ポイント
私は職業柄、会社の数字について話をすることが多いのですが、実は一方では、家計簿を16年間、毎月欠かさずつけています。
といっても「お金を貯めよう」という強い動機に基づいて始めたわけではありません。
社会人になって初めてクレジットカードを持ち、気軽に使っていたところ、
銀行の支払い用の口座残高が足りていないことに気づかず、一度支払いを遅延してしまったため、「これはまずい」と思ったからです。
ただ、家計簿を支払い管理のためにつけ始めたところ、嬉しい副作用がありました。
それは「お金が貯まるようになった」という事実です。
これは、会社の経営でも同様でした。
結局、「どんぶり勘定」の会社の経営は遅かれ早かれ破綻するのです。
逆に、もうかる会社になろうと思えば、お金の流れを正確に把握し、コントロールしなければなりません。
「コスト管理」は重要なテーマの一つです。
実際、私は数々の会社でコンサルティングを行ってきましたが、会社の立て直しにまず重要なことは「売上アップ(=収入を増やす)」ではありません。
まず手を付けるのは短期的に成果が上がりやすく、自社内でコントロール可能な「コスト管理(=出ていくお金を減らす)」です。
余計なコストを抑え、そうして浮いたお金を、もっと稼ぐために投資するのは、経営の基本中の基本です。
*
もちろんこの話は、一般の家計においても同様のことが言えます。
私が家計簿をつけてお金が貯まるようになったのは、特別な努力をしたわけではなく、単に
自分のお金の状況を見える化できたことで、コスト管理が可能になったからです。
ただもちろん「家計簿は面倒」です。
それは、完全に同意します。
「やりたいんだけどねえ、なんか面倒だよねえ」という方が多いですが、それはまあ、無理からぬ話でしょう。
したがって、まずは家計簿をいかに楽につけるか、というところに知恵を絞るのが正しいです。
その話の詳細は、こちらの記事に記載しました。
要するにできるだけ決済を「キャッシュレス」にし、記録を自動化して、web上のアカウントアグリゲーションサービスを使い、まとめて管理してしまおう、という発想です。
これであれば、いちいちレシートを記録する必要もなく、またリアルタイムで支出の動向を把握することができます。
これがやれる人であれば、是非オススメします。
ただ、そうは言ってもねぇ……という方も多いでしょう。
気持ちはわかります。
私も、2001年に社会人になって、「家計簿をつけよう」と意気込んでいたにも関わらず、2年も放置していた理由は、「面倒」だったから。
単純に、私が家計簿をつけ始めた動機は、「ブラックリストにのるとヤバい」と思ったからで、「お金を貯めよう」と思ったからではないのは事実です。
とはいえ、お金を貯めるためにはなにかしなければならない。
そこで今回は「コスト管理」に話題を絞って、自分の家計簿をみてやったことの中で効果の高いことをいくつか書こうと思います。
大きな方針は「月額課金(サブスクリプション)」を見直す
今でいうと、「サブスクリプション」という分野です。
要するに月額の会費が発生するサービス、あるいは定期的に購入している物品について、バッサリ見直すのが一番効果が高いと思いました。
家計簿は年単位で費用をグラフ化することができたのですが、年間単位で見ると結局「月額課金モノ」ばかりが上位に来ます。
月額で見ると安いと思っていたものが、年額に換算すると結構大きな金額になっている……家計簿からはそういったことが見えてきます。
逆に言えば、月額課金の金額をすこしでも減らせば、大きな改善ができるということで、費用対効果が高いと言えます。
そのため、やむを得ずサブスクリプションサービスを使う場合には、「自らが加入しているサブスクリプションサービス」を一箇所にまとめて記録しておき、定期的に見直しをするクセ付けをすると良いように感じます。
私は普段使っているタスク管理のリストに「◯◯の見直し」というタスクを入れ込んでしまい、強制的に思い出すようにしています。
では、実際にはどのような「月額課金」を見直すべきでしょうか。
(目次へ戻る)
生命保険料は高すぎた
家計簿をつけ始めて、月額がかかっているものの中でまず目についたのは、「保険料が高い……」でした。
当時私は、知り合いの薦めで生命保険に加入していたのですが、月に2万円以上の保険料が生じていました。
