子供の教育費を貯めたいけれども「利率が低くて学費保険に加入していない」、「学資保険に加入するメリットが感じられない」と考える人は、多いのではないでしょうか。
マイナス金利導入後、貯蓄性の高い金融商品の多くが販売停止になり、あるいは利率の改定が行われました。
返戻率が下がり、元本割れするようになった学資保険もあります。
しかし家庭のニーズに合わせた学資保険を選ぶことで、計画的な資金準備や生命保険の見直しになるなど、さまざまなメリットがあります。
返戻率が低くなっても学資保険の需要があるのは、ローリスクで始められ資金準備の確実性が高いからと言えそうです。
そこで今回は、
- 学資保険の仕組みがわからない
- これから学資保険を検討する
- 学資保険に加入するメリットを知りたい
- 学資保険以外でも教育費を準備したい
といった点を解説していきます。
お金を賢く運用するために、基礎知識の復習から始めてみましょう。
学資保険とは?
学資保険は、子どもの教育費を準備するための貯蓄型の保険です。
学資金の使用用途は自由で、留学費用や結婚資金などにすることもできます。
また契約者(親)が万一の際には、以後の保険料払込が免除されるという特徴があります。
詳しい内容は後述しますが、これが預貯金と大きく異なる点です。預貯金は何らかの理由で積立をやめると、その時点の金額が最高額となります。
学資保険では、契約者が亡くなったことなどを理由に保険料の払い込みがストップしても満期保険金額の保証があります。
学資保険の需要があるのは、このような満期保険金の保証があるからといえるでしょう。
それでは実際にどれくらいの満期保険金があれば良いのでしょうか?
教育費は大学進学時期が最も高くなる傾向があり、学資保険もこの時期に合わせて多く受け取れるプランが多くなっています。
このグラフは大学入学時の納付金の平均額で、国公立大を除くと約200-300万円を払っているのがわかります。
すべての学費を学資保険で備える必要はありませんが、200万円程度受け取れるプランであれば、大学入学時の学費の大半を賄えるのではないでしょうか。
学資保険のプランは各社さまざまな特徴があるため、加入する際はライフプランに合わせて選ぶことが大切です。
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学資保険加入のメリット
200万円程度受け取れるプランであれば、入学時の学費の大半を賄えると述べましたが、18歳までに200万円を貯めるならば、預貯金で充分と考える人もいるでしょう。
例えば0歳から18歳まで毎月約9,300円を貯めれば、18年後には200万円を貯められます。
しかし学資保険に加入することで、ただ貯めるだけでなく、万一の時の保障を付けることも可能です。
この項目では学資保険へ加入する3つのメリットについて紹介します。
1.強制的に教育費の準備ができる
学資保険は保険という強制力があるため、預貯金の苦手な人でも確実に積立できる点がメリットです。
保険料の払込はライフスタイルに合わせて選ぶことができます。一般的には、口座振替や給与天引きが多いでしょう。近年のキャッシュレス化に伴い、保険料をクレジットカード払いできるプランも出てきました。
学資保険は契約が長いため、クレジットカードのポイント還元があるとさらにお得になりそうです。
また保険料は毎月払い込む月払い以外に「半年払い・年払い・一時払い」があります。例えばサラリーパーソンであれば、ボーナス時期に合わせて半年や年払いにすると支払いやすいでしょう。
このように保険料をまとめて支払うと、結果的に払込み保険料が安くなる効果があります。
これは保険会社の運用資金が多くなるからです。保険会社は契約者から集めた保険料を運用して資金を増やしています。一度に多くの保険料を払い込むと運用資金が大きくなるため、保険料の割引へ繋がるということです。
保険料の払込方法は契約後でも変更ができます。余裕資金など支払い余力があれば検討してみましょう。
2.契約者が万一の時も教育費が受け取れる
学資保険では契約者が亡くなったり、所定の障害状態に該当した場合に以後の保険料が払込免除となる保障があります。
この特約が適用となると、契約はそのままに祝い金や満期保険金を受け取ることができます。
万一の際も契約時に定めた満期保険金や祝い金は、最低限守られるということです。
ただし貯蓄を重視したプランでは、保険料払込免除が付加されていないケースもありますのでよく確認をしましょう。
また学資保険のプランは「返戻率を重視した貯蓄型」と「万一の保障が手厚い保障型」に分かれます。
先ほど説明した保険料払込免除の特約に加えて、年金形式で育英年金を受け取れるプランが保障型の学資保険です。
保障型の学資保険では、貯蓄性が低くなるというデメリットがあります。
しかし万一の死亡保障を学資保険に組み込むことで、契約者の保障が手厚くなるためメリットと捉えることもできるでしょう。
「貯蓄性と保障性でどちらを重視したいか」優先事項を決めてから加入を検討しましょう。
3.契約時の返戻率が満期まで続く
学資保険では加入時からプラン内容が変わることなく、満期まで契約を続けることができます。
例えば「経済状態の悪化で満期保険金額が300万円から200万円に下がった」といったことはありません。
学資保険は契約者が保険料を決められた期間まで払い込むこと、その間の保険料や返戻率の変更は行わないことを条件に契約をします。
プラン内容は契約時の保険会社の運用状況や利率により決まります。契約時期がずれると同じ商品を取り扱っていないケースもありますので注意が必要です。
もし同じ商品の利率改定が行われても、加入済みの契約変更は行われません。
これもまた、学資保険に加入するメリットと言えるでしょう。
学資保険は契約時に利率や受取額が確定するため、安定性があり、家庭の資金運用の計画が立てやすくなる効果が見込めます。
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リスク分散をしながらの運用も一つの選択肢
最近では教育費の無償化も進んできましたが、我が子がやりたいことを資金不足のせいにはしたくないと感じている人も多いでしょう。
やりたいことをやらせたいと思ったら、満期保険金額200-300万円では足りないことも考えられます。
学資保険の特徴は、契約時にプラン内容が決定し満期まで変わらないことです。
満期保険金を受取れる一方で、返戻率(貯蓄性)が低く学資保険では不十分と考える人もいるかもしれません。
お金を運用して増やしたいと考える場合は、学資保険のようなリスクもリターンも抑えた商品では、必ずしも希望に沿わないこともあります。
とはいえ、限られた資金を保証のない運用に充てるのはリスクが伴います。
お金を増やすための運用はリスクを伴うこともあり、全体のポートフォリオを考えながら検討すると良いでしょう。
例えば学資保険に加え、投資信託などでリスクを伴った運用を併用すると、全体としてはリスク分散と将来の資金増加が期待できます。
この際に気を付けたいポイントは、積立資金をどちらか片方のみに充てるのではなく、利率や運用期間に合わせて分散させるということです。一般的に学資保険の保険料は10,000円~、投資信託では数百円~始められる商品があります。
教育資金の積立に月30,000円充てられるのであれば、15,000円ずつに分けて運用するなど、リスクを抑え無理のない資金準備を考えましょう。
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まとめ
低金利時代の学資保険加入のメリットについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の記事で解説した内容は、以下の通りです。
- 学資保険は保険という強制力から資金準備がしやすい
- 契約は万一の際も最低限満期保険金や祝い金は守られる
- 契約時の内容が満期まで続く安定性がある
- 学資保険があることでリスクを伴った運用も始めやすくなる
マイナス金利の影響もあり、学資保険だけで教育資金を賄うのは難しい時代です。学資保険以外でも積立を始めるならば、リスク分散をして運用するのが良いでしょう。
・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
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三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員