いよいよ10月には消費税が10%に上がります。消費税が高くなることで家計負担が増えますが、国民の消費意欲が低下しすぎないように国もさまざまな増税対策を用意しています。
今回は、そんな消費税増税に際して知っておきたい知識についてご紹介。住宅購入という大きな買い物への影響についても言及しています。少しでも家計負担を楽にしたい方、マイホームの購入を検討している方はチェックしてみてください。
消費税増税延期はもう無い?
消費税が5%から8%に引き上げられたのは、2014年のことです。10%への増税はその翌年、2015年に引き上げられる予定でしたが、これは一旦2017年に先送りされました。しかしこれもさらに2019年の10月に延期されて現在に至ります。10%への増税は2度の延期を経ているのです。
このことから、本当に消費税は増税されるのかどうか懐疑的な見方もありますが、現段階で安倍首相は「リーマン級の経済危機がなければ消費税率を引き上げる」と発言しています。すでに消費税増税に向けた対策も動き始めているため、増税はほぼ確実に行われると見て良さそうです。
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軽減税率、ポイント還元…押さえておきたい消費税増税対策
知っておきたいのは、具体的に増税対策のためにどのような対策が行われるのかということです。
現在、政府が打ち出している対策案を見てみましょう。
軽減税率
よく耳にするのは軽減税率制度かもしれません。これは消費税増税とともに導入される予定のもので、飲食料品と新聞に関しては、8%の税率が据え置かれることになります。ただし酒類や外食での食事、ケータリングなどは該当せず、10%です。
ハンバーガーショップなどのテイクアウトやピザなどの出前はどうかといえば、これは軽減税率の対象です。テイクアウトの場合はお店でそのまま席に着いて食べることもできますが、この場合は外食とみなされるため、軽減税率の対象外となります。同じ商品でも、持ち帰って食べれば8%、お店で食べれば10%という具合に価格が変わってしまうということです。
また、新聞は週に2回以上発行し定期購読されるものに限るため、コンビニや駅で販売されている新聞は10%になります。
出所)国税庁「よくわかる消費税軽減税率制度」
キャッシュレス決済でポイント還元
これは正確には「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)」と呼ばれており、消費税増税の10月から9ヵ月間、2020年の6月まで実施される予定の政策です。
内容は、対象店舗においてクレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス支払いをした場合は、ポイント還元を行うというもの。注目すべきはその還元率で、なんと最大5%です。5万円の買い物をしたら2,500円が戻ってくることになります。
消費税が10%に上がったのに、5%お得になるということですから、実質の消費税も5%相当になるも同然の政策です。使わない手はありません。
出所)経済産業省「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要」
プレミアム付き商品券事業
低所得者(住民税非課税者)や学齢3歳未満の子育て世帯を購入対象者として、商品券を販売する事業です。商品券の額面は自治体によって異なりますが、割引率は20%とこちらも破格です。25,000円分を20,000円で購入できます。
購入限度額は対象者一人につき25,000円までですが、子育て世帯の場合は25,000円×学齢3歳未満の子ども(2016年4月2日から2019年9月30日までに生まれた子ども)の数だけ購入が可能となっています。
こちらは、2019年の10月から2020年の3月の間で、市区町村が定めた期間中に利用可能です。
出所)内閣府「確にんしよう!プレミアム付商品券」
幼児教育・保育無償化
もう一つ、子育て世帯にとって大きな話題となるのが幼児教育と保育の無償化です。こちらも消費税増税に合わせて、10月より施行されることになりました。ここでは簡単に概要をご紹介します。
ポイントとなる点がいくつかあります。
まずは、一部無償化される範囲が決まっている点です。幼稚園は月額上限2.57万円までが補助され、通園送迎費や食材料費、行事費などは保護者負担となります。
もう一つは、0~2歳までの子どもが無償化の対象となる要件です。表では住民税非課税世帯とありますが、その他の世帯に関しても、保育所を利用している子どもがいる場合は、その子どもを1子として第2子は半額、第3子は無償化の対象となります。年収が360万円未満であれば、第1子が保育所等を利用していなくとも半額または無償化されます。
対象施設は、実は他にもあります。幼稚園の預かり保育と認可外保育施設等も無償化の対象なのですが、こちらはいずれも市区町村による「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。専業主婦の家庭など、保育の必要性の認定事由に該当しない場合は、幼稚園や認定子ども園のみが無償化の対象になるということです。
図表で見てみましょう。
無償化の範囲も、幼稚園と同じく上限があります。幼稚園の預かり保育の場合は月額1.13万円まで。認可外保育施設等は3~5歳児が月額3.7万円まで、0~2歳の住民税非課税世帯の子どもが月額4.2万円までとなっています。
出所)内閣府「幼児教育・保育の無償化概要」
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消費税増税は住宅購入にどう影響する?
