終身雇用の考え方が薄れつつある中、近年では転職を考える人の数が増えているようです。
中でも20代、30代の転職は多く、2回、3回と繰り返し、企業をわたり歩く人も少なくありません。
そこで今回は、転職を考えている人の理由や方法、その後収入はどのように変わったのか、などについてご紹介します。
転職を考えるきっかけとは
内閣府が20代までの人を対象に行なった職業に関する調査によると、最初に就職した会社を辞めた理由としては、以下のようなものが挙がっています(図1)。
出所)内閣府「平成30年版 子供・若者白書」を基に三菱UFJ国際投信作成
給与や待遇というよりも、仕事のやりがいや達成感がなかったり、自分のスキルを活かすことができないと感じたりして、最初の会社を辞めてしまう人が多いことがわかります。
そして、転職について、「自分の能力や適性に合わない職場であっても、転職は絶対すべきではない・転職はできる限りしないほうがよい」といった、否定的な回答をした人は17.3%で、どちらかというと少数派になっています(図2)。
出所)内閣府「平成30年版 子供・若者白書」を基に三菱UFJ国際投信作成
全体的な人手不足で売り手市場ということもあり、転職に積極的な若い人が増えているのです。
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転職で収入は上がる?下がる?
実際、どのような人が転職しやすいのでしょうか。
労働力政策研究・研究機構の調査によると、企業が正社員の中途採用を実施するにあたって、求めている人物像はこのようなものです(図3)。
出所)労働政策研究・研修機構「企業の多様な採用に関する調査」を基に三菱UFJ国際投信作成
企業としても、若い人の転職を受け入れたい、という気持ちが強いことがわかります。
そして、転職の求人が多い職種と少ない職種があります。
図4は、転職希望者に対して何件の求人があるかという「転職求人倍率」を示したものです。
出所)内閣府「令和元年度 年次経済財政報告」を基に三菱UFJ国際投信作成
ITや通信、専門職、技術系の職種の人手不足が顕著になっています。
では、このような転職市場の中で、実際に転職後の収入がどのようになったか見てみましょう。
厚生労働省の雇用動向調査では、平成30年の1年間に転職した人の賃金の変化についての調査結果が出ています。
図5は、転職した人の中で、賃金が上がった人と下がった人の割合を示したものです。
出所)厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概況」を基に三菱UFJ国際投信作成
賃金が1割以上増えた、という人が3割前後にのぼっています。
転職が成功すれば、収入の増加は見込めるということです。
ただ一方で、賃金が1割以上減少している人も一定の割合で存在しています。
良い会社にたどり着けず転職がうまく行かなかった、という場合もあるでしょうが、最近では転職理由として、給料よりも仕事内容やスキルアップといったことを重視する人も多いためだと考えられます。
また、少し給料が減っても、労働時間を減らして生活にゆとりを持ちたい、あるいは人間関係が良い職場で働きたい、という考え方も若い人の間では多くなっています。
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転職活動の実際
次に、実際に転職した人の活動方法についてです。
どのような所を経由して転職したかという割合は、図6のようになっています。
出所)内閣府「日本経済2017-2018」を基に三菱UFJ国際投信作成
転職活動というと、転職情報サイトや人材派遣会社のイメージが強いかもしれませんが、正社員の転職では、ハローワークを利用した人の割合も多くなっています。
意外に感じる人も多いでしょうが、ハローワークを通じた転職は、転職希望者がインターネットで仕事を探しやすくなったというだけでなく、企業にとっても、無料で求人広告を掲載できる、というメリットがあるのです。
ただ、転職情報サイトとハローワークでは、転職先の業種に大きな違いがあります。
出所)内閣府「日本経済2017-2018」を基に三菱UFJ国際投信作成
ハローワークで最も多い転職先が社会保険・福祉の分野であるのに対し、転職情報サイトでは不動産、情報通信の仕事が多くなっています。
希望する就職先の業種によっては、向き・不向きがあるかもしれません。
また、会社に在職しながら転職活動を進める人と、そうでない人がいます。
経済的な安定のために、切れ目なく仕事をしたいという考えもあれば、じっくりと転職活動や勉強に集中したい、という両方の考えがあるでしょう。
何か資格を取りたい、となった時、働きながらでは大変な場合もあります。
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まとめ
転職というと、リスクを感じる人も多いでしょう。
もちろん、必ずしも全員の転職が成功するわけではありません。
しかし、転職を成功させるために大切なのは、「自分が何をしたいのか」「なぜ転職するのか」をどこまで明確にできるかです。
収入も魅力的ではありますが、転職先でも前職と同じような不満を抱えることがないように、理由をはっきりさせる必要があります。
家族や転職経験のある人に相談しながら、まずは具体的なキャリアプランを描いてみましょう。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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