ポイント
子どもが朝起きてくれない、着替えや歯磨きに時間がかかる、ご飯を食べてくれない、保育園・幼稚園に行きたがらない…。
子育て中のママは、毎日がストレスとの戦いです。気づいたら毎日子どもを怒鳴ってばかり…という方も少なくないでしょう。あまりにイライラしてもうイヤ!…そんな気分になったとき、「自分は育児ノイローゼでは?」とふと頭をよぎるかもしれません。
実際、育児ノイローゼは誰にでも起こり得るもので、全く珍しいものではありません。同じように悩んでいる人がどれくらいいるのか、また、どんな人が育児ノイローゼに陥りやすいのか。データを見ながら対処法についても考えてみましょう。
多くの人が経験し共感する、育児ノイローゼの実態
一般的に、育児ノイローゼは出産後や育児期における不安やうつ状態、睡眠障害などを引き起こす精神状態のことを指します。
少々データとしては古いものの、2003年の調査によれば、働いているママの約40%が、自分が「育児ノイローゼ」や「産後うつ」ではないかと思ったことがあると回答しています。また、2014年の別の調査によれば、子育てをする上での不安について、「育児ノイローゼに共感できる」に「よくある」、「時々ある」と回答した人が48.9%と、全体の約半数を占める結果でした。
実際にノイローゼでなくとも、「ノイローゼかも」と思うような子育ての辛さを体験している人が非常に多いと推測できます。
出所)独立行政法人労働政策研究・研修機構「育児と仕事の両立に関する調査」報告書(2003年9月)、特定非営利活動法人 子育て学協会「幼児期の子育てに関する悩み調査」(2014年)
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育児ノイローゼの具体的な症状と原因は?
一口に育児ノイローゼと言っても症状は広く、一概に「こうなったらノイローゼである」と自己診断がしづらい部分があります。ここでは一般的な症状とされる内容を見てみましょう。
・精神的に不安定
・よく眠れない
・ちょっとしたことでイライラする
・いつもぼーっとして無気力状態
・我が子をかわいいと思えない
・マイナス思考になってしまう
・これまで好きだったことに興味がわかなくなった
・食べ過ぎ、あるいは食欲不振がある
・突然悲しくなる、涙が出る
育児ノイローゼは、出産によるホルモンバランスの崩れや睡眠不足、子育てによるストレスが原因で起こるとされています。特に現在は核家族化が進み、母親オンワンオペ育児が問題になることも少なくありません。子どもにかかりきりになった結果、自分の生活バランスが崩れ、さらに「上手く子育てができない」という不安な状態が続くと、過度のストレスとなってしまうようです。
では、育児によるストレスの原因は何が多いのでしょうか。特定非営利活動法人「子育て学協会」の調査で「育児ノイローゼに共感する」と答えた人が抱く、子育ての悩みトップ3を見てみましょう。
1位:つい感情的に叱ってしまうことが多い
2位:父親母親どちらか一方に子育ての負担が偏っている
3位:子どもが食事の好き嫌いが多い
4位以下は、「叱り方がよくわらない」、「夫婦間で子育てについて衝突することがある」、「なかなか子どもの話を聞いてあげられない」などが続きます。
出所)コトバンク(出典:小学館「デジタル大辞泉」及び株式会社平凡社「百科事典マイペディア」)、 特定非営利活動法人 子育て学協会「幼児期の子育てに関する悩み調査」(2014年)
こんな状況に陥ってない?育児ノイローゼになりやすい人の3つの特徴
このように「育児によるストレス」を引き起こす要素は実にさまざまですが、同じ不安や悩みを抱えていても育児ノイローゼになるかならないかには個人差があります。
では、その差はどこにあるのか。育児ノイローゼになりやすい人の特徴を3つ挙げてみます。
・真面目で完璧主義な性格
仕事などでもミスをしたくない、完璧主義で責任感の強いタイプの人は、子育てがうまくいっていないと感じると、「どうしてできないのだろう」と落ち込みやすくなります。特に一人目の子どもだと、「完璧な子育てをしないと」、「こんなふうに育てたい」…そんな思いが強くなってしまうケースも少なくありません。
・周囲に頼れる親類やママ友がいない、夫と話し合えない
育児の負担を一緒に担ってくれる相手、悩みや不安を相談して理解してくれる相手がいないと、何か問題が起きたり、毎日の生活が辛いと思っても自分一人で解決しなければならず、常に不安がつきまといそうです。
・一人の時間がない
出産後は24時間赤ちゃんにつきっきり、育児休暇が終わり保育園に子どもを預けるようになっても、昼は仕事、夕方になれば子どもを迎えに行って家事育児に追われ、たまの休日も子どもの相手。子どもが風邪を引けば数日は家にこもりきり…。
そんなふうに誰にでも必要な「一人の時間」が育児によって極端に減ってしまうと、ストレスが募るのは当然です。
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自分はノイローゼ?どう対処したらいい?
