ポイント
個人投資家が投資をするときの楽しみのひとつとして「株主優待」や「配当金」があります。
投資信託を購入した場合には、直接、株主優待や配当金を受け取ることはできません。しかし、これらはルールに従って投資家の資産に繰り入れられているため、どこかに消えてしまったわけではありません。
投資信託の時価を示す「基準価額」の計算方法とあわせて、株主優待や配当金がどのように取り扱われているかをお話しします。
投資信託の売買に使う「基準価額」の計算方法
投資信託は、「基準価額」という値段を使って売買します。
基準価額は「投資信託の一口あたりの値段」を表したもので、売買する口数を次のように計算します。
(1口1円で運用が開始された投資信託は、1万口あたりの基準価額を公表しています)
例:基準価額(1万口あたり)12,500円の投資信託を100万円分購入する場合(購入時手数料は別途支払う)
100万円÷12,500円×10,000=80万口
では、この基準価額自体はどのように計算されているのでしょうか。
基準価額は以下の式で求められます。
「純資産総額」とはその投資信託が保有しているすべての資産の時価総額です。そして総口数は、全投資家の保有口数の総数を指します。
例えば、純資産総額が300億円で総口数が250億口であれば、基準価額は次のようになります。
- 1口あたりの価額:300億円÷250億口=1.2円
- 基準価額(1万口あたり):1.2円×10,000=12,000円
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投資信託で保有している株は、誰が株主になっているのか?
株で資産運用をする場合、株主優待や配当金を受け取ることができるのがひとつの魅力でもあります。しかし、投資信託を保有していても、株主優待や配当金を直接受け取ることはできません。それはどうしてでしょうか。
投資信託は、多数の投資家から集めた資金をまとめ、その資金を運用方針に従って、専門家が株式などの金融資産に投資するものです。
投資信託を購入することで、少額で多数の銘柄に投資することができるのですが、投資信託を購入した投資家自身が株主になるわけではありません。
株主になるのは、受託者(信託銀行)です。投資家が払い込んだ投資資金を信託銀行が保管・管理し、自身の名義で売買を行っているためです。
※名義は信託銀行ですが、投資家の資金だけを分別管理しているため、運用以外に資金が使われることがない仕組みになっています。
また上場企業の大株主を調べると、信託銀行が名を連ねている場合があります。これは、年金の運用や投資信託の運用を担当する信託銀行が投資家から預かった資金で投資していることを示しているのです。
このように、投資信託は投資家自身が株主となっているのではないため、投資家のもとに株主優待や配当金が送られることはないのです。
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株主優待や配当金として受け取ったものは、投資家の資産になる
では、株主優待や配当金は、どこへ行くのでしょうか。
もちろんこれらは株主のもとに送られるため、信託銀行が受け取ることになります。しかし、株主優待も配当金も、本来は投資家のものですから、信託銀行の資産ではなく投資家の資産として扱います。
金銭で受け取っている配当金は、そのまま投資信託の信託財産にすることができますが、株主優待はどのように処理されるのでしょうか。
株主優待物の処理については、投資信託協会で定められており、容易に換金できるものは原則換金し、信託財産に繰り入れることとなっています。
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配当が原因で株価が下がっても、投資資金は減っていない
配当金が投資家に支払われると、理論的にはその分だけ株価は下落します。
3月末や9月末など、多くの企業が配当金を支払うときには、日経平均株価が配当落ちで大きく下落したように見える場合もあります。
株価が下落して損をしたようにも見えますが、配当金が支払われた分は、信託銀行が受け取っており、投資信託の純資産に繰り入れられます。
前日の投資信託の純資産が300億円あり、配当落ちで保有株式の時価が298億円になったとします。しかし、同時に配当金や株主優待を換金した総額が2億円あれば、投資信託の純資産は298億円+2億円=300億円で変化はないということになります。
このように、配当によって株価が下がっても、その分の資産が現金に変わっただけであり、投資家から見た資金が減少したわけではありません。ただし、株価は配当落ち以外の理由でも変動するため、配当落ち後の株価が理論値よりも高くなったり、安くなったりすることはあります。
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まとめ
このように、投資信託での株主優待や配当金は、適切に処理され、投資家の資産となっています。
株主優待を楽しむことはできないかもしれませんが、それが投資の目的ではありません。
資産運用の究極の目的は資産を堅実に増やしていくことです。投資信託では、株主優待や配当金を間接的に受け取りながら、世界中の金融資産に少額から分散投資ができるというメリットを手に入れられます。
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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