正直、内容もよく理解しておらず、本当に保証が必要なのかと言われると、当時の私は何も答えることができなかったでしょう。
で、結局セカンドオピニオンを知人にもらって、スリム化しました。
結局、結婚前には「生命保険はいらん」という結論に。
結婚してからも、国保(または社保)が手厚いのと(その分保険料がバカ高いですが……)子供の学費程度の保証で十分なので、月8000円程度に抑制しています。
これで年間15万近く、何もせずに浮くのですから、大きいと思います。
(目次へ戻る)
携帯電話はSIMフリー端末の活用で「プランの自由な乗り換え」が効果的
2番目についた大きな数字は「携帯電話料金」です。
ガラケー時代の私は月に2万円近くかかっていましたので、流石にこれは高い、と原因を突き止めるため、携帯電話ショップに相談しました。
携帯電話ショップの方は基本的に良心的で、最適なプランを提案してくれる人がほとんどです。
通話時間の分析から、当時の電話料金プランを見直し、1万5千円程度までは減らせました。
その後、スマートフォンの時代になってからは、「電話」をメッセンジャーやIP電話の方にほぼ切り替えてしまいましたので、電話代は月6,000円程度まで、劇的に減りました。
これでだいたい、年間17万程度は節約可能です。
最近では、電話は極力、ネットなどで中古のSIMフリー端末を買うようにしています。
SIMフリーにしておくことで、キャリアによらず最もお得なプランをすぐに導入できること。格安SIMへの乗り換えも楽勝です。
(目次へ戻る)
習い事・スポーツクラブはダラダラ課金し続けてしまうことがほとんど
あとは、習い事やスポーツクラブも結構高いです。
当時は英会話をやっており、これが月に1万円程度、スポーツクラブも1万5千円程度かかっていました。
人間というものは弱いので「スキルアップしよう」「運動しよう」という意思だけではなかなか実行できないもの。
そこで「お金を払えば行くだろう」と、あえて「課金」する。
「結果にコミット」というダイエットの商材も、その心理に基づいています。
ただ残念ながら、行動心理学の研究によれば、この効果は長続きしません。
あるスポーツジムの調査では、「半年ごとに会費の請求書が会員に送られると、支払い直後の月はジムに行く回数が跳ね上がり、その後次の請求書が届くまで、尻すぼみに減っていく」そうです。出所)「行動経済学の逆襲」 (リチャード・セイラー 著)
要するに、会費を「引き落とし」や「クレジットカード払い」にしている場合、支払いの痛みを忘れて、お金をドブに捨てているだけのことも多いのです。
私はまさに上のような、いつでもできるから今日はいいや、という心理状態にあったので、ちょっと極端でしたが、一度すべての習い事をカットしました。
そして、その後は費用対効果を月次で検証するために「支払いの記録」をつけるようにしました。
この費用対効果は大きく、人にもよりますが、年間で30万くらい削減できるときもあります。
ちなみに、運動をしたければ、スポーツジムに通う前に、運動量の計測をできるApple watchなどのスマートウォッチを買うのが良いと思います。
運動量を可視化されることで、モチベーションが上がるので、駅で階段を使う、早歩きをするなどの生活習慣が付き、5万円ほどの投資で、スポーツジムと同様の効果を得られると、個人的に思います。
(目次へ戻る)
電気料金はwebの申込みだけで安くできる
水道、ガス、電気などのインフラは究極のサブスクリプションサービスであり、かつ課金額も大きいです。
ただ、インフラは特定の企業に独占されているため、この見直しは長らく難しかったのですが、最近劇的に環境が変化しました。
それが「電力の自由化」です。
この電力の自由化は結構コストダウンへのインパクトが大きく、オール電化の我が家では月の電気料金が3,000円ほど減りました。
これで年間3万6千円、「何もせず」に損失を防げるので、貯金に回すもよし、投資に回すもよしです。
しかも、電力の切り替えは工事などの面倒なことは一切なく、web上で「電力会社を切り替える」だけでできるので、めちゃくちゃ楽。
ちなみに「電力会社 切り替え」で検索するだけで、比較サイトがたくさん出てくるので、そこでサクッと切り替えてしまいましょう。
(目次へ戻る)
動画・コンテンツ配信サービスは「時間」を浪費している?
