FPに聞く!リアルな子育てのお金事情とは

FPに聞く!リアルな子育てのお金事情とは

子どもが生まれたのをきっかけに、お金について真剣に考え始めた方も多いのではないでしょうか。なんとなく考えていても、不安は大きくなるばかり・・・。実際にどれくらいかかるのか、最近の子育てでのお金事情をのぞいてみましょう。

学費だけでこんなに違う!私立は公立の3倍超かかる!?

まず幼稚園から大学までの進路によるお金の違いをみてみましょう。

出所:文部科学省「平成28年度子どもの学習費調査の結果について」 「平成28年度学生納付金調査結果」「私立大学等の平成27年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

※上記は幼稚園~高校の学校教育費、大学の入学料及び授業料の合計値です。

※公立大学については、上記に加え施設設備費を徴収される場合があります。また、入学金は地域外入学者の平均額を用いています。

※私立大学については、私立大昼間部の平均額を用いています。

※各合計金額は万円以下で切り捨て

公立と私立の場合を比較すると、幼稚園から大学までの19年間、すべて国公立の場合は約449万円ですが、すべて私立の場合はなんと1,529万円(大学は私立文系と仮定)と約3.4倍! 小学校や中学校など早いうちから私立へ進学した場合、大学までずっと私立となる可能性もあり、家庭の負担はかなりのものとなるでしょう。

また、上記のデータには塾やピアノ等の習い事代が含まれていないため、実際はさらにお金がかかることにも注意が必要そうです。

想定外のお金にはこんなものが!

学校や習い事以外にも、「留学」や「歯科矯正」等想定外の費用がかかるもの。 たとえば、「留学」。留学先の国や学校によっても異なりますが、アメリカの短期留学で、週26万円~40万円の費用がかかるケースもあります※1。 また、いまどきの子どもたちは歯にも結構お金をかけているようです。幼い頃から歯科矯正をする子どもも少なくなく、永久歯になってからの矯正にかかるお金は50万円〜130万円ほど※2。原則保険が効かないこともあり、どうしても高額となってしまいます(治療の必要性が認められる場合は保険適用される場合もあります)。

※1 出所:地球の歩き方 T&E HP

※2 出所:日本小児歯科学会 HPより

ママさんファイナンシャルプランナーに実体験を伺いました

このように多くのお金がかかる子育て。お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(以下、FP)は、どんな風に向き合っているのでしょうか。FPであり2人のお子さんを育てるママでもある鈴木さんに失敗談も含めて、色々な実体験を伺ってみました。

― FPになったのはママになってからと伺いました

子どもが幼稚園の時にFP資格をとりました。一応損保出身なんですが、当時は「FP」なんていう資格は今ほどメジャーではなく知らなかったですね。初めてマイホームを買う時に、あまりにも銀行の人の話す言葉の意味がわからない自分に愕然(がくぜん)としたのが、勉強をはじめるきっかけとなりました。
学生時代からずっと手元にあるお金は全て使ってしまう性格で、恥ずかしながら貯金や資産形成をあまり考えたことがなかったんです。それでも子どもができた時は初めて貯金を意識し子ども用の口座を作り、いただいた出産祝いやお年玉などをなんとなく貯めてはいました。子どもの力ってすごいですよね。でも、FPになってから学資保険でこうすればよかったということに気づいたんですよ。

― どんなことに気がついたんですか?

長女がまだ1歳の時に近所を散歩していた時のことです。長女がある金融機関の前に置かれた看板のキャラクターに惹かれて、自動ドアを開けて入っちゃって。そのキャラクターが使われていた商品が学資保険だったんです。看板に「お子様の夢を叶えるために」みたいな言葉があって、「あ、入らなきゃ」と。
結果、他の会社の商品を調べることもなく即契約。保障がいっぱいで元本割れする商品だったんです。何も調べないなんて、保険会社出身のくせに恥ずかしいですよね。

― 今の鈴木さんからは想像つきません・・・

学資保険など教育費のセミナーも開催していますが、最近のママたちは、本当に勉強しているなと感じます。また、私がベビママ頃に読んでいた赤ちゃん雑誌には、お金のことなんてほとんど載っていなかったのですが、近頃は私もよく取材を受けますし、たくさん載っていますよね。ママたちがどんどん賢い消費者になっているなと思います。それにしても当時の私はひどいですが・・・。 FPになって気づいた時には、結局だいぶ時間も経っていたので解約はせずに、特約をすべて外して、元本割れを防ぎました。この経験もあって、次女の学資保険はしっかり戻り率を比較して元本割れしないもの、かつ、家計負担が重くなる高校生になる時期には保険料を払わなくて済むように、次女が15歳の時に払い終えることのできる商品を選びました。

― 学資保険は前もって比較検討することが大切なんですね。ほかにも失敗談ってありますか?

