リーマンショックで大損してしまった私が、投資を再開した理由

リーマンショックで大損してしまった私が、投資を再開した理由

投資にポジティブな印象を持っている人はどれほどいるでしょうか?
正直、良いイメージはあまりない人が多いかもしれません。

そして、かくいう私も、投資のイメージが良いのかといえば、決して良いとは言えません。
なぜなら、投資で大損したことがあるからです。
リーマンショックで失敗した愚かな投資家は誰か、と問われたら「私です」と即座に言えます。

素人がこぞって参入してきたらそろそろ相場がヤバい、と聞いたことがありますが、まさに高値で掴んで、その後暴落、という、昨年の仮想通貨ブームのような状況に、リーマンショック時の私も乗っかってしまいました。

しかし、その後10年近くが経ち、起業したことをきっかけに、また投資の世界に戻る決意をしました。
でも、それはリーマンショックのときとは全く異なる動機によるものでした。

今回は、その話をしたいと思います。

お金を急に持つと人は酔う

私が就職したのは2001年、就職氷河期と言われる最悪の時期でした。

皆、就職には非常に苦労しており、私も「コンサルティング会社」という当時ではマイナーな世界に身を投じざるを得なかったのです。

しかし、翌年から徐々に景気は回復。
「コンサルティング業界」が成長期だったこともあり、私は永きに渡ってその恩恵を受けました。

特に私の在籍していたセクションは一種のバブル状態であり、たいへん儲かりました。
いい会社だったので従業員にも還元され、決算賞与だけで数百万円、というときもあったくらいです。
初めて「投資をやってみようかな」と思ったのは、その好景気の真っ只中、2008年の6月頃でした。

お金を急に持つと人は狂う、というか酔ってしまいます。
なんというか……お金で遊びたくなったのです。

退職金をもらって、すぐに無くしてしまう人も少なくないと聞きますが、私も一種の酩酊状態にあったのかもしれません。
数百万ものお金がポンと入ってくると、感覚が狂うのです。

これはひょっとすると、仕事の影響も大きいかもしれません。
経営者は手元の現金を遊ばせておくのは良くないこと、と言われます。

私もそれに影響を受けたのかもしれません。
手元の現金を活用しなければ、と考えました。

今考えると、笑ってしまうくらい馬鹿な行動なのですが、当時の私は
「手元にお金がある」→「お金を持ってないとできないことをしてみたい」→「そうだ投資だ」
くらいにしか、考えていなかったのです。

そして早速、私は銀行に行きました。

なぜ、証券会社ではなく、ネット証券でもなく、銀行だったのか、理由はよく覚えていません。
おそらく、自分の銀行口座があるところで、と思っただけかもしれません。または、証券会社の敷居が高いと感じていたのかもしれません。
とにかく、私は銀行で投資信託を買いました。

今振り返れば、いろいろとダメダメで、

  • 手数料を考えていない
  • 年金暮らしでもないのに「毎月分配型」を買っている
  • 目論見書をあまり読まず、銀行員の勧めるままに買っている

などなど、数々やらかしました。
勉強もせず、ポリシーもなく、なんとなく金融商品に手を出してしまったのです。

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そして、リーマンショックが起きた

買ってしばらくは、相場は上がり続けていました。
毎日、日経新聞の相場欄を見るのが楽しみになり、上がるのを見ては「簡単じゃん」と思っていました。

ところが、3ヵ月後。
リーマンショックが起きたのです。

正直、私はのんきなもので、「暴落」のニュースも今ひとつピンときていない状態でした。
「まさか」自分にも影響があるなんて思わなかったのです。

日に日に相場は落ち続け、私は新聞を見るのが嫌になりました。

通常であれば、売るなり買うなりして、なにか対処するでしょう。
だが、私は目と耳を塞ぎ、「なかったこと」にしました。

つまり、何もしなかったのです。
昨年末の仮想通貨バブルでも、損切りできずに、金融資産を塩漬けにしている人がいると聞きます。
当時の私も全く同じでした。その方々の気持はよく分かります。


