ポイント
子どもが生まれたら気になるのが、「育児手当」など子育てに関連した支援制度です。妊娠・出産を機に育児休業を取ったり、退職により収入が減ったり、何かと家計に動きがでてくるのもこの時期。
自治体や国が行っている育児支援制度や補助金制度には、育児手当、医療費や保育料に関するものまで、様々なものがあります。これらの制度を利用することで、家計の負担を軽くできることもあるため、子どもが生まれるまでにはチェックしておきましょう。
育児手当とは?受け取れる金額と受け取り方
現在、育児手当と呼ばれているものは、市町村など自治体が支給している「児童手当」のことを指しています。この児童手当は、国内に住んでいる0歳から中学生までの児童が対象になります。
児童手当の内訳ですが、2019年7月時点では、以下のような金額になっています。
児童手当の概要
0~3歳未満:月額15,000円(一律)
3歳~小学校修了前:第1子、第2子月額10,000円、第3子以降月額15,000円
中学生:月額10,000円(一律)
所得制限に掛かる家庭:月額5,000円(一律)
児童手当の受け取りは、自治体に申請します。注意が必要なのは、児童手当は申請をしなければ受け取ることができないということです。出産届けと同時に申請することもありますので、住んでいる地域の市役所や保健福祉センターなどのWebサイトなどを見て、申請場所などを事前に調べておきましょう。地域や担当部署によっては、母子手帳を交付してもらうときや、出産時に産院から説明を受けられることもあります。また転居・転入をしたときにも再度申請が必要なので、忘れないようにしましょう。
児童手当の受け取りは、年3回。申請するときに指定した銀行口座に、4ヶ月分がまとめて振り込まれます。教育資金の足しにする場合は、生活費などを管理している口座とは別にしておくと確実に貯められます。そのまま、幼稚園費用や小学校の学校費などの支払いにあてるとその後の管理もしやすいのでおすすめです。
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育児休業給付金とは?受給できる条件を確認しよう
育児手当とは別に、育児休業給付金というものがありますが、こちらは雇用保険から支給される国の制度となっています。
従って、専業主婦やフリーランス、自営業など雇用保険に未加入の場合には支給されません。また、受給するための条件もあるため、雇用保険に入っていても、条件に合わない場合も支給されません。
育児休業給付金の受給の条件や概要は、以下のようになっています。
育児休業給付金の受給資格*1
1.雇用保険の被保険者であること。
2.休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること。
(過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある場合、その後のものに限る。)
3.対象期間は、育児休業取得者で、1歳(または最大2歳)になるまでの期間。
雇用保険に加入していても、加入期間が短く、2番目の要件が満たされていない場合は支給されないため、勤務期間などには注意が必要です。上記の受給資格がある場合、以下の要件を満たした上で支給されます。*1
- 育児休業期間中、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。
- 就業している日数が1ヶ月ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること。
1ヶ月当たり、休業を開始したときの賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額
例)月収30万円の場合は20万1千円、6ヶ月後から15万円。
育児休業給付金の申請は、基本的には2ヶ月ごとに行うことになります。また男性で育児休暇を取得する場合も受け取れますので、該当する場合は忘れずに申請しましょう。
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乳幼児医療費助成制度とは?子どものいる家庭の医療費支援
各自治体には「乳幼児医療費助成制度」または「子ども医療費助成制度」というものがあります。
これは、子どもの医療費の負担軽減のための支援制度です。国民健康保険、社会保険などに加入している子どもが対象となっており、医療保険の範囲内の診療や入院に関して、自己負担の全額、あるいは一部を助成しています。所得制限などが設けられてない地域もあるため、子どものいる家庭にはとても助かる制度です。対象年齢は、15歳までの場合が多いのですが、なかには北海道南富良野町のように、22歳まで支援を行なっている場合もあります。*2
自治体により補助内容や子どもの適用年齢が異なるため、住んでいる地域がどのような形で医療費支援を行なっているか調べてみましょう。申請は、自治体の各担当部署で受け付けているので、必要書類に記入して届け出ます。
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自治体による幼稚園・保育園の補助金事業
幼稚園・保育園に通うときに受けられる補助金事業があります。保護者の経済的な負担を軽くするために、国や自治体が保育料の一部を負担する制度です。
しかし、以下の条件ごとに制度内容が大きく異なってきます。保育園、幼稚園の違いだけでも大きな違いがあるため、自分たちに適用される支援がどのようになっているのか調べておくことが重要です。
- 各自治体
- 公立、私立
- 世帯収入(所得)
- きょうだいの有無
- 第1子の年齢により第2子以降の適用金額が変更になる
- 幼稚園、保育園、認証保育園、認定こども園など施設の種類
それぞれに細かな違いはありますが、受けられる制度の概要は次のようになっています。
保育園や認定こども園の保育料
保育所や認定こども園の支援制度は、補助金制度ではありません。世帯収入により保育料が決められ、保育料を支払う時点で金額が決まります。保育料の支払額が支援の上限となるのが制度のおおまかな内容になっています。
私立幼稚園就園奨励費補助金
私立幼稚園に通う家庭に支給される補助金制度で、幼稚園を通して自治体に申請します。こちらは補助金事業となっており、保育料を支払ったあと、所得や子どもの人数、きょうだいの有無に応じて補助金額が決定され、後日支給される制度になっています。また、公立幼稚園の場合、もともと保育料が低いこともあるため、補助金事業を行なっていない場合もあります。
認可外や認定保育所、私立の保育ルームへの補助金
認可保育園や認定子ども園の場合は、上記で紹介したような制度が適用されますが、認可外保育所や私立の保育ルームでは別の補助金制度が適用されます。こちらは自治体により異なる部分が大きいため特に注意が必要です。
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まとめ
出産から入学前までの子育て支援は、家計の大きな助けになります。
受け取れる補助金や支援制度を知っておくことで、子育てに合わせて働き方を考えることができ、育児休暇をどのような形で取得するかなどの検討もできるため、事前に情報を集めておくと安心できます。
自治体や通わせる施設により異なるため、利用することがわかった時点で自治体のWebサイトは広報誌などで確認しておきましょう。
※紹介した制度は2019年7月時点。制度内容は変更になる場合があります。
*1
出所)ハローワークインターネットサービス 「育児休業給付について」
*2
出所)厚生労働省子ども家庭局母子保健課 「市区町村における乳幼児等医療費援助の実施状況」
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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