老後の海外移住を夢見るなら、早めに準備を始めよう

老後の海外移住を夢見るなら、早めに準備を始めよう

毎日満員電車に揺られながら、老後はどこかに移住したいと思っていませんか。
実際に、リタイア後は国内や海外でのんびり過ごしたいと考える人が増えています。そこで注目されているのがロングステイです。

注目されるロングステイというスタイル

ロングステイとは、帰国を前提にした長期移住のこと。国内型も海外型もあります。ロングステイ財団の定義は以下です。

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海外においては、生活の源泉を日本に置きながら海外の1ヶ所に比較的長く滞在し(2週間以上)、その国の文化や生活に触れ、国際親善に寄与する海外滞在型余暇を総称したものである。

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出所)ロングステイ財団「ロングステイとは」

例えば、観光経済新聞では、ロングステイというライフスタイルが増えることが示唆されています。

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海外ロングステイ市場は約161万人で海外渡航者の9%であるのに対して、国内ロングステイは約850万人で宿泊を伴う全交流人口の2.5%という。常岡部長はこの数字を示し、「国内市場のロングステイは、人口減少が進むが、ロングステイというライフスタイルは定着し拡大しているので、2025年ぐらいまでに2千万人ぐらいに拡大する」と語った。

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出所)観光経済新聞(2018年11月29日付)「ロングステイ財団、ロングステイの最新動向を紹介」

海外に目を向けるとマレーシアやタイ、ハワイなど、暖かい国が人気です。

2019年4月にロングステイ財団が発表した調査によれば、ロングステイ希望地域はマレーシアが13年連続1位。2位がタイで3位がハワイ。この順位は2011年からほぼ一定しています。一方で、フィリピンが4位につけ、人気が上がっていることがわかります。

出所)ロングステイ財団調べ「ロングステイ希望国・地域2018」


以下、具体的にマレーシア移住を想定しお話を進めて参ります。

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ロングステイに必要なビザ

なぜマレーシアが老後の移住先として人気なのでしょうか。
気候、治安、医療水準の良さなどが挙げられています。

しかし、実は移住にあたって最も重要なのは「ビザ」が取れるかどうか。滞在許可がないと長期的なプランを作ることが難しく、家を借りたり銀行口座を作ったりもできないためです。

実はそのために必要なのがまとまった資金と収入です。そのため、現役世代から資金を準備しておく必要があるのです。
マレーシアもタイもフィリピンも、長期滞在するためには、ロングステイのためのビザを取るのが一般的です。

マレーシアの場合、マレーシア・マイ・セカンドホームと呼ばれる制度をマレーシア政府が用意しており、実際にはこの制度を利用して多くの日本人が移住しています

申請には、銀行に一定額以上預金をしていることと併せ、一定以上の収入があることを証明する必要があります。
長期滞在もしくは移住を考える人は、可能な限り、預貯金を増やしておく必要があるということです。

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最初は短期滞在からがオススメ

移住を計画するなら、できれば現地を下見しておきましょう。移住は良いことばかりではありません。テレビで見るような美しい風景や、広い家といったものには割と短期間で飽きてしまうこともあります。

もし本気で考えるのであれば、出来る限り事前に短期滞在を繰り返し、現地の状況をつかんでおいた方が良いでしょう。

同じ日本人でも、同じものを見ても満足する人と不満に思う人がいます。夢ばかりが先走ってきてしまうと後でがっかりすることもあるようです。

まずは、体力があるうちに、試しに1ヵ月から3ヶ月までの長期滞在から考えてみてはいかがでしょうか。マレーシアは日本のパスポートで3ヶ月まで滞在できます。マレーシアは、格安航空のエアアジアの本拠地でもありますから、日本から安価に飛行機移動することができます。

可能であれば、観光地やホテルなどに滞在するのではなく、実際に地元の人々が暮らしている地域で生活を体験するのもよいかもしれません。

マレーシアでは、Airbnbやサービスアパートメントなどを短期間利用することで、家具付きのマンションに生活体験が可能です。場合によっては、食器なども揃っていて、すぐに生活を開始することができます。敷金や礼金、保証人等といった面倒な制度もありません。

現地で有り余る時間、一体何をしてどう過ごすのかの視点も非常に大事です。

東南アジアですから、気候も違いますし、虫などに悩まされることもあります。家の作りに耐えられない、と言う方もなかにはいらっしゃいます。

言葉が通じないことが、大きなストレスになる人もいます。また、どうしても慣れ親しんだ日本食にこだわっている方もいますが、日本食は輸入が多くなるためコストがかさみます。そのため、完全な日本食にこだわっていると生活費が思ったよりも高くなってしまうといったことも起きます。

実際に生活してみないとわからないことはたくさんあります。最初は冬だけ、夏だけ、というように、繰り返し滞在してみてから、実際に住むのがおすすめです。

まずは自分の許容範囲がどの程度なのか、本当にここで暮らせるか、何度も体験してみると良いでしょう。

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メリットとデメリットを見極めよう

海外には日本にないリスクもあります。

比較的治安が良いと言われるマレーシアですが、犯罪率は日本より高く、特にひったくり事件はよく起きています。凶悪犯罪も日本より発生率が高いのが実際です。例えば、外務省の海外安全情報ページによると2016年の主な凶悪犯罪の届出件数は以下の通りです。

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主な凶悪犯罪の届出件数は次のとおりです。
(1)殺人:456件(前年比43件減少,人口10万人あたりの発生率は日本の約2倍)
(2)強盗:14,453件(同705件増加,人口10万人あたりの発生率は日本の約25倍)
(3)強姦:1,886(同161件減少,人口10万人あたりの発生率は日本の約7倍)

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出所)外務省海外安全ホームページ

体感治安は人それぞれですが、日本と同様の安全さを期待すると驚くかもしれません。

またマレーシアは、基本的に車社会です。ほとんどの人が車で移動するため、歩道が整備されていない場所も多く、日本のように、気軽にどこへでも歩いていけるような状況ではありません。

外務省が個別事例を紹介していますから、それらを参考に「どこまでリスクを取れるか」を判断することも必要です。

実際に移住する段階になってビザが取れなかったり、住んでみたら思ったのと違ったりすると、老後のプランが大幅に狂ってしまいます。できれば、体力があるうちにお試し滞在を繰り返し、ビザの取得に必要な資金を貯めるなど、計画的に老後を思い描いてはいかがでしょうか

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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