育児と仕事の両立のために時短勤務も視野に入れよう

育児と仕事の両立のために時短勤務も視野に入れよう

多くの親が安心して子育てと仕事の両立を図れるよう、育児・介護休業法は数次にわたり改正されてきました。育児に関する職場の理解やハラスメント防止対策等が課題ともなっており、企業における制度の充実化も進められています。
育休後に復職を目指す親にとってはフルタイム勤務が難しい場合もあり、勤務時間の短縮が法律上でも認められているなど、上手に利用すれば子育ての強い味方になってくれます。
さっそく、その内容について見ていきましょう。

法律で定められた時短制度とは

3歳に満たない子どもを養育する従業員のために事業主が設けなければならない制度として、2012年に改正育児・介護休業法が施行され、「短時間勤務制度」が定められました。1日の労働時間は原則として6時間(5時間45分から6時間まで) とされています。制度の利用を希望する従業員が下記の全ての条件を満たしていれば利用が可能であり、女性だけでなく男性も対象です。

  1. 3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと
  2. 日々雇用される労働者でないこと
  3. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  4. 労使協定により適用除外とされた従業員でないこと

出所)厚生労働省 都道府県労働局 雇用均等室「平成24年7月1日から改正育児・介護休業法が全面施行されます‼

労使協定による適用除外については、以下のケースが挙げられます。

ア)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない従業員
イ)1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
ウ)業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する従業員

出所)厚生労働省 都道府県労働局 雇用均等室「平成24年7月1日から改正育児・介護休業法が全面施行されます‼

この法律を最低限の基礎として、企業ごとに独自の制度が設けられています。たとえば、101人以上(正社員等の無期契約労働者の数)の企業を対象にした調査では、この制度の利用可能期間が法定通り「3歳になるまで」が約6割を占めていますが、次いで「3歳以上~小学校就学前まで」が21.3%と2割以上にのぼっています*1
この他、「所定外労働の制限」、つまり残業の免除についても同法により定められており、原則として3歳未満の子を養育中の男女従業員(希望者)がその対象です。育児休業同様に、これらの制度を利用する従業員に対しての不利益な扱いは法律で固く禁じられていますが、短縮時間分の給与や賞与については企業に支払い義務はありません。

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制度の利用状況と課題

厚生労働省の委託調査として三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した育児短時間勤務制度の利用実績調査では、100人以下の企業において「利用者はいない」が 43.0%と半数近くを占めた一方、101人以上の企業では「女性のみ利用者がいる」が 64.2%と女性の利用者だけで6割を超えており、企業規模によって利用状況は大きく異なることがわかります*1
また、女性の制度利用が圧倒的に多くなっていることについては、育児と仕事の両立方法に関する男女間の理想の違いもあるようです。「仕事と育児の両立のあり方の希望」について男女別に見た調査によると、女性社員が「短時間勤務で働きながら子育てをする」を希望する割合が高い一方、男性社員の希望は「残業をしながらフルタイムで働き、土日祝日や定休日を中心に子育てをする」が最多となっています*2

また、短時間勤務制度を運用する上での企業側の課題に関する調査では「制度利用者に対する仕事の配分が難しい」、「制度利用者の周囲の社員の負担が大きい」がそれぞれ3割以上で上位を占め、次いで「制度利用者の配属先や異動が限定されている」(19.8%)が挙げられました*3。短縮した時間分の賃金の取扱いは「勤務時間に応じて減額している」が、100 人以下の企業では63.7%、101人以上の企業では 87.6%と9割近く、この制度を利用する際には給与が減る可能性が高いことが窺えます*1

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年金支給額を減らさないために

短時間勤務制度の利用により給与が下がると、支払う社会保険料の額も減り、将来受け取れる年金額も減少すると考えるのが一般的でしょう。しかし、「養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするため」*4事業主が日本年金機構へ特例申出書を提出することで、減額前の給与を基にした保険料を支払っているとみなされる特別措置があります。対象となるのは3歳未満の子どもを養育している従業員です。適切な申請を行うことで、子どもが生まれる前の基準に基づく年金額を将来受け取れる仕組みが設けられています。
ただし、この措置は従業員の申し出を受けた事業主が申請書類の提出を行うものであり、事業主が自動的に行ってくれるとは限らないため、期間内に忘れずに申請をしましょう。なお、申し出が遅くなった場合でも、申し出をした日の前月までの2年間をさかのぼって、このみなし措置が適用されます*4

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フレックスタイムが認められる場合も

育児と仕事の両立支援制度の一つとして、他にもフレックスタイム制があります。特に、労使協定<上記(ウ)のケース>により短時間勤務制度の適用除外とされた従業員に対し、企業が「始業時刻変更等の措置」を講じる努力義務が法で定められており、フレックスタイム制や始業・終業時刻の繰上げ・繰下げがそれに当たります。
フレックスタイム制とは「一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が 日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度*5で、企業が任意で設けたコアタイムという必ず勤務しなければならない時間を除き、勤務時間は自由となっています。たとえば、コアタイムが11時~15時であれば、11時に出勤して20時に退勤といった8時間労働(休憩1時間)が可能というものです。
また、2019年の法改正により清算期間の上限が3ヵ月となり、その中で定められた総労働時間を満たせば、給与への影響はありません。つまり、3時間少なく働いた月があったとしても、次の月に3時間多く働けば相殺されます。労働時間や給与を減らさずに、始業・終業時刻を労働者が決定できるこの制度は、子どもの送り迎えに行きやすい、通勤ラッシュの時間帯を避けて負担を軽減できる、等のメリットもあります。

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まとめ

育児短時間勤務制度は、法律による一定の基準はあっても、制度内容や手続き方法は会社の定めによるものです。自分の勤める企業がどのような制度を持っているのか就業規則等を確認し、自ら申請を行うことが第一歩となります。これらの制度をうまく活用して、自分流に育児と仕事の両立を目指しましょう。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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