つい先日、リフォーム会社の方から、
「日本の世帯の3割以上は、単身世帯なんですよ。」
という話を聞き、軽い衝撃を受けました。
まさかと思って、政府のデータを調べてみると、確かに2015年時点で34.5%、2020年の推計でも35.7%が単身世帯なのです。*1
そして、この結果から当然推測できるのは、高齢者の増加とともに、「一人暮らしの高齢者」も増える、という事実です。
もちろん、「一人が気楽でいいよ」という方も多いかもしれません。
私もおそらくそうです。
家では一人で暮らすことで、プライバシーが守られ、
家族や友だちと過ごす時間は外で……
そういった老後も悪くないでしょう。
ただ怖いのは、「仲間」や「家族」のサポートがない「孤独な一人暮らし」です。
もし「家族」も「仲間」も居ない老後に突入してしまったら……いろいろと考えさせられることも多いかと思います。
でも、本当に「家族」や「仲間」を、若いうちから大切にしている
人はどれくらいいるでしょう?
「自分は大切にしているよ」
という方も多いと思いますが、ここで言う「大切にしている」は、
「人間関係に多くの時間を割いている」という意味です。
家族と仲間に、時間を多く割いているか、と問われると、
残念ながら、仕事熱心な人ほど、家族と仲間を顧みないことが多いのではないでしょうか。
恥ずかしながら、昔の職場を思い出すと、私も全くそれをできていませんでした。
すべての人生を仕事に捧げた20代、30代
私が勤務していた企業に限らず、一昔まえのコンサルティング会社は、本当に長時間労働がありました。
月に200時間くらいの残業は当たり前で、夜中の12時、1時まで働くのは結構普通。
22時で終われば「今日は早いな」なんて言って、そこからメンバーと飲みに行く始末でした。
毎日タクシーで帰宅し、ロクに睡眠も取らずにまた朝の7時30分に会社に来る、当然土日も祝日も会社に来て仕事、なんていう生活をしていたのです。
要するに「すべての人生を仕事に捧げた20代、30代」でした。
もちろん給料はそこそこなのですが、全人生を捧げるに値するものではないし、所詮は会社員なので、給料が上がっても、社会保険と税金できっちり持っていかれるわけです。
そう言う生活をしていると、結局「プライベート」なるものは存在せず、人生のほぼすべての時間を会社に費やすことになります。
会社外の人々との接点も、徐々に薄くなります。
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結婚生活のコツは時間の配分を変えること
そんな中、社内で比較的うまく行っていそうな夫婦がいたのですが、私はそれが不思議でなりませんでした。
そこで、ある時夫の方に、聞いてみました。
「結婚生活のコツはなんですか?」と。
すると彼は言いました。
「時間の配分を変えることだよ。」
私がキョトンとしていると、彼は続けて言いました。
「ごめんごめん、要するに、仕事ではなく、家庭に時間を使え」ってことだよ。
しかし、どう考えても彼には「仕事に使っている時間」が長すぎて、家庭に使う時間が残っているようには見えませんでした。
そこで私は聞きました。
「家庭に使う時間、あるんですか?」
彼は言いました。
「んー、そこなんだよね。」
そして、後日。
彼も、彼の結婚相手も、ふたりして会社をやめる、という発表がなされました。
そして、
「もっとマイルドな人生にしたい」
と、彼は言いました。
私はそこで、合点がいきました。
「人生って、全てを取るわけにはいかないのだな。」
と。
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時間は、家族と仲間に優先的に使おう
ここから私が引き出した結論は、些細なものです。
つまり、「時間は、本当に大事なことにしか使ってはならない。すなわち、家族と仲間に優先的に使おう」ということです。
仕事に生きるのもよし。
だが、「仕事」に時間を使えば、「家庭」にかけられる時間は少なくなります。
「効率よくやるから大丈夫」という人もいるかも知れません。
しかし、それはおそらく甘い考えでしょう。
仕事と異なり、人間関係は「効率」ではなく、「かけた時間」こそがリターンを決めるのですから。
若い時、家族や仲間に時間を使わなかった人は、「孤独な老後の一人暮らし」がお望みでなければ、50代から取り返さなければなりません。
それこそ若い頃仕事に打ち込んだように、「人間関係」をきちんと作っていくことが必要となります。
なあに、まだ大丈夫です。
普通に生きても、50歳から残りの人生は30年以上あるのです。
結局、歳をとって「思考力」「体力」を失い、「稼ぐ力」がなくなった時、私の面倒を見ようと思ってくれる人が何人存在するかは、若いうちから「どれくらい大切な人に時間を使ったか」によるのです。
「お金を稼ぐこと」だけではなく、
老後を健やかに暮らしたいのであれば、それに対して、相応の時間を使わなければならない。
つまり、「パートナー」「家族」や「仲間」を大切にするのです。
そうしなければ、どんなにお金を持っていても、いずれ「孤独な老後」が待っている。
それが、人の世の理というものです。
*1 出所)国立社会保障・人口問題研究所人口構造研究部「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計) 2019(平成31)年推計」
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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