どこからがノイローゼなのか、明確な判断は難しいですが、ここまでご紹介した要素に当てはまる点が多いのなら、育児ノイローゼの可能性が高いと言えるでしょう。少なくとも「ノイローゼかも」と思うということは、子育てが辛いと感じているということです。ここまでにご紹介した要素について、まずは自分の状況を整理し、育児に対する心の負担が軽くなるように以下のような対策を試してみましょう。
<今すぐできる具体的な対策>
・がんばりすぎなくていい、完璧でなくてもいいという考え方を持つ
育児がうまくいかないと感じても、深刻に考えすぎて自分を責めないこと。ほどほどに、適当に、手を抜ける部分は手を抜きましょう。100点満点の育児を目指す必要はないのです。
・子どもから離れて一人の時間を持つ、自分が楽しいと思えることをする
「育児の辛さに堪えきれず家出をして、丸一日、一人で好きなことをして過ごしたら気持ちが楽になってまた育児に向き合えた」――そんなケースは珍しくありません。子どもはママが365日24時間面倒を見なければいけないわけではありません。会社勤めだって、週に2日のお休み普通です。「子育てを休む日」も定期的に設けて、しっかり息抜きをしてみてください。
実家や信頼できるママ友に預ける、ベビーシッターを利用する、夫に任せるなどの方法を模索しましょう。
・子育てに関して頼れる関係性を持つ
何か不安に思ったり迷ったりしたら親に連絡する、身近でおしゃべりできるママ友をつくるなど、頼れる先を複数作っておけば、「何かあれば相談できる」ということ自体がちょっとした安心感やストレス軽減につながるはずです。
それも難しいという場合は、自治体の子育て支援課や社会福祉法人の「子育てホットライン」、企業の育児の無料電話相談窓口やネット掲示板などでもよいので、相談先を探してみましょう。子育てに悩みはつきものなのですから、ぜひママ向けに提供されているサービスを上手に利用してください。
・心療内科などの病院に相談する
病院に相談すれば診断内容に即して適切な薬が処方されますし、カウンセリングを受けられる病院なら、ご自身の病状や子育ての状況について聞いてもらうこと自体がストレス軽減の第一歩になります。複数の病院にあたって、自分に合った病院を探すことも重要です。
「病院にかかるなんて周りにどう言われるか…」、「現状を説明するのが恥ずかしい」と感じるとすれば、それも「完璧主義」による弊害なのかもしれません。まずは自分の身体を健康に保つことが、ひいては子どものためにもなるはずです。
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まとめ
子育てはできて当たり前のものではありません。これまでは自分自身のために使っていた時間のほとんどを子どもに費やすようになると、やはり辛いと感じることも多いものです。昔と今では、ママを取り巻く環境も異なり、誰かに全面的にサポートしてもらいながら子育てできるとも限らないでしょう。「もうイヤ!」とストレスが爆発してしまう前に、自分が少しでも楽をして、楽しみながら子育てをできることを第一に考えましょう。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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