プロは「損切りせよ」とよく言います。
しかし、素人はそんなことができるほど心が強くありません。

そんな事も知らなかった私は、ひたすら投資信託を塩漬けにしました。
結局、1年以上経ったあと、急にお金が必要になり、購入したときの半値ですべて売却したのです。

しかし、今振り返ると、実はそれも間違いでした。
それらの投資信託は、今もなお持っていれば、リーマンショック前の水準以上に回復していたのです。

売るべき時に売らず、売ってはいけない時に売ってしまう。
素人とは、まさに基本に忠実に損をしてしまうことがあります。

だから、「投資は怖いよ」という素人の意見は、至極真っ当な意見だと感じます。

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なぜ投資を再開したのか

それゆえに、私はもう二度と、株やその他金融商品に関わることはないだろう、と思っていました。

ところが、数年前に会社を辞め、会社を作って活動するようになると「投資は避けられないもの」という認識をするようになりました。

なぜか。
それは、不測の事態に備えるためにお金を貯めなければならない、という問題が出てきたからです。

お金を貯める?投資の話では?と思う方もいるかもしれません。

本質的に個人事業主や起業家というのは、不安定な存在です。
そして、その不安定をどう管理するかは、非常に重要で、家族がいればなおさらです。

つまりは、事業がなくなったり、会社が潰れたりしても、しばらく生きていけるように、
コツコツと蓄えないといけないのです。

知人の経営者の中には「不安定だから、報酬はもらえる時にもらっておくほうが絶対いいよ」と言う方が結構いますが、その通りでしょう。
ところが、自分のために報酬を単純に増やすと、所得税、住民税の金額は跳ね上がり、社会保険料、健康保険料も大きな負担を強いられることになります。

そして、それらは「固定費」となります。
それもかなり大きな固定費です。

サラリーマンであれば、給与が急に大きく落ちたり、収入がなくなったりすることはありませんが、自分で商売をやっている身であれば、売上がなくなれば、収入も途絶えます。
その時に絶対に取られる「固定費」が大きいのは、どうにもよろしくないのです。

つまり、ある程度の報酬を取りつつ、「固定費」としての税金や社会保険料をどう節約するかが、非常に重要な問題となってきます。

そこで浮上してくるのが「貯蓄の手段であり、税金対策としての投資」です。

例えばiDeCo(個人型確定拠出年金)です。

ここで制度の詳しい話については避けますが、特に拠出した掛金額が全額所得控除となる点に私は注目しています。

たとえ拠出したお金の投資運用成績が振るわなくとも、所得控除の額を増やすことができるだけで、負けにくい勝負につながると思います。

あるいは、NISAです。
投資で得た利益に対して「課税されない」という時点で、すでに「負けにくい勝負」である条件を満たしています。

そう。
いつの間にか私は「投資で大きく儲けよう」ではなく、「投資にまつわる制度を使って、資産をディフェンスしよう」という方向に、投資のスタンスを切り替えていたのです。

「起業」というギャンブルをすでに行っている人間が、資産形成でも重ねてギャンブルをするわけにはいきません。
しかし、投資という考え方を経ずして、資産をディフェンスすることもできないのです。

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「勝ちにいく投資」ではなく「負けにくい投資」のやり方が見えてきた

投資についての書籍としては異例のベストセラーとなった、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」という本があります。

この本には「税金と運用の手数料を控除した後、市場平均を上回る成績をあげられるマネジャーを事前に選別することは無理だ」と述べられています。

コスト・税金と運用手数料控除後で、市場平均を上回る成績をあげられるマネジャーを事前に選別することは無理だ、と示す明確なデータは多い。たしかに、長期的に市場に勝ってきたマネジャーがいることは事実だ。事前にそれを見出す確かな方法がないだけだ。

だから個人投資家でも機関投資家でも、ETFやインデックス・ファンドへの志向を強め、これらの運用機能を持つ運用機関の資産が増加してきたのも無理はない。

その背景として、運用専門能力の向上が市場に勝つゲームを難しくし、市場に勝つマネジャーの選別が難しいのであれば、インデックス・ファンドのもたらす市場平均リターンを受け入れざるを得ない、少なくとも支払手数料額を減らしたい、という考え方がある。インデックス・ファンドの投資家にとっては、アクティブ運用は現実を過信している、ということになる。

出所)チャールズ・エリス「敗者のゲーム〈原著第6版〉」

様々な意見があると思いますが、私個人の感想から言えば、チャールズ・エリスの意見は説得力があります。
私はファンドマネジャーの目利きもできないし、個別株式の騰落の予想に割く時間もありません。
自分の仕事を見るだけでも精一杯の人間が、膨大な時間をかけて投資を行っているプロと競る事自体が、間違っているのです。

であれば、私は投資のスタンスとして上に挙げたような

  • 節税効果があり
  • 市場平均のリターンを目指す
  • 長期投資

を目指そう、と考えるに至りました。

もちろん、上に書いたことはすべて私個人の意見であり、金融機関や投資アドバイザーの言うこととは異なっていることもあるでしょうが、ここまで書いたことは若い時に投資の失敗経験を積んだ結果、私が至った結論です。


※上記は個人の経験・意見です。

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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