ポイント
お金を貯めたいと思っても、生活の見直しをしないとお金は貯まりません。貯金が苦手な人は、まずは50万円の貯金を増やすことから始めてみましょう。50万円あれば、家や車などの急な修繕、家族の急な病気・入院など、予定外の事態に対応することができます。50万円の貯金を増やすためには、お金の管理について小さな工夫を積み重ねることが大事です。
貯めるお金を「見える化」しよう
お金を確実に貯めていく上で大切なことは、「お金がいくら貯まっているかわかること」です。おすすめの方法は、「貯金専用口座」を用意すること。簡単に引き出せないように、キャッシュカードを作らないことがポイントです。
貯金専用口座を用意する手法についてはこれまで多く紹介しているので、今回は応用編を紹介します。「貯金専用口座を用意したのに結局引き出してしまう」といった悩みを抱えている人はぜひチェックしてください。(貯金に関心のある方に対しては、以下の関連記事をご覧ください。)
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ATMに行く回数を減らす
財布の中にお金が入っているとすぐに使ってしまうから、都度預金口座からお金を引き出すことにしている人も多いのではないでしょうか。一回の散財を防ぐためには効果的な手法です。しかし、お金を引き出す回数が多くなるのであれば意味がありません。
足りなくなった際に毎度お金を引き出していると、どの口座から総額いくら引き出し、残高がいくらになったのか管理できなくなってしまいがちです。通帳記載すれば残高を見ることはできますが、お金の流れが見えていない状態になっているのでは意味がありません。
「ATMに行くのは月に2回まで」といったルールを設定し、生活費をまとめて引き出してその中でやりくりしましょう。不足したときにやるべきことは、不足分を引き出しに行くことではなく、お金の使い方のどこが悪かったか検証することです。
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毎月の「使うお金」も決めておく
1年間で50万円貯金するためには、月に約4万2千円を貯める必要があります。例えば「月に5万円貯める」と決めて、お給料が出たらすぐに貯金専用口座に入れたとします。しかし、それで満足して実際の出費に目を向けないと、結局お金が不足して貯金専用口座に手をつける事態を招きかねません。
貯める金額と一緒に、「使うお金」も決めましょう。使っていい金額を決めることは、何にいくら使うか予算を立てることにつながります。予算が決まると、支出の都度「残金はあといくら・・・」と意識するようになります。
ポイントは、余裕を持った金額設定をすることです。ギリギリで設定して結局ATMに行くなんてことにならないようにしましょう。
「使うお金」と「使ったお金」を照らし合わせる
使っていいお金と、実際に使ったお金を照らし合わせることも大切です。「これにいくら使おう」と決めた予定が、実行可能な物だったかしっかり検証しましょう。
家計簿をつけることも方法の一つです。家計簿をつけることが苦手な人は、レシートを残しておいて各経費の合計金額を出すところから始めましょう。予定と結果の両方を管理することで、お金の使い方のクセや課題が見えてきます。
使ったお金が予定よりも多かった場合には、翌月には修正可能か、そもそも予定に無理があったかを検証します。この作業を怠ると、翌月も同じ結果になってしまいます。使ったお金が予定を下回った場合には、予定額を下げてもよいかもしれません。まだまだ貯金にまわすことのできるお金が見えてきます。
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固定費以外の見直しならすぐにできる
貯金をするためには、毎月必ず出ていく支出を見直すことが必須です。中でも、大きな金額の貯金を目指すなら、家賃や保険料などの固定費を見直すことが必要となります。しかし、例えば家賃を見直すとなると、家を探して契約し、引っ越しをしなくてはいけません。このように、固定費の見直しは時間がかかるものが多くなかなか簡単にはいきません。
50万円の貯金を目指すときには、固定費以外の支出見直しから始めましょう。固定費以外の支出は、すぐに節約開始ができるものがほとんどですよ。
食費の見直しはマスト
固定費を除く生活費の中で、最もお金がかかるのが食費です。毎日のことですから減らすことは難しいのではないかと思われるかもしれませんが、食費を見直すことで一ヶ月の支出を大きく減らすことも可能になるでしょう。
外食が多い人は、自炊の回数を増やしてみましょう。仕事が終わるのが遅くて自炊が難しい人は、休日におかずの作り置きにチャレンジすることを検討して下さい。仕事帰りの買い物は、空腹や疲れでお菓子など予定外の物を買ってしまうことが多いので要注意です。
