アリとキリギリス。
アリになるべきとわかっていながらも、お金を貯めたいと思いながらついつい散財、そんなことはありませんか。私達はなぜ、ストレスや刺激を受けて衝動買いし、ショッピングに走ってしまうのでしょうか。なぜお金が貯まらないのでしょうか。意志が弱いからでしょうか。
その理由のひとつに、消費シーンに仕掛けられたニューロマーケティングがあります。つまり、広告が過剰に仕掛けられていて、私達の考えや気持ちとは無関係に、買ってしまうのです。では、そんな現代社会で、意志の力を使わず貯金するには、どうしたらいいのでしょうか。
買ってしまうのは、意志の問題?
脳科学と衝動買いを解き明かした『買いたがる脳』(デイビッド・ルイス著)によると、買い物は消費者が主導権を握っているように感じます。しかしそれらは実のところ与えられた感覚であり、とくに小売のシーンでは、「主体性」を持っているような気になるとのことです。
しかし、あくまでそれは「幻想」であると、デイビッド・ルイスは言います。
出所) デイビッド・ルイス『買いたがる脳』
つまり、私達はお店に入って自分で選んでいるような気持ちになりながら、実は選ばされているのであり、マジシャンが観客に答えのあるカードを引かせるように、買い物をせざるをえないカードを突きつけられていると言えます。
そして、選んでいるような気持ち、すなわち主体性ですらも、売り手によって巧妙に演出されたものだということが、この本で示されています。
買い物をしてしまうのは、意志の問題というよりも、現代に仕掛けられたマジックなのです。
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自然に貯められる貯金術
あちこちにマジックがほどこされた状態で、買い物をせずに過ごすことは困難です。それでも貯金は必要ですから、それを逆手に取る作戦があります。それが、小銭投げ入れ貯金術です。
町を歩いていたら買い物がしたくなる、それは巧妙なマジックですから避けられないとして、静かな空間である自宅に戻ったら、お財布の中にある小銭をすべて、貯金箱にいれてしまいましょう。ただ、それだけなのです。
小銭を貯金箱にいれて、あとは忘れるだけ。翌朝から、またお札を使って生活に必要なものを買っていきます。そして帰宅したらまた、小銭を貯金箱にいれて、忘れてしまいましょう。
3ヵ月も経過したら、貯金箱はパンパンになります。
一般的には1日500円程度のお釣りが発生し、3ヵ月で45,000円といったところでしょうか。
それを自分で数えてもよいですが、銀行に持っていって投資の原資や定期預金に入れるのもおすすめです。
この、小銭投げ入れ貯金術の最大のポイントは、小銭を貯金箱に投げ入れたら、あとは忘れてしまうところにあります。
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消費を楽しみつつも自衛する
小銭投げ入れ貯金術は、衝動買いと節制の中間の位置づけです。キリギリスのように衝動買いを続けて破産したり、アリのように節制しすぎて人生がつまらなかったりの間で、ほどよく消費を楽しみながら、しっかりと貯金するためのシンプルな行動ではないでしょうか。
冒頭のデイビッド・ルイス博士の別の本である『なぜ「つい」やってしまうのか 衝動と自制の科学』では、100年前にアメリカで誕生したスーパーマーケットというビジネスについて解説されています。あの、毎日のように使うスーパーです。
スーパーでは、卵や牛乳といった必需品が安くなっています。それは、人為的に価格を下げ、消費者に「味方ですよ」というメッセージを送っているのです。
このように、スーパーですら私達に消費のメッセージを投げかけるのですから、すべてに抵抗していては日常生活が営めません。反対に、あらゆる広告にのせられていても、お金が一向にたまらないでしょう。それなら、日々の買い物のお釣りを帰宅してから貯金箱に入れて、忘れてしまいましょう。
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まとめ
消費ばかりのキリギリスと、貯蓄ばかりのアリ。『アリとキリギリス』の寓話では、キリギリスは死んでしまいましたが、仮にキリギリスに蓄えがあったらどうだったでしょうか。もしかしたら、アリは人生を楽しむ方法をキリギリスに教えてもらってみんなハッピー、そんな結末が待っていたかもしれません。
小銭投げ入れ貯金術で、ぜひコツコツと小銭を貯めてみてください。「貯金をしなくては」というストレスもたまりませんし、生活が快適になります。お札は勢いよく飛んでいきますが、その分だけセーブしようかなという気持ちが働いて、自然な節約につながりますので、おすすめです。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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