独身女性の老後 シェアハウスという選択肢も魅力的な時代に

独身女性の老後 シェアハウスという選択肢も魅力的な時代に

年金に対する不安が報道される中、「歳をとって一人になったらどうなるのだろう」となんとなく不安に思う人も多いでしょう。また、今は結婚しているけれど、将来は離婚して一人になりたい、と言う人もいるかも知れません。女性の中には、年金額が少ないことを心配している人もいます。

未来のことはわかりません。しかし、「なんとなくの不安」を解消しておくために、今できることは何があるのか。選択肢を増やすために、どんな心構えをしておいたらいいのかを考えてみましょう。

増える独身高齢者と「ソロ社会」の到来

日本では、独身者の割合が増えています。

国の予想によれば、2025年の単身世帯、つまり一人暮らしの人は、2015年より8.4%増えて1996万世帯になるとみられているそうです。総人口に占める1人暮らしの割合は16%となり、2015年の「7人に1人が1人暮らし(14%)」という状況が、「6人に1人強が1人暮らし」に変わるのです。*1

晩婚化・非婚化と共に、離婚率も上がり、「一人暮らし」が増える未来が来るのは間違いなさそうです。

「ソロ社会」が来る、つまり、多くの人にとって、他人事ではなくなってくると。一人暮らし自体にはなんの問題もないのですが、そもそもの生活コストが上がることと、高齢になると孤独や病気などの問題が出てきます。

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高齢女性は貧困に陥りやすい

さらにもう一つ、注意したいことがあります。高齢になると、とくに単身女性の貧困率が上がるという事実です。

厚生労働省『平成25年国民生活基礎調査』で、男女別に相対的な貧困率を見ると、単身女性の相対的な貧困率は44.6パーセントと最も高い水準にあります。女性の貧困率が上がってしまう原因には、公的年金の加入年数が短いことや、そもそもの収入が低かったことなど、さまざまな原因があるようです。*2

では、準備できるオプションには、どんなものがあるのでしょうか。

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好きな仕事で働き続ける

一つには、やはり歳を取っても健康を維持し、働き続けることでしょう。
日本全体が高齢化する中、できれば元気があるうちは働いてほしい、というのが近年の政府のスタンスになりつつあります。*3
自助努力できる人は自分でなんとかしてください、と。これは辛い仕事を無理にしている人には厳しい現実ですが、一方で社会と関わり続ける意欲があり、仕事が好きという人にとっては福音です。

そのためには、自分の好きな仕事を若いうちに見つけておく、生涯できる仕事を作っておくと言うのも一つの方法です。働くことは生きがいにもつながり、社会と関わることで、孤独であることからも逃れられそうです。

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運動習慣と資産運用を始める

しかし働くといっても、高齢になると、体力や病気の不安も出てくるではないか、と言う人もいるでしょう。確かにその通りです。

そのためには、出来るだけ体が動くうちに、体力をつけておく、そのためには運動習慣をつける、というのも必要です。

生活習慣病と運動習慣が関係していることは、すでによく知られています。

厚生労働省も、身体活動量が多かったり、運動をしている人の方が、病気の発病率や死亡率が低く、さらにメンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすと指摘しています。さらには、高齢になった場合にも、歩行など日常で運動していることで、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることがわかっているのだそうです。そしてそのためには運動習慣をつけることが重要だというのです。
実際に厚生労働省は、「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」と定義される運動習慣者を10%増加させることを基本方針としています。*4

運動といっても、別に特別なことをするのではなく、ウォーキングなどを趣味として取り入れるだけでも十分なのだそうです。ただし、できれば体力があるうちに習慣づけする必要があるのは言うまでもありません。

もう一つの方法は、資産を蓄えておくことです。
若いうちから収入を預貯金に回し、一部を投資などで増やすなどして、資産運用をしておく。お金は気持ちの余裕にもつながります。

ただし、もちろんこの方法にはリスクもありますから、あくまで自分が取れるリスク内でやることです。副業や投資を合わせ、収入の流れをいくつか作っておくのは、将来の生活のために有効だと思われます。

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高齢シェアハウスで家賃と孤独を解決する

老いを意識した段階で、できるだけ生活費を下げておく、荷物を減らしておくのも、有効でしょう。生活のサイズを小さくし、身軽にしておくことで、動きやすくなっておくわけです。

自炊や地方移住、生活費のカットの方法はさまざまですが、生活費の大きい部分を占めるのが家賃です。単身暮らしですと、どうしても家賃が大きくなります。

注目されているのが「高齢者向けのシェアハウス」です。「歳を取ってからのシェアハウスはちょっと」と思われるかも知れませんが、他人と一緒に生活することで孤独からも解放され、万が一のときに頼ることができるシェアハウス。さらに、一人で住むよりも光熱費や家賃の節約にもなりますから、高齢者には実は向いているという考え方もあります。

国土交通省は、高齢者向けの賃貸住宅の供給を増やすため、「終身建物賃貸借事業」の省令を改正しました。*5
すでにヘルパーのついた高齢者むけのシェアハウスなども登場しています。高齢者が集まってシェアハウスで暮らす未来は、すでに見えているのです。

いつも人に囲まれていれば「孤独死」に怯えることもなく、助け合って暮らせるのかもしれません。

そのためには、荷物を必要以上に増やさない、いざというときには誰か他人と住めるように慣れておく、体力をつけておく、柔軟に思考できるように癖をつけておく、など、若いうちからの心がけが有効になるでしょう。

*1
出所)みずほ情報総研 「2025年:単身世帯が1996万世帯 加速する「ソロ社会」化」

*2
出所)J-STAGE 「高齢単身女性と貧困」

*3
出所)朝日新聞デジタル「「エイジレス」なるべく長く働いて 政府の高齢社会対策」

*4
出所)厚生労働省 「身体活動・運動」

*5
出所)プレジデントオンライン 「高齢者用シェアハウスは独居老人を救うか」

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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