「世界のエリート投資家は何を考えているのか」

「世界のエリート投資家は何を考えているのか」

多くの人にとって、いかなる金融商品に、どの様な組み合わせで投資ポートフォリオを組むべきかは、悩ましいところだと思います。またポートフォリオは、現在のライフステージや将来を見据えたライフプランによって、その構築を考えなければなりません。

そんな問いや悩みに明確に応えるべく今回ご紹介する書籍が「世界のエリート投資家は何を考えているのか」です。著者であるアンソニー・ロビンズ氏は、元米国大統領から起業家、トップアスリートなどをクライアントに抱え、世界100ヵ国以上の5,000万人以上に多大な影響を与える世界ナンバーワン・カリスマメンタルコーチとして活躍しています。

そんなロビンズ氏により、個人投資家が自分自身の資産を増やす方法を模索すべく、金融業界で最も優秀且つ影響力のある50人にインタビューして得られた貴重な情報を執筆したものが本書です。

世界最大のヘッジファンド創設者が提案するポートフォリオとは?

本書の最大の特徴は、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツを率いるレイ・ダリオ氏にロビンズ氏がアプローチし、想定外の事態にも負けない、個人投資家でも実践できる投資ポートフォリオを示している点です。

レイ・ダリオ氏は「投資界のスティーブ・ジョブズ」の異名を持つ世界最大のヘッジファンドの設立者であり、その運用資産残高は1,600億ドルにも上ります。なおヘッジファンドとは、様々な取引手法を駆使し、証券市場が上昇しても下落しても利益を追求することを目的としたファンドです。

また「大手ファンド」とは、通常運用資産残高が150億ドル以上のヘッジファンドを指します。このことからも、レイ・ダリオ氏率いるブリッジウォーター・アソシエイツがとてつもなく莫大な資金を運用していることが伺い知れるかと思います。

そして、世界中の経済界のリーダーや投資銀行のトップ、米国政府に至るまでが、今後の経済方針・経済状況を見据えるうえでレイ・ダリオ氏の意見をヒアリングすると言われています。

そのブリッジウォーター・アソシエイツが運用する投資ファンドは、従来純資産が50億ドル以上もしくは初期投資額が1億ドル以上と、自主制限を設け運用していました。しかし現在では、新規に投資することすら認められておらず、一般的な投資家がアクセスできるファンドではありません。*1
その様な状況の中で本書では、レイ・ダリオ氏が個人投資家向け投資戦略を提示しているところに、非常に価値があると言えるでしょう。

そして天才投資家レイ・ダリオ氏が考える個人投資家向けポートフォリオは、「株式(S&P500もしくは他のインデックスファンド)に30%、長期米国債(20~25年満期)に40%、中期米国債(7~10年満期)に15%、金に7.5%、商品取引に7.5%」、資金を分散させることを提案しています。*2

レイ・ダリオ氏は、株式は債券と比較して3倍リスクが高いと考えていることから、2008年のリーマンショックのような大不況時にも大きく負けないポートフォリオ構成を意識しています。また金や商品を組み入れることで、インフレが加速したときに価格が上昇しやすく、逆にインフレ加速時に価格が下落しやすい債券のリスクを軽減するのに役立つようです。

ロビンズ氏のチームがこの個人投資家向けポートフォリオに関して、1984年から2013年の30年間にわたる仮想実績を検証しており、その結果このポートフォリオが非常に強固であることが改めて示されました。

年利回りは手数料控除後に9.72%、30年間のうち86%以上の期間で利益を上げ、最も損失を出した年の収益率が2008年のマイナス3.93%だったようです。2008年はS&P500の損失がマイナス37%であったことから、いかにレイ・ダリオ氏が提案したポートフォリオが、どんな経済下においても損失を限定し利益を着実に出しているか伺い知れるかと思います。*3

そしてロビンズ氏は、今回レイ・ダリオ氏が提示した参考ポートフォリオをもとに、個人投資家が自分自身でポートフォリオを構築する際の注意点も伝えております。それは低コストで最も運用効率の良いインデックスファンドやETF(上場投資信託)を選択することが非常に大切であるとしています。また、ポートフォリオは一度構築したら放置するのではなく、モニタリングを欠かさず、年に1度は必ずリバランスすることを勧めております。

リバランスとは、当初設定した金融商品の保有割合を維持するために、例えば株価が上昇し株式のポートフォリオに占める割合が高くなったら、株式を売却し当初設定の保有割合に戻すことを意味します。そしてポートフォリオの節税効果は必ずしも高くないことから、非課税口座を利用し節税効果を最大限活用することが大事であるとしています。日本には、iDeCoやNISAといった非課税制度がありますので、それらの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

目次へ戻る

日本人投資家向けポートフォリオ

レイ・ダリオ氏が提示した投資ポートフォリオは米国投資家向けのものであるため、本書の解説を行っている山崎元氏が日本人投資家向けにアレンジした投資ポートフォリオも紹介しています。

そのポートフォリオは、「国内株式が15%、外国株式(先進国)ヘッジなしが5%、外国株式(先進国)ヘッジつきが10%、金(ETF)に10%、J-REIT(不動産投資信託)へ5%、長期国債に20%、ヘッジつき外国債券に15%、個人向け国債(変動10年)に20%」という組み合わせを提案しています。*4

目次へ戻る

早くから投資を行う重要性

投資を行う上で、ポートフォリオだけでなく、もう一つ、意識しておいた方がよいことがあります。それは、なるべく早くから投資を始めるということです。

例えば、下記のグラフのように10万円を年率3%で運用し続けた場合、20年後には投資額が180,611円、40年後には326,204円となります。複利効果がありますので、投資期間が2倍でも、運用益は2倍以上になっているところがポイントです。

※上記はシミュレーションであり、実際の運用とは異なります。したがって、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等は考慮しておりません。

つみたてNISAやiDeCo活用の参考に

今回は「世界のエリート投資家は何を考えているのか」の中の最大の注目ポイントとして、投資業界のカリスマであるレイ・ダリオ氏が授けるどんな経済下においても負けない投資ポートフォリオを中心に紹介してきました。

多くの方にとって充実したライフプランを描くうえで、投資による資産形成を行うことは大切になってくると思われます。そして、制度の普及が進んでいるつみたてNISAやiDeCoを利用し節税効果を活用した効率的な資産運用をする際に、今回ご紹介したレイ・ダリオ氏のポートフォリオを参考に、自分自身で資産配分や投資する金融商品を選択してみてはいかがでしょうか。

*1~*4 出所)アンソニー・ロビンズ「世界のエリート投資家は何を考えているのか」 P43、P333、P335、P336、P375、P376

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

関連記事

人気ランキング