食費を抑えるポイントは、一ヶ月の食費予算を明確にすることと、買う物を決めてから買い物に行くことです。また、冷凍食品など賞味期限に余裕がある食品は、安売りのときにまとめ買いをすると節約に繋がります。
リユース品を利用する
商品を購入する際に、リユース品も選択肢に入れることで支出を抑えることができます。
株式会社OKB総研が発表した「主婦のリユース品(中古品)の売買」に関するアンケート調査*1によれば、62.7%の人が、リユース品を購入する理由を「安く買いたいから」と回答しています。
支出を抑えるためにリユース品の購入が有効であると考えている人が多いようです。家電や子どものおもちゃなどさまざまな物をお得に購入でき、古着に抵抗がない人は被服費も抑えることができます。
リユース品は、中古品取扱店舗のほかインターネットオークションやフリマアプリでも気軽に売買ができます。不要になったものは店舗での買取やフリマアプリでの販売をすれば、小さな収入を得ることもできるでしょう。
「これは無駄遣いではないか」と問いかける
貯金のための工夫をすることも大切ですが、何より重要なのは毎日のお金を使うときの意識です。これまでよりも財布の紐を固く締め、支出の際には「これは本当に必要かな」とじっくり考えましょう。
ポイントは、マイルールを作ることです。
買いすぎを防止するためには、「大きい買い物は一晩悩んでから決める」というマイルールを設定すると良いでしょう。また、飲み会後のタクシー費用がかさむ人は、「タクシーは月2回まで」といったマイルールを設定します。
マイルールを決めるときには、全てを禁止するのではなく一部を許可することもポイントです。
「絶対買ったらダメ」や「タクシーは禁止」にすると、我慢した分一気に爆発したり一度の失敗で諦めたりしてしまいます。
貯金のための工程が我慢そのものになってしまうと、長続きしません。
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貯金が増えてきたら固定費の見直しにもチャレンジしよう
先程も触れたように、固定費の見直しは時間がかかるものが多く、手間がかかります。しかし、節約できる金額は大きく、一度見直せば節約効果が長く続くメリットもあります。
予算を決めたり、食費を見直したり、マイルールを決めたりして貯金が増えてきたら、固定費の見直しにもチャレンジしてみましょう。
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見直したい固定費の一覧
ここでは、見直したい固定費と節約のポイントを紹介します。固定費の中にも、見直しに時間がかかる支出もあれば、比較的簡単に見直しができる支出もあります。
最初からすべての支出を見直そうとすると、嫌になって挫折する恐れがあるので、まずは小さく始めるのが基本です。簡単に見直しができそうなものから着手して、少しずつ他の固定費も見直していくと良いでしょう。
定額サービス(サブスク)
サブスク(サブスクリプション)とは、商品やサービスを一定期間、定額で利用できるビジネスモデルのことです。最近では、スマホのアプリで気軽に利用できるサブスクが増えています。
サブスクは音楽や動画配信、雑誌の読み放題が代表的ですが、最近ではカフェ(コーヒー飲み放題)、車(月額料金で新車乗り放題)、食品の宅配などさまざまなサービスがあります。
サブスクはうまく利用すればお得な反面、利用回数が少なくても解約しない限りは定期的に料金が発生してしまうのがデメリットです。サービス1つあたりの料金は少額でも、積み重なると結構な金額になることもあります。
人気があり、また利用者の多いサブスク・定額サービスには以下のようなラインナップがあります。
- 音楽配信サービス
- 動画配信サービス
- 雑誌・書籍の読み放題サービス
- 使っていないクレジットカードの年会費
- 通っていないジム・習い事の月会費
- 雑誌・商品の定期購読
サブスクは使っていないサービスを解約するだけなので、見直しにそれほど時間や手間はかかりません。固定費の見直しは、不要なサブスクを解約することから始めましょう。
通信費
通信費は主にスマホ代で、自宅のインターネット回線や固定電話なども含まれます。
比較的簡単に見直しができるのは固定電話です。スマホがあれば、固定電話を使う必要性は低いかもしれません。毎月料金が発生するので、利用頻度が少ない場合は必要性を検討するのも一つのアイデアです。
スマホ代は契約プランを見直したり、格安SIMに乗り換えたりすることで利用料を大幅に節約できる可能性があります。
また、契約時に加入した有料オプションがそのままになっていて、料金を払い続けているケースもあります。使っていない有料オプションがあれば解約しましょう。
