ポイント
20代後半を迎えると、周りはそろそろ結婚ラッシュ。「30歳頃までには私も…」と考え始める女性も多いのではないでしょうか。
でも、本当に自分が結婚したいと思える人と出会えるのか、あるいは結婚後に幸せな生活を続けられるのかはわかりませんよね。「おひとり様」で生きていく可能性は、誰にでもあります。
今回は、「もし結婚しなかったら?」をテーマに、老後のお金の問題なども絡めてご紹介します。
独身は珍しくない
厚生労働省の統計によると、第二次ベビーブーム期を迎えた昭和46年の婚姻件数は約100万組、一方、平成29年の婚姻件数は約60万組です。
出所)厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況」
さらに、別の調査で年齢別の未婚率を見てみると、2015年時点で30~34歳女性のおよそ3人に1人(34.6%)が未婚です。35~39歳でも約4人に1人(23.9%)は未婚という結果が出ており、独身は決して珍しくないということがわかります。
出所)内閣府ホームページ「未婚化の進行」
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独身のメリットを考えてみよう
内閣府の調査では、1992年から2015年の6回の調査全てで、25~34歳の未婚女性が独身でいる理由として最も多い項目は「適当な相手にめぐり会わない」です。
出所)内閣府「平成30年版 少子化社会対策白書」
自分が望まない相手とは無理に結婚したくない、という志向はここ十数年、かなり根強いものと言えます。
では、もし独身の場合、どんな生活になるのでしょうか。
まずはメリットから考えてみます。
・自分のためにお金や時間を使える
趣味を思う存分楽しむ、欲しいものを買う、ふと思い立ったときに即行動する…。パートナーや子どもがいると、どうしても制限されてしまうお金や時間の使い方も、独身なら誰かに気兼ねする必要もありません。
・起業や転職など新しい挑戦をしやすい
現在は出産後に継続して就業する女性の割合が上昇傾向にありますが、それでも仕事と育児の両立が難しいなどの声は多くあります。
その点、独身なら自分のやりたい仕事に思う存分打ち込むことができます。
例えば、スキルと経験を積んで35歳で起業しよう…などの挑戦も比較的しやすいと言えるでしょう。
転職する場合でも、リスクを負うのは自分だけという気楽さがあります。
・住む場所や住まいの形にとらわれない
一人で暮らすので、どんな住まいを選ぶかも自由。部屋数の多いマイホームを無理に買う必要もありません。「海の見える土地に住みたい」と思えば、好きなタイミングで海辺の部屋を借りればいいのです。
・生涯コストが少なくて済む
住まいのコストはもちろん、食費、洋服代、交際費はすべて一人分。子どもの養育費もかかりません。
・いつでも自由に恋愛ができる
いつでも自由に恋愛ができるのも、独身のメリットです。
また、パートナーと恋人として一緒に過ごす分には年齢制限はありません。
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もちろんいいこと尽くし…ではない。独身のデメリット
自由に自分の好きなことをしながら暮らせる独身という生き方。とはいえ、一人で生きていくのは簡単なことばかりではありません。次はデメリットを考えてみます。
・「一人」が楽しめないと孤独が辛い
一人で買い物、一人で食事、風邪を引いても一人で休養…。ふとしたときに「孤独」を感じることがあるかもしれません。一人暮らしをするとホームシックになりそう、いつも誰かと一緒にいたいという方にとっては、生涯独身は辛いかもしれません。
・生活面においてすべてを一人でこなすのは大変
前述したように体調を崩したときや、部屋の模様替えで家具を動かしたいとき、引っ越しで力仕事が必要なとき、大掃除をするとき。一人でこなせないことはなくても、「人手がいればなあ」と感じるシーンは少なくないでしょう。
・自分には自由な時間があっても、周りの友人はそうでないケースも
上述した統計データでは30~34歳女性の3人に1人は未婚ですが、周りの友人にも未婚女性が多いとは限りません。
例えば、あなたの周りの友人が全員結婚して子どもができ、忙しさのためになかなか予定も合わなくなってしまった…となると、いくら自由に遊びたいと思っても誰も誘えない状況になるかもしれません。
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独身でいる場合に必要な老後の資金って?
次は老後のお金について考えてみましょう。
既婚の場合、独身と大きく異なるのは夫や子どものことも考えた家族での老後の資金計画が必要であるということ。その点、独身女性が考慮すべきは基本的には自分のことだけです。
60歳以上の単身世帯の月間の消費支出平均額は、148,358円。
ここには食費や居住費、光熱費・水道代、医療費、通信費、娯楽などの費用も含まれています。
出所)総務省「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要― Ⅲ 総世帯及び単身世帯の家計収支」
60歳から90歳まで30年間生きるとしたら、約15万円×12ヵ月×30年=約5,400万円必要となります。
そのほかにも、例えば病気や事故など不測の事態に備えるための費用、自分に介護が必要になったときのための費用なども蓄えておく必要があるでしょう。
では、実際いくら準備しておけばいいのか…。
これは、将来年金だけで生活するか、60歳を過ぎてもバリバリ働くのかという働き方はもちろん、数年に1回は海外旅行に行きたい、趣味はずっと続けたいなど、どんな老後を過ごしたいのかによって千差万別です。
いずれにせよ、何歳までにいくら貯めるのか、最低限必要な金額を目安に目標額を定めることが必須となるのは間違いありません。
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自分が幸せだと思う生き方を選びつつ、着実に老後資金を準備しよう
現在は多様な価値観が認められるようになってきました。
結婚をすることと独身でいること、どちらが幸せなのかを決めるのは、最終的には自分自身です。
しかし、どちらにせよ老後にまとまった資金が必要であることは明白。
だとすれば、「独身で生きていく」という可能性があるかもしれないことを頭に入れながら、コツコツお金を貯めたり、資金を増やすための投資にも目を向けてみることが大切です。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)