ズボラ向け?「保険で老後資金を積み立てる」という考え方

ズボラ向け?「保険で老後資金を積み立てる」という考え方

老後のために貯蓄が必要…というのは、誰しもがわかっていることです。公的年金だけでは老後の生活が心もとないと感じている人は多いはず。年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられ、今後もさらに支給タイミングがずれこんでいく可能性があるともうわさされる現在の社会情勢ではなおさらです。
そこで今回は、老後の資産形成の一つとして、保険を活用する方法をご紹介します。「保険で貯蓄?」と意外に思った方、貯金が苦手な方、また現在の貯金額では心もとなく感じている方は、ぜひチェックしてみてください。

みんなはどんな方法で老後資金の準備をしようとしている?

保険で老後資金を積み立てる方法をご紹介する前に、まずは現在の20~30代の方々がどのような方法で老後資金の準備をしようとしているのかを見てみましょう。
NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会の「老後とお金に関する調査」によれば、年金以外の老後資金の準備について、20代と30代の回答は以下の通りでした。

<20代の回答>(複数回答)
1位 預貯金(定期預金を含む)で準備する 35.0%
2位 老後も働く 34.0%
3位 金融商品で増やす 16.5%

<30代の回答>(複数回答)
1位 老後も働く 44.0%
2位 預貯金(定期預金を含む)で準備する 37.5%
3位 金融商品で増やす/保険商品で準備する 15.5%

出所)日本FP協会「老後とお金に関する調査」

預貯金で備える、あるいは老後も働くというのが圧倒的な多数意見でした。ついで出てくるのが「金融商品」や、今回ご紹介する「保険商品」で準備するといったものですが、2割に届きません。30代の方は実に半数に近い割合の人が定年を迎えた65歳以上になっても働き続ける意欲を示しています。

これは、やはり年金や貯蓄への不安が数字になったものと考えられます。実際、同調査の「お金にまつわる悩み」では、20代、30代ともに「年金がもらえるのか心配」、「貯蓄ができない」がツートップでした。
しかし、ここで問題になるのは本当に老後も健康に働けるのかどうかということ。「お金にまつわる悩み」の3位は「老後の医療費や介護費がいくらかかるかわからない」で、50代ではランキング2位、60代では1位に上がってきます。

貯蓄をしたいけれど貯蓄ができない。だから長く働きたいけれど、老後は老後で医療費や介護費の不安がある。調査からは、そんな若い世代のジレンマが伺えます。

そう考えると、今後「働くのとは別で資産を増やす方法」というものがより重視されていくと予想されます。保険はそんな方法の一つ。公的年金がもらえるかどうかわからない中で近年注目が高まっている「個人年金」も、実は保険商品の一種です。

公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、個人年金保険の加入率は、全体では2割程度と低いものの、29歳以下は平成24年度が3.9%、平成27年度が8.8%であったのに対し、平成30年度は15.3%と近年加入率が右肩上がりになっています。
全体での加入率がほぼ横ばいで推移してきたことを合わせて考えると、老後に不安を抱く若い世代が、保険による対策に乗り出し始めていると考えられるでしょう。

出所)公益財団法人生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」

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貯蓄性のある保険とは

では実際に、老後の資金形成のために活用できる保険には何があるのでしょうか。ここでは貯蓄性のある保険として、代表的な4種類をご紹介します。

終身保険

生命保険の中でも、保障が一生涯続くものです。解約すると解約返戻金を受け取ることができるため、貯蓄性があると言われます。基本的に、加入から年数が経つほど返戻金額は大きくなります。

一時払い終身保険

終身保険において、一括で保険料を払う商品を指します。通常なら月払い、年払いで支払う保険料をまとめて支払うことで保険料が安くなり、通常の終身保険よりも早いタイミングで保険料を上回る返戻金を受け取ることができるとされます。ただし、一度に高額な保険料を支払うことになる点は注意が必要です。