動画・コンテンツ配信サービスは、月額1000円程度で見放題なので、お得に感じます。
ですが、本当にお得なのでしょうか?
1日の平均の「最大試聴時間」を2時間として、試聴にアテられる時間は、月間60時間が最大です。1時間あたり20円位で、お得といえばお得です。
しかし改めて、考えてみてください。
本当に失われているのはお金ではなく、貴重な「時間」です。
月60時間もあったら、別の有意義なことができませんか?
時給換算して考えたとき、本当にそれだけの価値があるのでしょうか?
個人的には動画系のサービスは単位時間あたりの情報量が少ないので「時間泥棒」として、見たいものは映画館できっちり見るか、都度課金をして、本当に見る必要性を感じるものだけを見るようにしています。
(目次へ戻る)
ネットスーパーなどの定期購入は代替できる
かつてネットスーパーの定期購入の通販をやっていたこともありました。
ただ、ああいうのって、結構高いんです。
料理をしたくないときもありますし、正直「サブスクリプション」で料理を強制されるような気分になるときもありました。
また、「米」や「肉」、「ジャム」などの定期購入は、どんなに良いものであっても、だいたい飽きてきます。
まあ、味が良い、買い物に出かけるのが面倒、などの理由で定期購入を続けている方もいるかもしれませんが、価格だけを見れば、地元のいいスーパーや八百屋さんを探したほうが、お得に感じます。ちなみに、味も「地元の八百屋」は馬鹿にできません。
また、「ふるさと納税」をやっていないなら、同じように定期的に野菜が届くサービスを節税しながら利用できますし、1回の宅配で6,000円以上注文すると、送料が無料になるサービスなどもあり、「都度注文する」スタイルで、十分だな、と思いました。
(目次へ戻る)
自動車の維持にはお金がかかる
「自動車の維持」にはめちゃくちゃお金がかかります。
保険料、税金、ガソリン代……。
郊外では自動車は必須ですが、維持に金がかからない「軽自動車」が増えています。
また、都心ではすでに自家用車の所有は「ステータス」以外の何者でもありません。
なぜなら、シェアリングエコノミーの発達に伴い、都心では「カーシェアリング」「シェアサイクル」などのインフラが随分整ってきたからです。
カーシェアリングは月に1,000円程度の登録費がかかりますが、自家用車の所有費用に比べたら微々たるものです。
また、都心の移動に月2,000円程度の「シェアサイクル」を使えば、健康にもよく、3km以内の移動であれば、車や鉄道よりも早い。
おかげで私は鉄道とタクシーを使う機会が激減しました。
その自動車、本当に必要でしょうか。
車の所有は、維持するだけで年間10万円、いい車であれば30万円以上もかかりますよ。
(目次へ戻る)
その他、あらゆるサブスクリプションについて
繰り返しになりますが、あらゆるサブスクリプションサービスは、必ず「解約」の方法を見て、「見直しの時期」を決定してから購入することが肝心です。
私個人は、サブスクリプションサービスの質は「解約の方法の楽さ」も重要な要因であると思っていますので、必ず解約の方法を確認します。
世の中のサブスクリプションサービスは「解約が面倒だから」とか「方法がよくわからないので」と言っていると、どんどんお金を取られてしまうのです。
サブスクリプションは「お金を貯める」という意味では最も気をつけるべきものです。
記録をつけて、定期的に見直しをしなければならない、自己管理の必要な商品と割り切って使ったほうが良いでしょう。
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
おすすめ
2019.11.18|
2019.12.06|
みんなの貯蓄はどれくらい?「中央値」でみる年齢別の平均貯蓄額
2021.08.13| マネー
まずは200万円預貯金しよう!預貯金がうまくいく4つのヒント
2019.11.05|
ゼロクーポン債って何?税金やリスクの仕組みを含めて詳しく解説
2022.12.14|