を増やせる時期なのに、習い事にお金をかけすぎると思うようにお金が貯められない


ここで挙げたメリット・デメリットはあくまでも一例ですが、金銭的・時間的・身体的に無理をして習い事を続けると、メリットよりもデメリットが上回ってしまうことになりかねません。

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幼児~小学生のうちは本当にやりたい習い事1~2個に絞るのがおすすめ

子どもがやりたいという習い事は何でもさせてあげたい、我が子の隠れた才能を見つけ出してあげたい、周囲に遅れを取りたくない……、そんな親心はとてもよくわかります。

しかし、幼児~小学生のうちは、将来の教育費を貯めるためにも、子どもに時間的・身体的な負担をかけすぎないためにも、本当にやりたい習い事1~2個に絞るのがおすすめです。

本当にやりたい習い事が何なのかは、親子でよく話し合ってみてください。見学や体験に連れていって、子どもの反応を見てみるのもよいでしょう。長期休暇中の短期教室などをうまく活用するのも一つの方法です。

教育費を貯める目安は、大学に進む18歳までに大学にかかる資金をまずは目標にするとよいでしょう。
大学4年間にかかる費用は進路によってさまざまですが、国公立大学で500万円程度、私立大学理系で800万円程度と言われています。

現在の子どもの年齢と預貯金の額を考えれば、これから子どもが18歳になるまでに毎月いくらずつ貯めていかないといけないか想像がつくのではないでしょうか。月々必要な預貯金ができていないのに、習い事にたくさんお金を使っている場合は、一度家計の見直しをしてみる必要がありそうです。

冒頭でも述べたように、子どもが幼児~小学生のうちは教育費など大きな支出がなく、比較的家計に余裕がある期間でもあります。言い換えれば、子どもが小学生のうちにまとまった預貯金をしておかないと、その後子どもの進学につれて教育費が増大したときに困ってしまうかもしれません。

子どもがどこまでの高等教育を望むか、また親としてどこまで教育費を負担できるのかは、もちろん家庭によって異なります。

しかし、できるだけ本人が望む道へ進むことを応援したいと考えているのであれば、子どもが小さいうちから、”現在”の子育て費用だけではなく、”将来”、すなわち、子どもが社会に出るまでの長いスパンで子育て費用を見据える必要がありそうです。

高校から大学にかけては教育費が大きく増えるので、より高い視点でライフステージごとの教育費の推移を想定し、我が家にとって子育て費用に占める習い事費はどれぐらいが適正かを考えていきましょう。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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