個人年金保険

いくつか種類がありますが、基本的に公的年金と同じく保険料の積み立てが終了後、一定額の年金を10~15年にわたって受け取ることができる保険です。

学資保険

子供の大学入学時期などに、入学祝い金などの形で支払い済み保険料を幾分か上回る額の保険金を受け取れる保険です。商品によっては医療保障を付加でき、また保護者が死亡または高度障害状態などになった場合、保険料の支払いが免除される特約も用意されています。

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老後の資産形成に使える保険商品のメリット、デメリット

上記でご紹介した保険の中でも老後の資産形成に活用しやすい保険の概要と、メリット・デメリットをまとめてご紹介します。

低解約返戻金型終身保険

死亡保険の中でも、払い込み期間中の返戻金が安く設定されている保険のことです。途中解約した場合の返戻率が通常の保険よりも安くなる代わりに、保険料も安くなるのが特徴です。払い込みが終了すると、返戻金は通常の終身保険と同程度になるため、返戻率が高いと言われます。

メリット…毎月の保険料が割安、貯蓄性が高い
デメリット…途中解約した場合の返戻金が安く元本割れする可能性がある

貯蓄型医療保険

医療保障に加えて貯蓄性もある保険です。病気や怪我などの入院費用、手術費用に備えながら貯蓄をすることができます。

メリット…老後の医療リスクに備えられる、年末調整で控除を受けられる
デメリット…掛け捨てに比べると選べる商品が少ない、毎月の保険料が割高

外貨建保険

払い込んだ保険料を外貨で運用する保険のことです。生命保険のほか、個人年金で取り扱っている場合もあります。現在超低金利が続いている日本で運用するよりも利回りが良い傾向にあります。ただし、為替相場の変動による影響を受けることに注意が必要です。

メリット…円で運用するよりも返戻金が増える可能性がある
デメリット…為替相場の変動による影響を受けるため、為替リスクがある

変額保険

預かったお金の運用実績により保険金や解約返戻金が増減する保険です。保険金や返戻金が一定でないという面では外貨建保険と似た性質を持っています。こちらも返戻金が増える可能性がある一方、株価などの影響を受けて返戻金が低くなる可能性があります。ただし、死亡保障額の分は確保されています。

メリット…死亡保障はそのままに、運用実績がよければ返戻金を多く手にできる
デメリット…運用が悪いと返戻金が払い込み保険料を下回る

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保険を貯蓄に利用する際の留意点

保険は会社も商品の種類も多く、内容も複雑でわかりにくくなっているため、最初にどれに加入したらいいのか迷ってしまいがちです。ただ、一度「これぞ」というものを決めて加入してしまえば、あとは自動的に貯蓄ができるものとして考えることができます。

途中解約すると、それまで支払った保険料に対して戻ってくる返戻金が少なくなる(元本割れする)可能性もあるので、そういった部分ではデメリットもあります。だからこそ簡単に「途中でやめた」ということにもなりづらくなり、計画的にお金を使う意識が高まるでしょう。特に浪費癖のある人、現在の貯金が心もとない人にとっては、貯蓄の手段として有効活用できるでしょう。

最近では、出費が多い時期は保険料を抑えるなど、ライフステージに合わせた積み立てプランを立てられます。また個人年金保険であっても死亡保障を付けられるなど、さまざまなニーズに応じた商品が登場しています。どれが自分に合ったものなのか、なるべく早い時期から情報を集めるのをおすすめします。

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まとめ

保険も老後に向けた貯蓄の一つとして考えることができることをご紹介しました。健康リスクが高まる年齢になってからでは、加入したくてもできない商品も出てきますから、検討するなら健康なうちがよいでしょう。
変額保険などは保険会社に運用を任せるもので、その点では投資信託と商品設計が似ているとも言えます。投資信託は健康リスクに関係なくいつでも始めることができ、毎月の保険料の支払いと同じように毎月自動引落しで購入することも可能なので、保険商品のように毎月支払うのがやりやすいという方には投資信託の積み立ても向いているかもしれません。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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