ポイント
お金の問題は、あまりおおっぴらには語られないものの、ライフプランにとってとても大切であることは間違いありません。これから資産を増やしたい、自由なお金を増やして、人生の守りをしっかりしたい、そう考えるのであれば、実は「守り」だけでなく「攻め」も大切です。その攻めの姿勢は「スキルの複利」が重要だということを、ご説明していきます。
守りのお金、攻めのお金。
攻めのお金というと、「投資かな?」と思われるかもしれません。
たしかに投資も大切です。ただ、数%のリターンを得るのに相当学習しなければなりません。投資をしつつ、「稼ぐ」ことを覚えたら、最強です。
つまり、資産防衛だけでなく、自らの手で稼ぐという価値観も大切だと考えられます。なぜなら、現状、給与が伸び悩んでいるからです。
出所)国税庁「勤続年数別の平均給与」19ページ(第 15 図)
国税庁の調査でも、給与総額つまり人件費の総額そのものが、伸び悩んでいることがわかります。年齢を重ねて勤続年数が増えると給与は伸びるとはいえ、それは終身雇用の弊害としていま、厳しい目にさらされています。
よって、これからの時代はどうなるか予測ができず、終身雇用も崩れて市場化される見通しが強くなるのです。
そんな未来が待っている中で、勤続年数だよりのマネー設計をしていると、リストラや会社倒産などの憂き目にあったとき、再浮上できなくなるのではないでしょうか。
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これからの働き方とお金の関係
次の時代は、終身雇用が崩れる可能性が否定できません。雇用制度の流動化はますます進んでいくでしょう。また、正社員は身分保障され、非正規雇用の人たちは同じ仕事をしていても給与が低くて不安定など、市場に歪みが生じている状況です。
「正社員なのは努力の結果で、非正規雇用なのはがんばらなかったから」
という認識でいると、自分の雇用が失われたときに、大きなショックを受けかねないでしょう。これから否応なく市場化の流れがやってきます。そのとき、チャンスと捉えるか、身分を失うピンチと考えるかで、大きく未来は異なってきます。
当然ながら、考えるべきは前者で、市場のなかで生き抜いていく力こそがスキルの源泉です。
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スキルの複利の考え方
では、スキルの正体とは何で、日々の仕事から何を学び、どうキャリアアップして自由になるお金を増やしていくか。それは、自分が毎日している仕事に対して自覚的になり、言語化することではないでしょうか。
スキルといっても、とても幅広いのです。たとえば、ホワイトカラー職でいえば、
- 業界知識と社会常識
- 部下のマネジメントとセルフマネジメント力
- マーケティングをプレ商談に落とし込む交渉力
- 顧客や上司の言いたいことを汲み取ってドキュメントに落とし込むスキル
- 自分の着手している仕事を通じて何を得ているか言語化するスキル
などが考えられます。もっとも大切なことは、最後の「言語化スキル」で、言語化するには、自分が何を提供しているのか自覚的になる必要があります。つまり日々の仕事で何を得ているのか、明示的になることです。
言葉で自分のスキルを表すこと。なにもないと思うのであれば、遅刻をしないなどでもいいのではないでしょうか。時間を厳守して、自分の時間も他者の時間も尊重すること。それも立派なスキルで、言語化できれば、そこに価値がつきます。そしてポータブルなスキルとして、転職しようとしても、会社に万が一のことがあっても、自分と財産を守ることができるのです。
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スキルを貯蓄していく感覚
たとえば、決められたフォーマットで書類を整理し、シールを貼って管理するも、文書管理スキルです。ただ、スキルの習得は難易度があり、比較的習得が容易なものは確かに存在します。たとえば、書類整理のスキルやレジ打ちのスキルは、持っている人が大勢います。
ただし、言語化できる人は多くありません。そこで、自分が何を提供し、何を得ているのかに自覚的になり、言語化できるようになれば、それだけで市場を渡り歩くことができます。仮に今の給与が低くとも、市場をスイッチすればそれだけで一気に稼げるプレイヤーになることも、できるのです。
よって、今の仕事が単調だと感じても、自分にとって未知のスキルを習得できるのであれば、それは取り組んでみる価値はあるのではないでしょうか。スキルは貯蓄でき、持ち運びでき、市場によって換金できるもので、減ることもありません。明示的にどんなスキルを貯めているのか、振り返ってみることも大切です。
振り返って言語化できれば、大きなスキル資産を築いていることがわかります。仮にスキルをもう習得し尽くしたと思うのであれば、そのとき転職するなり市場を変えるなり、すればいいのです。
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スキルは複利で効いてくる
そして、スキルは掛け算で積み上げることができます。複利の感覚です。
どういうことかというと、たとえば新卒1年目は、上司の言いたいことを自主的に言語化して、さらにそれを資料上に再現するスキルを身につけ、2年目~3年目は、マーケティングをプレ商談に落とし込むスキル、5年目は後輩を持って指導するマネジメントの基礎、7年目は幅広い業界知識…といったかたちで、どんどん複利で効いてくるのです。
これだけ明示的にスキルを積んでいくことができれば、給与も高くなるイメージができるのではないでしょうか。これが稼ぐ力の源泉となります。
そして、スキルの最重要項目は「ブリーフィング」です。状況説明の力で、これまで見たように、スキルを明示的に他者へ説明できる力。この力が高ければ、仮にブラック企業に入ってしまい、入社1年目で転職することとなっても、ブリーフィングで自分が学んだことを状況説明し、また仕事を見つけることができます。
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自由なお金を増やすためのスキル
そして最後に、もっとも大切なのが市場選びと顧客との距離です。たとえば、書類に正確なテープを貼るスキルは、たしかにスキルではあるのですが、顧客との距離がやや遠いので、なかなか大きなお金にはつながりません。それでも、履歴書の写真がきちんと貼られているなどの点において、面接等でプラス採点に繋がる可能性はあります。
ただ、それだけだと市場で勝負するのが大変なので、もっと掛け算していく必要があります。先程見たようにスキルは複利で効いてくるため、何をしているかに自覚的になることが大切です。ブリーフィングによって自分を他者に説明できること、それこそがスキルのもっとも重要な投資の元本となります。その元本があるからこそ、スキルの複利が効いてくるのです。
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ブリーフィングの力を鍛えるには
そのためには、ある程度の時間的ゆとりも大切なのです。そして本を読んで、言語化の力を鍛えます。忙しいビジネスパーソンは、なかなか時間を確保できないかもしれませんが、高報酬でずっと働き尽くめだと、このブリーフィングの機会を失い、キャリア上のリスクとなりえます。
ときに、自分が何を身につけているか言語化し、まったく他業種の誰かに説明するチャンスを作って、スキルの明示化をしてみるのはいかがでしょうか。それが結果として、自由なお金を手にするための、大きな足がかりとなってくれることでしょう。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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