お金を貯める力が最大137%増える貯蓄術

お金を貯める力が最大137%増える貯蓄術

「貯蓄したいから、まずお金について学びたい」

そう考える人は多いと思います。私達はみな、お金についてより多くの知識を学ばなければなりません。マネーリテラシーです。
しかし、お金に関する知識よりも、もっと貯蓄に効果的な方法があるとしたら、いかがでしょうか。

実はアメリカ・クレイトン大学では、マネーリテラシーを高めるよりも心理学を学んだ方が、より貯蓄に活かせるという研究が発表されています。*1
その名も、 “ノスタルジック貯蓄術” 。2017年にブラッド・クロンツ(Dr.Brad Klontz)博士によって明かされたこの研究から、人間の心理、つまり自分の心を上手に操作してお金を貯める方法をみていきます。

ノスタルジック貯蓄術とは

ノスタルジック貯蓄術とは、クレイトン大学で明かされた心理学的研究の結果です。発表したクロンツ博士は、心理学者でありながら、経済と心理学をミックスさせた先進研究で知られています。
この研究では被験者をランダムに、
1.ノスタルジーを思い起こさせるものや人に接してもらったグループ
2.マネーリテラシーを高めてもらったグループ
にわけます。

1はノスタルジーで強い感情、それもポジティブな感情を引き出します。2は金融リテラシーを高めるため、貯蓄や投資について、学習することとされました。なお1のグループはマネーリテラシーの講習を受けていません。

ちなみに、2のグループの金融リテラシーの学習も本格的なもので、米銀行キャピタル・ワンの支援を受けて実施されています。

グループはお互いに何が起こっているかわからない状態であり、同時に自分が何をされているのか(貯蓄実験であることすら)理解していない被験者たちです。

すると、なんとグループ1のノスタルジーを感じたグループは節約力が67%増加しました。さらに、米国5都市(ボストン、オースティン、シアトル、アトランタ、ダラス)で実験を繰り返したところ、最大137%(アトランタ)の貯蓄の伸びを示したのです。

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お金とノスタルジーのつながり

ノスタルジックな感情を思い起こさせる物や人と、マネーリテラシー。その二者のグループにおいて、前者の貯蓄が伸びたのです。

なお、この実験におけるグループ1のノスタルジーとは、
1.ポジティブな感情を引き出すノスタルジックなアイテム
2.ポジティブ感情を自問する
3.2の答えを、貯蓄に結びつける
というように定義されました。

少しわかりにくいですね、もう少しわかりやすく例えてみましょう。

ノスタルジック貯蓄の例
  1. ふるさと(兵庫県神戸市)で飲んだ紅茶ブランドの空き缶(ノスタルジックアイテム)
  2. 地元の友達との楽しかったおしゃべりが思い出されるから(ポジティブ感情)
  3. お金を貯めるのは、孤独を解消するためだと位置づける(貯蓄と結びつける)

などとすると、貯蓄が増えるかもしれない、という話です。


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ノスタルジック貯蓄術でなぜ貯蓄が増えるのか

この実験結果は「貯蓄に意味付けができたから」とクロンツ博士は分析しています。お金を節約することが、家族・人生の価値・意味のある目標と、内面的に定義されるため、それが貯蓄力を加速させるのではないでしょうか。

さらに、クロンツ博士は、具体的な提案も私たちに与えてくれました。

  • ノスタルジックなアイテムを写真にとって壁に飾る
  • 銀行口座に名前をつける(例:さびしさ撲滅口座)

などです。

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マネーリテラシーと組み合わせれば

この実験は、2017年に行われた比較的新しい実験です。マネーリテラシーを高めるよりも、ノスタルジックな感傷と貯蓄を結びつけたほうが、より貯蓄が進む結果となりました。では、ノスタルジーとマネーリテラシーと結びつければ、最高の貯蓄術ができてしまうのではないでしょうか。

たとえば、iDecoに月2万円を貯めているとして、その2万円の捻出が大変だとします。そこで祖父母との幸せな思い出を思い起こさせるアイテムを準備し、不安なく老後を迎えた祖父母と結びつけるのです。さらに、iDeco口座を『老後不安を解消する口座』と名付けてみるなどしてはいかがでしょうか。

この実験は、マネーリテラシーを否定したものではありませんから、貯蓄や投資の知識はもちろん必要です。組み合わせてみるとおもしろく、ストレスなく、楽しく貯蓄できるのではないでしょうか。

奇しくも、クロンツ博士は「Define Wealth in 3 Words or Less : Love, laughter, and longevity.(富とは、愛、笑い、長寿である)」と定義しています。*2 やみくもに貯蓄しようとしても、ちょっとした無駄づかいから「もういいや」となってしまってすべて散財してしまうということは起こりえます。

それなら、ちょっと口座に意味付けをもたらしてみてはいかがでしょうか。

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ノスタルジーの逆は、浪費を加速する?

では、ノスタルジーの逆は、浪費を加速してしまうのでしょうか?
実験ではそこまで踏み込まれていませんが、反対も考えられます。お掃除の名著、カレン・キングストンさんの『ガラクタ捨てれば自分が見える』では、オーディオ・デッキ(音楽プレイヤー)を思い切って捨てる話が出てきます。

「私が付き合っていた恋人は、腹を立てると見境なくものを蹴る人で、ある日私のポータブル・テープデッキが犠牲となりました。(中略)このデッキは、私が男性の振る舞いに失望する気持ちの象徴になっていたのです。」

つまり、昔の恋人とのネガティブな思い出(彼が暴れてデッキを凹ませた)が、モノと結びついて悲しい感情を引き起こし、その凹みがあるデッキをみるたびに意気消沈してしまった、ということです。この本ではそのデッキをお友達に譲り、カレンさん本人はすっきりした、という話で、モノとの決別が書かれています。*3

また、ミネソタ大学の実験でも、大学生の間で、ストレスとクレジットカードの負債に相関関係があることがわかっているのです。*4

つまり、ものとネガティブな思い出が結びついたとき、ストレスが生じて散財しがちになります。これは実体験からも納得がいきやすいのではないでしょうか。

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まとめ

幸福な思い出と結びついたモノを使って、いまの経済活動を再定義する。
これが、ノスタルジック貯蓄術
です。

今回の実験結果にしたがって、筆者は仕事用のデスクに地元の紅茶ブランドの空き缶をペン立てにして置いてみることにしました。これをみるたび、楽しかった地元を思い起こし、貯蓄が加速するかもしれません。楽しみです。

*1  出所) Dr. Brad Klontz「Getting Sentimental Could Increase Your Savings」

*2  出所) Dr. Brad Klontz「The Truth About Savings 」

*3  出所) 「ガラクタ捨てれば自分が見える」(カレン・キングストン 著)

*4  出所) University of Minnesota「Credit Card Debt, Stress and Key Health Risk Behaviors among College Students 」

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