また、自宅にインターネット回線がある場合は、Wi-Fiの導入を検討しましょう。スマホをWi-Fiに接続すれば通信量を抑えられるので、スマホ代の節約につながります。
特に家族で複数台のスマホを利用している場合は、家族全員がWi-Fiに接続すればスマホ代を大きく節約できます。
保険
生命保険文化センターの調査によると、世帯の年間払込保険料(全生保)の平均は38.2万円です。*2
個人年金保険など将来への備えも含まれていますが、家計への負担は少なくないでしょう。保険を見直して保険料が安くなれば、毎月手元に残るお金が増えます。
保険を見直すときは、社会保障制度の内容を理解することが大切です。民間の保険に入らなくても、高額の医療費がかかったときは「高額療養費制度」が利用でき、会社員が病気やケガで長期間休む場合は「傷病手当金」も支給されます。
また、世帯主にもしものことがあれば「遺族年金」を受け取れます。社会保障だけでは十分な保障を確保できない場合のみ、民間の保険でカバーするといいでしょう。
掛け捨ての保険は、貯蓄型保険に比べると保険料が安い傾向にあります。貯蓄型保険は解約時や満期時に保険料の一部が戻ってきますが、早期に解約すると元本割れするリスクもあります。
保険と貯蓄を切り離し、掛け捨ての保険で必要な保障を確保しながら、貯蓄は預貯金や投資信託で準備するのも一つの方法です。保険料の支払いを負担に感じているなら、掛け捨ての保険を検討しましょう。
教育費
「教育費にはお金を惜しまない」という考えもあるでしょう。しかし、収入に対してあまりに支出が大きい場合は老後の生活費が不足してしまい、将来子どもに負担をかけることになるかもしれません。教育費を聖域化せず、支出を見直すことが大切です。
たとえば、塾や習い事を掛け持ちしているなら、1つだけに絞ってみてはいかがでしょうか。月謝について子どもと話し合えば、金銭感覚が身につくきっかけになるかもしれません。塾代が高くて負担を感じているなら、料金が割安なオンライン教材を利用する方法もあります。
教育費は際限なく支出が膨らむことがあるので、子どもと話し合った上で必要なものだけに絞ることを心掛けましょう。
車両費
車は本体価格が高額であることに加えて、ガソリン代や車検代、自動車保険などの維持費もかかります。
「公共交通機関が充実している都市部に住んでいる」
「週末しか乗らない」
という場合は、マイカーを手放すことを検討してみてはいかがでしょうか。
タクシーに乗る回数が増えても、マイカーの保有に比べ支出を抑えられる可能性があります。また、週末しか乗らない場合はカーシェアリングを利用する方法もあります。
カーシェアリングとは、必要なときに自由に車を使えるサービスです。パソコンやスマホから予約ができ、利用時間に応じて料金がかかる仕組みなので、乗る機会が少ない場合はマイカーを所有するより経済的です。
住居費
家賃や住宅ローンは、家計の中でも大きな割合を占める支出の一つです。住居費の見直しは時間や手間がかかりますが、その分大きな節約効果が期待できます。
賃貸物件に住んでいる場合は、家賃が安い物件に引っ越すことを検討しましょう。
ただし、何度も引っ越しを繰り返すとかえって支出が増えてしまいます。引っ越し費用や仲介手数料などの諸費用が何年で回収できるかを計算して物件を決めることが大切です。
持ち家の場合は、住宅ローンの借り換えによって毎月の返済額や総返済額を減らせるかもしれません。現在の適用金利や借入残高によっては、数百万円の節約になる可能性もあります。
住宅ローンの返済を負担に感じている場合は、借り換えを検討してみましょう。
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まとめ~50万円貯金できた自分を想像して~
なかなか貯金が増えないと、50万円というゴールが遠く感じてしまうことがあるかもしれません。貯金のための工夫を始めてみても、自分の目論見が甘くてうまく進まないこともあるでしょう。しかし、なぜ思ったようにいかないのか問題点を検証し、改善を重ねていけばきっと貯金は増えていきます。お金に対する意識も自然と変化するでしょう。50万円貯金という目標を達成した自分をイメージして、継続して取り組みましょう。
*1 出所)OKB総研「「主婦のリユース品(中古品)の売買」アンケート結果について」P4
*2 出所)一般社団法人 生命保険文化センター「2018年度(平成30年度)生命保険に関する全国実態調査」P24
2020.3.4 公開
2021.8.11 アップデート
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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