上記にご紹介した増税対策は、日常の小さな買い物や毎月の家計のやりくり、子育てに関わる政策でした。もうひとつ、消費税増税が影響するものとして挙げられるのが住宅です。
住宅は高額な資産ですから、消費税が1%上がっただけでも支払う金額が大きく変わってしまいます。しかし、実はそもそも消費税がかかる住宅とかからない住宅があります。
消費税がかからない住宅→個人が売り主の中古住宅
中古住宅は多くの場合、個人が仲介業者に依頼して売りに出しています。また、新築も中古も課税対象は建物のみで、土地は非課税です。消費税がかかるのは基本的に新築と、事業者が買い取って販売している中古住宅ということを覚えておきましょう。
さて、住宅の購入に関しても、やはり国がいくつかの対策を打ち出しています。
出所)国土交通省 すまい給付金「消費税について」
住宅ローン減税
住宅購入の際は住宅ローンを組むことになる人が大半ですが、住宅ローン減税によって、毎年の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されます。期間は10年間で、最大控除額は400万円です。
それが、2019年の10月以降にこの制度を利用する場合は、控除期間が13年にまで延長されます。1年間の最大控除額は40万円ですが、必ずしも控除額が満額になるとは限りません。期間が延びればそれだけ多くの控除を受けられると考えて良いでしょう。
ただし、上記に述べた非課税の中古住宅の場合は、期間は10年間のままで、控除額も最大200万円までとなるため、注意が必要です。
出所)国土交通省 すまい給付金「住宅ローン減税制度の概要」
すまい給付金制度
こちらは直接的に消費税負担を緩和するための制度で、10%増税時は、年収目安が775万以下の方を対象として、最大50万円が支給されます。
8%時は年収目安が510万円以下、最大30万円の支給という内容だったため、増税に応じて対象者と給付額が拡大された形です。
出所)国土交通省 すまい給付金「すまい給付金とは」
次世代住宅ポイント制度
新築の住宅を購入したり、中古住宅をリフォームする際に利用できる制度で、政府が指定する「次世代住宅」に対応する住宅に対して、ポイントを発行するものです。
新築の場合…エコ住宅、長持ち住宅、耐震住宅、バリアフリー住宅
リフォーム…窓・ドアの断熱改修、外壁・屋根・天井または床の断熱改修、エコ住宅設備の設置、耐震改修、バリアフリー改修、家事負担軽減に資する設備の設置、若者・子育て世帯による既存住宅の購入に伴う一定以上のリフォーム工事
工事内容は上記が該当し、新築の場合は上限35万ポイント、リフォームの場合は30万ポイントまで発行されます。
出所)国土交通省 すまい給付金「次世代住宅ポイント制度の概要」
住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置
まだ自己資金に余裕の無い20~30代の場合、住宅購入の資金を親族から援助してもらうケースも珍しくありません。その場合、消費税率が8%の場合は贈与税の非課税枠が最大1,200万円までだったのが、税率10%で購入する場合は最大3,000万円までになります。
出所)国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
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まとめ
消費税増税に向けて、国が打ち出しているさまざまな対策をご紹介しました。これらの施策のためには多額の予算が投じられていますから、その分消費税増税が上げる効果も期待されます。
消費税増税の目的は、社会保障の安定や公共事業の財源確保、国の財源の安定化、世代間格差の是正と言われます。その一方で、増税による消費者の購買意欲の減退や景気悪化、低所得者の負担増加などの懸念も拭えません。
しかし、今後の国の動向がどうあれ、実際に消費税が10%になったとき、まず守るべきは家計です。今回ご紹介した制度の活用を考えながら、増税に向けて対策を練っておきましょう。
※本記事は、記事作成時点の情報を基に作成しております。制度内容等は今後変更となる場合があります。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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