月末になるとお金が足りなくなる。特に贅沢しているつもりもないのに、お金が減っていく。
そんな悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。
独身でも、家庭を持っていても、人が生活する上で、支出と収入のバランスを維持することはとても重要です。どれほどの収入があっても、それ以上の支出を重ねると、いつまでたってもお金は貯まりません。結果、預貯金を切り崩すことになり、資産形成の目処もたたない悪循環に陥ります。
最初に、食費や光熱費・通信費などの固定費を取り分け、残った収入で生活すれば良いのですが、これが意外に簡単ではないということです。
なぜ、多くの家庭で家計簿が続かないのか
そんな時、家計を見直す上で役に立ってくれるのが家計簿です。ところが、ただでさえ仕事、家事と日々忙しい中で、「家計簿を取り出してつける」という手間自体が面倒なのも事実です。わかってはいるけれど、これがなかなか続かないという人がいても、何もおかしなことではありません。
我が家でも、まじめにずっと家計簿をつけてきましたが、この手間が毎日、憂鬱でした。毎晩、「レシートが溜まっている。家計簿つけないといけない。」と思うのもプレッシャーになり、いつもなんとかならないかなと思ってきました。さらには溜まっていくレシートの管理、それから家計簿自体の管理にも悩まされていました。
そんな時に、とても便利な「家計を管理する方法」に出会いました。少し前に話題になった、いちのせかつみさんが開発した「お金を入れるだけで+50万円貯まる 実録 クリアファイル家計簿」です。
非常にシンプルながら機能的であり、ストレスフリーで既に3年、実施しています。
その本質は、家計管理、すなわち資産形成の第一歩にとても有効であるように思われます。
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シンプルな「クリアファイル家計簿」の良さ
この本では、お金が貯まらない家庭の特徴として「たいしてぜいたくをしているわけでもないのに、貯まらない」と言う人が多いと指摘しています。つまり、無駄遣いしているという自覚がない家庭が多いのです。そして、(お金の使い道を)「聞いたらたいてい食費・日用品で10万を使っている」*1
つまり、食費・日用品を管理するのがまず鍵になるのだと言います。
クリアファイル家計簿の方法は、大変シンプルです。
ざっくりいうと、1日ごとの食費・日用品の予算を決めて、現金を小分けにしてクリアファイルに入れて、毎日、取り出してその分使う、というもの。
まず、20以上のポケットがあるクリアファイルを用意して、1ヶ月の食費と日用品分の予算6万円を全て1000円札で用意し、ファイルの1ページずつに2000円ずつ入れておく。支出は口座引き落とし分、現金決済分(交際費や医療費など)、クリアファイルで管理する「食費と日用品」の3つに分けて管理します。
毎日、その日の食費・日用品費である2000円だけを財布に入れて買い物に行き、使った残りはレシートとともにファイルに戻しておきます。基本はそれだけです。
手間がかかるのは基本的に月末・月初にファイルにお金を入れるときだけ。ただ、最初に現金を全て細かいお金にする必要があるので、両替などが面倒ですが、それ以外は非常にシンプル。お金を下ろす回数も減りました。
私自身、袋分け、レシートを貼る方法、パソコン、スマホでの管理と、ありとあらゆることを試してきましたが、今のところ、この方法が最も楽で続いています。
この本では、家族構成に関わらず、1日2000円にすることを推奨しているので、まずは言われた通りにやってみることがポイントです。
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なぜ「クリアファイル家計簿」が長続きするのか
この本によれば、クリアファイル家計簿は「家計簿に挫折した人にこそ、向いている」と言われるそうです。
実は私も、家計簿をつけるときはレシートと計算機を出して、「さあやるか」と思うのですが、ぐずぐずとなかなか始められなかったのです。よく考えたら、その理由はノートにペンで「書く」「帳簿をつける」という行為自体が、面倒であったことにありました。
また、従来の家計簿では毎回「これは日用品費にするか、雑費にするか」など細かい仕分けに悩むことも多かったのです。クリアファイルでのやり方は、非常にざっくりと分けるだけなので、ある程度適当にやっていても続きます。
また、毎日の予算を決めて封筒わけにしたりする方法も試したのですが、封筒を用意するのが面倒な上に、中身が見えないため肌感覚で分からず、続きませんでした。しかし、クリアファイルなら毎月1つだけを使いまわせ、見えやすく、管理が楽です。
また、我が家では写真を入れるような小さなクリアファイル1つを使っており、保管に場所をとりません。さらにレシートをしまう習慣がつくので、財布にレシートが溜まってパンパンになる事態からも解放されました。
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クリアファイル家計簿をつけると「お金が貯まる」は本当か
この方法で、本当にお金が貯まるかどうか、それは各家庭のやり方にもよるでしょう。我が家も毎月、「いくら余るかな」というのがとても楽しみになりました。予算を使い切らない癖がつくので、ある程度月末にお金が残りやすいのは事実だと思います。
ただ、同時にこのやり方を始めてみて気づいたこともあります。それは、この家計簿の本来の良さは自分をトレーニングできるところにある、ということです。
お財布に「必要なお金」だけを入れて買い物する癖がつくため、値段の感覚がだんだん身についてくるのです。一日の予算で買えるものがだんだんわかってくると、スーパーで無駄なものを買うことが減り、予算に自覚的になります。だいたい、2000円で何が買えるか、というのが徐々に体に染み付いていく。これが良いトレーニングになっている実感があります。
私が気づいたことは、特に大きなスーパーに行くと「特売品」「タイムセール」などの看板に惑わされ、つい余計なものを買ってしまうことです。ちょっとおしゃれなスーパーには、素敵な商品を欲しくなる仕掛けがたくさんあり、私にも、つい目についたものを買い物かごに放り込む癖がありました。加えて、意外にもお菓子などの嗜好品の値段が高いことにも気づきました。
これに気づいてからは、必要最小限のものを買えるよう、購入先をスーパーから小さな八百屋さんに変更したりもしています。
現金で基本的な予算を管理することで、「予算を使い切らないこと」を意識する習慣が身につくのは、とても大きなメリットです。また予算が決まっていることから、余計なまとめ買いができなくなります。結果として「安い」が購買行動に直結しなくなり、行動が変わっていくことも実感しています。
ズボラな人にも、毎日の予算を頭で管理する癖がつくのは大きなメリットです。毎日の行動が、予算内なのか、予算オーバーなのかがその都度わかり、大体の予算感が頭に入ります。そして何かにつけて、「今月使いすぎかな」と心配するストレスから解放されるようになります。
さまざまな家計簿に挑戦し失敗した人こそ、チャレンジしてみる価値がある方法と言えそうです。
ぜひ、上手な家計管理でストレスのない毎日を送って下さい。
*1
出所)いちのせかつみ,まきりえこ 「お金を入れるだけ"で+50万円貯まる 実録 クリアファイル家計簿」
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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