FPになる前、お金に関しては失敗だらけだったんです。専業主婦だったので、家にいながら収入を得ようとオークションやアフィリエイトでせっかく稼いだお金をすべてFXで失いました。投資ではなくて投機だったんですけれどね。
将来かかる教育費についても計画を立てたことがなかったので、習い事も子どもが興味をもったり、ママ友に勧められたものは予算を考えずに始めていました。だから常に不安だらけ。今思えばちゃんとシミュレーションをすればよかったのですが、そんなこと思いつかなかったです・・・。
でも、せっかく始めた習い事なのに、子どもが泣いて「行きたくない」って言った時には「お金もかかっているのにもったいない!!」って怒ったりしていました。はじめる時にはお金のことをあまり考えなかったのに。
今は、習い事をはじめるときに、子どもと一緒に月額を確認して予算と比較しながら「なぜその習い事をしたいのか」などをしっかり考えさせて取捨選択しています。

― 子どもにもしっかり考えさせるのがポイントですね!さて、お子さんはもう中学生です。やっぱりお金は結構かかりますか?

中学生になった時にお金のかかり方がガラッと変わりましたね。それまではキッズケータイだったのがスマホになり、友達とも遠出するようになり、インスタ映えするスイーツを食べに行ったり。自分でお金の管理をできるようになってほしいと思い、学費(定期代も)とスマホ代以外はお小遣いでまかなわせているので無限には膨らみませんが、そのお小遣いは小学生の時よりぐっと上がりました。他にも部活で必要なお金や学校の教材など、小学生の時より負担も大きく感じています。

― お子さんの受験についてはどうですか?

中学受験をしましたが、やはり塾代はかなりかかりましたね。東京では多くの子どもが小学3年の終わりから通い始めますが、小6までの3年間で200万円以上はかかりました。周りの家庭では、塾以外に家庭教師をつけるケースもあったので、その場合はもっとかかっていると思いますよ。お金をかければ合格するわけではありませんが、出来ることはしてあげたいと思うのが親心なんですよね・・・。とはいえ、受験が終わっても、私立進学する場合は重い重い教育費がのしかかります。中学受験の塾代ですでにきついという方は、私立への進学はよく検討した方がよいと思います。

― やはり塾代も予算設定が大事ということですね。
やっぱり子どもが大きくなると、お金を貯めるのも大変になってくるものでしょうか?

そうですね。かかるお金が純粋に増えていますので、余ったお金を貯金する方法だとだんだん辛くなりますね。小さい頃にはいただいたお年玉も貯金していましたが、今はもちろん本人に自由に使わせていますしね。
うちの場合は、学資保険で大学入学に備えるのをベースに、児童手当の貯金、そしてお誕生日に毎年定額を子ども専用口座に入れています。その他に投資信託でつみたて投資もしていますが、今年(2018年)からはつみたてNISAに切り替える予定です。

― さすがの組み合わせですね。

いえ、でもうちはまだまだ子育てが残り10年あるので、やはり不安はゼロではないですよ。でも、あるお金でなんとかするしかないじゃないですか。準備も必要ですが、準備するお金の中でできることを、子どもたちにも考えさせる予定です。どうしても足りない時には奨学金などを借りる手もあることも、もう伝えています。
また、高校生の長女には自分でつみたて投資をさせる予定です。お小遣いやアルバイト代から少額ずつでもいいから投資する大切さを伝えたくて。やってみなければわかりませんからね。

― お金のことをちゃんとお子さんにもオープンにしているのが興味深いです。

さすがに家計や年収など細かいところは伝えていませんが、出してあげられるのはここまで、という話はしています。その上で、もっとかかりそうな場合は早めに相談してねということも。相談なしでガマンさせちゃうのはかわいそうなので、一緒に考えようと思っています。結果、子どもも無駄遣いがなくなるので良いですよ。

― たしかにそうですね!早速友人に話してみます。

子育ての出費は、進路はもちろん、習い事、育て方や環境で大きく変化するもの。親としては、早め早めの準備で、子どもの夢を応援しつづけてあげたいものですね。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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