最近、「転職サイトも転職エージェントも使わない転職」を目にする機会が増えました。
というのも、最近は「SNS経由や、知人に直接声をかけて採用する」というスタイルでの採用が、珍しくなくなってきているからです。
もちろん、私の観測範囲の中での限られた話なので、安易に一般化するつもりはありません。
ですが、たった5年前と比べてみても、「転職サービスを経由しない採用」は、SNSのリテラシーの高い人々が集まる業界、特にスタートアップ界隈、webサービス界隈で一般的になりつつあると感じます。
これについては、私以外にも感じている方がソコソコいるようで、以下の記事に書かれているような実感値は、私のものと一致しています。
”新聞の三行広告から雑誌、フリーペーパーを経てネットにと形を変え、多くの雇用を生み出してきた求人広告がSNSに喰われる日がそう遠くない未来にくるかもしれないと思っています。
周囲にHRビジネス系の方が多いからかもしれないのですが、最近Twitter経由での採用をした、とかTwitterで転職先見つけた、という投稿をよく目にします。
実際のところ、私の知人たちも、いよいよ会社を辞めることになると、FacebookやTwitterなどのSNSに、「会社をやめるので誰か飲みに行きましょう」と流す人が結構います。
すると、わらわらと人が集まってきて、そのうちに「転職先が決まりました」なんて話も珍しくありません。
また、「辞める」ことを公にする前でも何人かの知り合いにメッセージを送り、そこから求人を探す、なんてこともすでに日常茶飯事になってきているようです。
良い人は「転職サイト」経由で転職しない
ずばり言ってしまうと、「良い人」はほとんど、転職サイトの扱う人材マーケットには出てきません。
「見知らぬ会社に、自分のことをゼロからアピールするなんて、非効率すぎる。」
これはつい最近、SNS経由で転職を決めた知人が言っていた言葉です。
自分の業績をきちんと評価でき、すでに力量を把握してくれている人々に声をかけたほうが、遥かに高い報酬が期待できるし、その後の仕事もやりやすいのです。
また、企業側も転職サイトへの広告掲載料を支払わずに済むので、「転職ボーナス」などを出すことも可能です。
要するに、SNS経由での転職は、転職サイトでのものとスタートラインからして全く異なるということです。
逆に、採用側から見てみましょう。
別の知人が経営するスタートアップは、「求人広告」を一切使っていません。
役員から事務員まですべて、経営者自身がSNSや知人の紹介を通じて、一本釣りしてくるのです。
知人は言います。
「うちが欲しい優秀層は営業でも技術者でも、自分から発信する力がある人。これは一種のリーダーシップだと思うんですよ。」
確かに、私自身も、webメディアのライターを採用する際、いわゆる「求人サイト」や「クラウドソーシング」などを一切利用していません。
では何を使ってライターを採用しているのかと言いますと、殆どがTwitterのダイレクトメッセージや、ブログ等に書かれている連絡先からの直接の声かけです。
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でも「求人広告」はなくならない。
ただ、私の予想として、「転職サイトでの求人広告」は、冒頭に紹介した記事の予想とは違い、なくなることはないと思っています。
なぜでしょうか。その答えは、単純です。
以下の人たちには、「転職サイト」がまだ必要だからです。
- 1.発信力がない人
- 2.ウリがない人
あと5年もすれば、「転職サイト」は、そういった人たちが集まっている場所とみなされるかもしれません。
だから、見知らぬ会社に、職務経歴書や履歴書とわずかな面接だけで、入社せざるを得ません。
採用する側も、力量を見誤るリスクが高いので、給与を控えめに提示しなければなりません。
このような転職活動が、良い結果を生みにくいことは明らかでしょう。
だから、転職サイトを使って転職活動をする人は、結果的に「損」をしてしまうのです。
そこには、転職サイトを使わずに転職できる人と、転職サイトを使わなければ転職できない人の厳然たる格差が存在しています。
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「転職エージェントを使った転職」における格差
では「転職エージェント経由」の転職はどうでしょうか。
エージェント経由なら、転職サイトなどよりもきめ細かく、より正確なマッチングが可能なので、それほど格差はないのではないか、と思う方もいるかも知れません。
ですが、実は利用できるエージェントにもまた格差があります。
SNSで発信力があり、自分のウリもはっきりしているような「価値の高い方」が、どのような転職エージェントを使っているのでしょうか。
例えば、私の知るある有名な転職エージェントは、その道15年以上のベテランエージェントで、自身もエージェント会社を経営する経営者でもあります。
実は、彼はすぐに人に仕事を紹介したりはしません。
彼がアプローチするのは、発信力があり、現在一線で活躍している人や実績のある人です。
彼は、「転職しませんか?」といきなり声をかけることはしません。
まずは、「仕事の話を聞かせてください」と、その人を知ることに多くの時間を投入します。
そして、時にはその付き合いは5年、10年と、長い付き合いになります。
そんな人達を彼は、数百人、数千人と知っているのです。
ですが、いずれ彼らも「転職」を考える時が来ます。そんなときに、思い出すのがそのエージェントです。
「長い付き合いだし、私のこともよく知っているだろう。転職のサポートをしてくれないか」と、彼らはエージェントを頼ることになります。
エージェントはそうやって、「マーケットに出てこない人材」を、その人が必要とされる会社に移し、世の中を最適化させているのです。
これが真の意味での「転職エージェント」です。
転職はそれほど頻繁にあるイベントではありません。「良い人」であれば、なおさらジョブホッパーのように回数を重ねる可能性は低いでしょう。
そういった数少ないライフイベントの一つを「長く付き合いのあるエージェント」に託すのは、当然といえば当然でしょう。
ところが、「転職サイト」を運営しているような会社が、紹介するエージェントはどうでしょうか。
社会人経験もせいぜい数年、なかには転職を経験したことのないエージェントが、会社のデータベースをあさり、「この会社はどうですか?」と勧めてきます。
昔の同僚が転職エージェントを使って転職をしようとしていましたが、
「大手の転職エージェントなので、どんな人かと思ったら、レスポンスも悪いし、ヒアリングもいい加減で、失望した。」
と言っていました。
もちろん、そんなエージェントばかりではないと思いますが、どこの世界でも「有能な人」はほんの一握りであることを考えると、「大手人材会社から割り当てられたエージェント」だからといって必ずしも優秀であると言い切れないかもしれません。
そして、そのことを「良い人たち」はよく知っているからこそ、普段から「エージェントたち」に向けた自分自身についての発信を怠りません。
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転職という機会を活かすため、転職を考えていないときから「発信」する
現在は、人生で何度か転職をすることが当たり前の世の中になってきました。
そして、その転職という機会を活かせるかどうかは、普段からの情報の発信力に大きく依存します。
恥ずかしがっていないで、また時間がないと言い訳をしないで、ぜひ普段からの発信を心がけてみましょう。
きっと、別の世界が見えてくるはずです。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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