株主優待をお得に取得する方法と注意点

株主優待をお得に取得する方法と注意点

上場企業の中には、株主優待を実施している企業があります。株主になると企業から自社製品や優待券、金券などがもらえるため、株主優待を目的に株式投資をする個人投資家もいます。工夫次第では、より多くの株主優待を取得することも可能です。ただし、株主優待銘柄に投資するときには、注意しなくてはならないこともあります。そこで今回は、株主優待をお得に取得する方法と注意点について解説します。

取得に必要な最低株数で投資する

株主優待を取得するために必要な株数は、銘柄によって異なります。配当金額は保有株数に比例して増えますが、株主優待の内容は保有株数に比例して増えるとは限りません。たとえば、株主優待取得の条件が100株以上の場合、保有株数が100株でも200株以上でも優待内容は同じです。

そのため、優待取得に必要な最低株数で投資することで、優待利回りを最大化できます。ただし、中には保有株数に比例して優待内容が増える銘柄もあります。株主優待を目的に投資するときは、必要な最低株数を確認したうえで投資しましょう。

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権利付最終日と権利確定日を確認しておく

株主優待を受け取るには、優待実施企業の株主としての権利を獲得しなくてはなりません。株主になるには、権利付最終日までに株式を購入する必要があります。権利付最終日は、権利確定日の2営業日前です。以前は権利確定日の3営業日前でしたが、2019年7月16日(火)約定分から株式などの決済期間が短縮されたことに伴い、2営業日前に変更になりました。
株主優待の権利確定日が2019年9月末の場合、権利付最終日と権利確定日は以下の通りです。

  • 権利付最終日:2019年9月26日(木)
  • 権利確定日:2019年9月30日(月)

2019年9月26日(木)までに株式を購入すると、2019年9月30日(月)に株主としての権利が確定し、株主優待を受け取れます。銘柄によっては権利確定日が月末ではなく、15日や20日の銘柄もあるので注意が必要です。株主優待を目的に投資する場合は、銘柄ごとに権利付最終日と権利確定日を確認しておきましょう。

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株価チャートの特徴を確認する

株主優待を目的に投資するときは、投資する銘柄の株価チャートを確認しておくことが大切です。人気が高い株主優待銘柄の場合、多くの個人投資家が優待取得を目指します。そのため、権利付最終日に向かって株価が上昇し、権利落ち日(権利付最終日の翌日)に株価が下落することがあります

このような銘柄を権利付最終日の直前に購入すると、受け取れる株主優待以上の含み損を抱えてしまう可能性があるので、購入タイミングに注意が必要です。また、株主優待を実施していても、株価の動きにこれといった特徴が見られない銘柄もあります。将来の株価を正確に予測することは不可能ですが、株価の動きに特徴がある銘柄もあるので、投資する前に株価チャートを確認しておきましょう。

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長期継続保有で優待内容がアップする銘柄を狙う

株式を長期継続保有すると、優待内容がアップする銘柄もあります。たとえば、「通常は100株保有で1,000円分の優待がもらえるところ、1年以上継続保有すると2,000円分にアップする」といった具合です。株主優待の長期継続保有特典がある銘柄は、株価に左右されずに長期保有できるのがメリットです。長期継続保有の要件を満たすには、同一株主番号で株主名簿に記載される必要があります。

一度売却すると、権利付最終日までに買い戻しても株主番号が変わってしまうため、長期継続保有の要件を満たせなくなるので注意してください。また、貸株金利を受け取れる「貸株サービス」を利用すると、貸株中は株式の所有権が証券会社に移転してしまうため、長期継続保有とみなされなくなる可能性があります。

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家族の口座を活用する

株主優待を目的に投資する場合、家族の口座を活用すれば優待利回りをアップできます。たとえば、100株以上の保有で株主優待を受け取れる場合、ひとりで300株購入しても優待内容は変わりません。しかし、家族の口座を活用し、3名分の口座で100株ずつ(合計300株)購入すれば、それぞれ株主優待を受け取れます。投資金額(300株購入)は同じでも、家族の口座を活用することで、受け取れる株主優待は3倍に増えるのです。証券会社によっては、未成年口座の開設も可能です。家族名義の口座は口座名義人が操作しなくてはなりませんが、未成年口座は親権者が取引主体になれます。より多くの株主優待を受け取りたい場合は、家族の口座の活用を検討しましょう。

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含み益が発生したら売却を検討する

株主優待を目的に投資する場合でも、含み益が発生したら、売却して利益確定することを検討しましょう。定期的に株主優待を受け取れるのは魅力ですが、株式投資では利益を確保することも大切です。

購入時より株価が大きく値上がりした場合、売却して利益確定したほうが、株主優待を受け取るより大きな利益を得られる可能性があります。株価は常に変動しているため、業績や株式市場の状況によっては株価が下落し、大きな含み損を抱えてしまうかもしれません。売却益と株主優待を比較して、含み益が株主優待で得られる利益を大きく上回っているなら、売却して利益確定するのもひとつの方法です。

売却後、さらに株価が値上がりする可能性もありますが、将来の株価を予測することは不可能です。もし売却後に株価が下落したら、買い戻すこともできます。「~%値上がりしたら売却する」など、売却する基準を明確にしておけば、売却時期を判断しやすくなります

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優待内容だけでなく業績・財務内容も確認して購入する

株主優待銘柄へ投資するときは、優待内容だけでなく、業績・財務内容も確認しましょう。業績や財務内容に問題がある銘柄は、株価下落リスクが比較的高くなります。優待内容が魅力的でも、株価が下落して損失を抱えてしまっては意味がありません。優待内容だけで判断せず、業績や財務内容もチェックして、安心して長期保有できる銘柄を選ぶことが大切です。業績や財務内容が良好な銘柄は、株価の値上がりが期待できるので、株主優待と売却益の両方を得られる可能性があります

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購入後は優待内容の縮小・廃止がないか確認する

現在の株主優待が、今後も継続して実施される保証はありません。企業の状況によっては、優待内容が変更されることもあります。優待内容の改善は株価上昇につながりますが、縮小・廃止は株価の下落要因となります。そのため、株主優待を目的に投資する場合は、優待内容の縮小・廃止がないかを定期的に確認することが大切です。もし株主優待の縮小・廃止が実施され、保有する理由がなくなった場合は、損失を拡大させないために損切りを検討しましょう。

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まとめ

ここまで、株主優待をお得に取得する方法や注意点を紹介してきました。株主優待を目的に投資する場合、少し工夫するだけでより多くの優待品を取得できます。今回紹介した方法の中で取り組めそうなものがあれば、少しずつ試してみましょう。

参考:株主優待って何がそんなにお得なの?!

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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