お子さんが生まれたら祖父母や両親から学資保険に入っておく方が良い、と言われた方も多いのではないでしょうか?
学資保険の分野は学資保険、こども保険など名称も異なる事があったり、親の死亡保障が手厚い保険があったりと同じ名称の保険でも各保険会社で内容が異なります。しっかり中身を見ていくことが重要です。
学資保険は将来かかる子どもの学費を賄うことを目的にしていますので、貯蓄の1つの手段に過ぎません。
保障と貯蓄を切り分けて考えて、ご自身にとって有利な貯蓄であれば選択すると良いかと思います。学資保険同士の比較だけではなく、他の金融商品とも比較することが大切です。
学資保険の一番のポイント、返戻率について
学費を賄うことを目的に貯蓄の1つとして学資保険という選択がありますが、一番のポイントは、保険を途中解約したときや満期を迎えた場合に受け取るお金の割合を示す返戻率です。
返戻率というのは他の金融商品と比較するために言い換えれば利回りのことを指します。
返戻率が100%の学資保険であれば、戻ってくるお金の割合はそのままですし、返戻率が105%だと元本は5%殖えるという意味です。
逆に返戻率が90%という保険は払込額より少ない金額しか戻ってこないので、いわゆる元本割れです。元本割れの要因としては親御さんの死亡保障が手厚いなど、保障部分に保険料が当てられるためです。
貯蓄目的に限るのであれば、返戻率が100%を超える学資保険を検討した方が良いでしょう。
顧客のニーズが返戻率の高さにあるのは保険会社も理解しており、返戻率を上げる工夫を施している保険も多くあります。
その1つが、払込期間(積立期間)を短くしたり、一括払いにする短期払いです。例えば、通常は子どもが18歳になるまで支払をしていく商品について、当初10年で払込を終えるようにすると、お子さんが18歳になるまで保険会社は、通常より早く満額の保険料を運用できることになります。したがって、その分返戻率が上げられることになります。(前倒しで払うので月々の保険料は増えます。)
また満期金を多めに設定することで、返戻率を上げている商品も存在します。満期金の部分は22歳まで運用できるので、その分を返戻率に反映させた形です。
ただ、22歳の卒業の時に多額の満期金が返ってきても学費に充当できないので、過度に多額の満期金が設定されている学資保険の活用は、慎重に検討したほうが良いでしょう。
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ドル建の学資保険も登場
学資保険の分野にもドル建の学資保険が登場してきました。ドル建というのは日本円で支払った保険料を米ドルに両替(保険会社が行います)して米ドルで運用し、学資金を受取る時に米ドルから日本円に両替して受け取るという仕組みです。
日本の金利が極端に低いため、金利の高い国で運用しようというのが外貨建保険です。
しかしながら、外貨建は為替リスクがあるので、学資の積立には向かないのではないか、と考える人は少なくありません。
確かにリスクはありますし、安全重視の方も多いと思いますので敬遠されてきました。
一方で、昨今はやはり低金利の影響で外貨に目を向ける人も増えています。他の貯蓄方法の考えに照らせばどの程度のリスクを許容出来て、どの程度のリターンを求めたいかという考えを当てはめて差し支えありません。
例えば月々2万円を学資積立に振り向けるとして、2万円全額を外貨建にすればまともに為替リスクと向かい合わせになりますが、1万円を円で積立、1万円を外貨で積み立てると為替リスクは半減します。外貨建保険そのものに為替予約を使って為替リスクを減らす仕組みを取り入れている保険もあります。
リターンを求める場合リスクの許容は必要になってきますが、外貨での運用も選択肢になるのではないでしょうか。
ドル建学資保険の他にも、外貨建保険で学資プランを扱う保険もあります。外貨建の養老保険(貯蓄型の保険)の満期を、子どもの年齢を基準に17歳や18歳に設定すると学資金として使える、という趣旨の保険です。ここでも保険は返戻率が重要なので比較検討が必要です。
また外貨建保険は、学費目的の貯蓄以外に留学費用の一部に充てるという使い方もできます。
現在は、大学生の5人に2人が留学します。外貨建保険は外貨での受取ができるのも特徴ですので、例えば米ドル建の保険であれば米ドルで受け取ってそのまま米ドルとして使うことが出来ます。米国本土だけでなくグアムやパラオ、意外にもカンボジアでも米ドルは使えます。
留学費用を外貨建保険や外貨預金などで積み立てておくというのも検討してみてはいかがでしょうか。
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税金に目を向けてみよう
銀行で定期的に積み立てる場合、まず思い浮かぶのは定期積金です。しかし定期預金の場合、利息には20%の課税がなされます。(利子所得)
一方、学資保険は契約者=親、受取人=親(同一人物)の場合、一時所得という扱いになります。
一時所得では、殖えた金額が50万を越えると所得税が課税され、その年の他の一時所得と合算されますが、一時所得以外の所得とは合算されず、50万円未満なら課税されません。学資保険の使い方であれば多くの方が課税されないと思いますので、その点は有利になります。
ただ、例えば契約者=父、受取人=母としたような場合は贈与税の扱いになります。契約者と受取人の関係で税金の種類が変わってきますので、加入済みの方はチェックするとよいでしょう。もし贈与税扱いの状態でも変更は可能ですので、保険会社と相談の上で上手に学資を確保していきましょう。
また学資保険では、払込中の保険料は生命保険料控除の対象になることも大きな特徴です。詳細な控除の額については専門家に相談の上で、上手に活用すると良いでしょう。
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必ずしも学資保険でなくてOK
ところで、学資保険の目的は、学費の確保だと考えられます。
銀行の定期積金との比較では、利回りの上で魅力が乏しいので学資保険は選択肢になるでしょう。
これに加え、外貨積立(外貨建保険含む)、投信積立といった金融商品を組み合わせてリスクとリターンのバランスを取るのが、一つの考え方となります。
また、最近は晩婚化の影響で、親の年齢が40歳以降で生まれる子どもの養育を考える必要があるかもしれません。この場合はイデコ(確定拠出型年金)も選択肢になります。拠出金の全額が所得控除でき、運用益も非課税になるので、大きなメリットがあります。その反面、デメリットとして60歳になるまで一切引き出せない貯蓄です。
学資の需要が60歳以降の方であれば、選択肢の1つに加えても良いでしょう。円積立、外貨、投信、これらを1つのイデコで網羅している金融機関もあります。
学資保険、定期積金、外貨積立、投信積立等様々な方法と、親の年齢やキャリアプランを考慮して、最適な金融商品を選ぶようにしましょう。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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