正解はどこに?答えの見えない子育ての悩み緩和法

正解はどこに?答えの見えない子育ての悩み緩和法

初めての子育ては不安とわからないことの連続で悩みは尽きません。母乳の量が足りているのか、なぜこの子は寝てくれないのかなど、悩みが次々出てくる人も少なくないでしょう。そのようなときに義理の両親や先輩ママから各々のアドバイスをされると、何が正解なのかわからずに、悶々としてしまうものです。そこで今回は「答えの見えない子育ての悩み緩和法」についてお伝えします。

本やテレビの情報は参考程度にとどめる

待望の子どもが産まれると、関心が我が子に向けられて、テレビや雑誌などでも積極的に子どもに関する情報が目に入ってきます。心理学では「カクテルパーティー効果」と言います。
大勢いるパーティーでにぎわっていたとしても、自分の名前が呼ばれると「自分のことだ」と反応することができることからその名前がつきました。周囲の環境のうち、自分に必要な事柄だけを選択して聞き取る脳の働きのことを指します。

カクテルパーティー効果で子どものことに注意が向くと、テレビや雑誌などにおいても必然的に子育てに関する情報が集まりがちです。しかし読む本や雑誌によっては、書かれている内容が相違することもあります。育児に熱心になるあまり、すべてをうのみにすると「どれが正しいの?」と困惑し、子育ての悩みに通じてくる可能性があります。

本や雑誌、テレビなどの正しい育児マニュアルに書かれている情報はあくまでも参考程度にとどめましょう。子育てに関する常識も時代の流れとともに変わります

「父親の家事・育児意識と行動の変容とその要因に関する研究 ―2000 年と2011 年のデータ比較を通して―」によると、
「「家事・育児は女性の役割」「父親(男性・夫)が家事の協力は当然」「父親の育児は当然」「男 は仕事、女は家庭」等、育児における従来の考え方に対する項目で「思う」「思わない」が有意に逆転していた」

と記載されています。

つまり、2000年では家事や育児は女性がすべきものとの見方が強く、母親・父親で性役割が強く残っていましたが、2011年には性役割が薄れ、家事や育児は女性がするものとの見方が弱まったということです。

当然そのような時代の変化は本や雑誌、テレビなどのメディア情報にも反映される可能性が高く、いつ頃の本を手に取ったかで育児に関する情報が交差している可能性も考えられます。以上を踏まえて、情報はあくまでも参考程度にとどめるようにすることをおすすめします。

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助言は聞いても、取り入れるかは再ジャッジ

子育ての悩み軽減の方法として、「助言は聞いても、取り入れるかは再ジャッジ」することも心の負担軽減に役立ちます。おせっかい焼きの先輩ママや義理の両親が「これが正しい育児」「こうしたらいいのよ」などの助言をしてくる機会もあるかもしれません。

もしそれらの助言がストレスや悩みに通じるのなら、「聞く」行動はとりつつも、「聞き入れる」は別にする選択肢を視野に入れましょう。せっかくの助言だからとすべての内容を取り入れようとしようとする姿勢は素晴らしいことです。

しかし1つの育児法が正しいとは限りません。先輩ママは子守唄をうたうことで子どもを寝かしつけるのに成功したかもしれませんが、子どもの好みや泣いている原因によっては子守唄で寝かしつけが難しいことも十分にあります。

「そういう方法もあるのね」とあくまでも参考程度に助言に耳を傾けて、実践できそうであったり、実践したいと思う内容であったりする場合にのみ取り入れることで、心理的な負担も和らぎます。

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比較せずに子どものいいところにフォーカス

子育ての悩み軽減法の3つ目は「他の子どもと比べずにいいところにフォーカスを当てる」ことです。他の子どもと比べて、「寝る時間が少ない」「まだハイハイしない」などの発育の遅さなどに目を向けてしまい、悩みが増えているケースもあります。

比べるなと言っても、初めての子育てはわからないことが多く、つい同年代の子どもと比べたくなる気持ちもあることでしょう。しかし、周囲を見渡してみてください。あなたと全く同じ能力を持ち、あなたと全く同じ性格の人は存在するでしょうか

あなたと全く同じ人が存在しないように、子どもも全く同じ子どもは存在しません。子どもにも個性があります。あなたに得意―苦手があるように、子どもも発達の早い領域もあれば遅い領域もあるものです。

たとえば寝る時間が少ない子どもに「どうしてこの子は毎日眠れないんだろう」ともやもやしていたとしても、たくさん母乳を飲むという良いところがあり、すくすくと成長しているかもしれません。

あるいはまだハイハイせずにじっとしていたとしても、落ち着いた性格で夜泣きが少なかったり、人見知りをせずに誰に対してもニコニコと微笑み返したりなどの良さがあるかもしれません。

敢えて足りないところよりもすでにあるところに目を向けて、ストレス軽減を図りましょう。その方が母親のこころの安定にも通じます。

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ネガティブ思考には別視点で悩み緩和

子育ての悩み軽減の4つ目は「ネガティブ思考の上書きをする」ことです。良い面にフォーカスを当てようとしても「このままハイハイをしなかったらどうしよう」「ずっと夜泣きばかりで眠らなかったらどうしたらいいの」と不安に襲われることもあるかもしれません。

ネガティブな面にフォーカスを当ててもんもんとする場合には、別の視点から見つめていき、悩みを解決することを試してみてはいかがでしょうか。

わからないことの多い子育ての悩みは、未知との遭遇の連続で「なぜこんなことが起こるの」とマイナスの思考回路に陥ることもあるかもしれません。しかし、過去に初めて遭遇した出来事に対してうまく対処できた経験はないでしょうか

理不尽な上司の怒りを被った際に「怒りが過ぎるまでやり過ごそう」と耐えた経験が子育てでなかなか泣き止まないわが子に「いつかは泣き止む」と冷静に向き合うことに経験を活かすことができるかもしれません。

また、なかなか泣き止まない子供にイライラしたとしても、「子育てを通じてより人間としての器が大きくなる」「少々のことで動じない自分になれる」と別の視点からポジティブに捉えなおしてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

子育ての悩みは尽きないものです。夜泣きや食事量の少なさ、人見知りやハイハイを始めるまでの期間など、他の子どもと比較して悶々と悩むこともあることでしょう。その場合には、わが子のいいところにフォーカスを当てなおしたり、別視点から状況を見つめなおしたりすることです。冷静になれて、悩み解決の糸口を見つけることにも役立ちます。

引用文献 「父親の家事・育児意識と行動の変容とその要因に関する研究 ―2000 年と2011 年のデータ比較を通して―」寺見 陽子・南 憲治、神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 人間科学部篇、2017-03-05、神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会、p119 – 135(引用箇所pp125下1-4行)

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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