経験を財産に 海外へ自分磨きの旅に出よう

経験を財産に 海外へ自分磨きの旅に出よう

今の環境を少し変えたいと思うなら、海外へ旅に出てみてはいかがでしょうか。言葉の壁や文化の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、その中に身を置くことで新たに得られることも多いでしょう。費用面の負担が重いと感じる人でも、数日間のアジア旅行であれば、数万円程度から可能です。
まだ日本から一度も出たことがない人はなおさら。経験という意味では自己投資とも捉えられる海外への旅を、実行に移してみましょう。

若者の海外離れ、現状は

近年、若者の海外離れ、という言葉をよく耳にしますが、20代を中心とした実際のデータを見てみると、単純にはそうとも言えない結果が見えてきます。

出所)法務省「出入国管理統計」を基に三菱UFJ国際投信作成

確かに2018年の20代出国人数は338万人であり、1996年の463万人には及びません。しかし、2015年に254万人だった20代の出国人数は3年連続で20~30万人ずつ増加しており、上向きに転じていることがわかります。さらに、第2次ベビーブームと言われる1971~74年生まれが20代であった1996年の20代人口は、現在より約700万人多く、出国率という観点で見ると現在の20代の方がむしろ上回っているのです。特に20代前半の出国率上昇は顕著に表れています。

出所)法務省「出入国管理統計」及び総務省統計局「各年10月1日現在人口」を基に三菱UFJ国際投信作成

一方で、2010年から3年おきに行われた調査*1では、2016年の18~29歳の海外旅行「未経験」比率が2010年に比べて10ポイント増加の51.8%となりました。経験者が繰り返し渡航している反面、未経験の人が海外に出ない傾向もあることがうかがえます。
これらを踏まえ、政府は「若者のアウトバウンド活性化」と題して対策を協議*2し、若者の「海外体験」を促進するために、関係省庁や観光関連業界等が連携した「応援プログラム」の策定に向けて検討が進められており、海外への障壁がより低くなることが期待されます。

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旅に目的を添えて

さて、海外に出ると決めたら、次は行き先選びです。ただ憧れの地への旅というだけでなく、何か目標となるような軸を決めておくと旅がより有意義なものとなり、自分磨きにもつながります。
周遊して短時間であれもこれもと観光するのではなく、1週間程度でも1か所にとどまり、現地生活に浸ってみるのも魅力的です。語学学習を目的として学校に通ったり、食に特化した旅として料理教室に行ってみたりすると、同じ興味を持つ仲間もでき、世界も広がっていきます。現地の先生等と必然的に交流の機会も生まれるため、よりその国に対する理解も深められることでしょう。
農業支援や教育プログラム等、多彩な国際ボランティアに参加するという手もあります。他の国からの参加者とともに共同生活を送ることで、訪れた国とはまた違う、仲間の出身国に詳しくなるという意外な展開もよくある話です。
さらに大切なのは帰国後の活かし方です。学んだことや新たな発見を忘れないようまとめておけば、意義ある経験として就職活動やビジネス交流の場にも役立つ可能性があります。また、今はメールやSNS等で出会った人々とのつながりを保ちやすい時代でもあります。異文化交流によって生きた外国語も学び続けられるので、せっかくの縁を無駄にしないよう、自分の財産となるような旅を心がけましょう

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通貨の両替に際して

海外に出ることは、渡航先の使用通貨について知る機会にもなります。一例として、ヨーロッパでは共通通貨のユーロの他、イギリスのポンドはよく知られていますが、実は北欧4ヵ国でのユーロ使用はフィンランドのみです。スウェーデンやデンマークには独自通貨が残っています。さらにノルウェーやスイスはEUに加盟していないという、意外と知られていないことまで見えてきます。
また日本円を現地通貨に両替する際、気になるのが為替レートです。米ドルやユーロのように世界的流通量の多い通貨は、事前に国内で両替していく方がお得な場合もあり、銀行等の金融機関利用が安心です。各々の金融機関によって定められた手数料が上乗せされ、それが両替レートとなっています。
レートは刻一刻と変化するため、円高、円安の動向を随時確認する習慣をつけておきましょう。輸出産業には打撃となる円高が、個人旅行者にはお得だというような基本的なことも実感できます。逆に、旅の終わりに外貨から円に戻す必要が生じたときには、円安の方が有利です。
現地で両替する際にも、レートと手数料が大きく関わってきます。たとえばドルの場合、日本で見慣れた「1ドル110円」ではなく「1円0.009ドル」と表記されている場合もありますので、レート比較の際に気をつけましょう。日本のカードで現地ATM から引き出す場合は、ATMによってレートと手数料が異なるほか、カード会社によって手数料が「定額」もしくは「金額に対する割合」と設定されていますので、自分に合ったサービスの見極めが重要です。
サービスの利用方法一つで、予算が大きく変わる可能性もありますので気をつけましょう。

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価格の違いから見えるもの

旅先では、生活水準や物価の面で日本との違いを自然に感じ取れる機会も増えます。宿泊料金や移動手段、スーパーマーケット、外食等、特に意識はしなくても、単純に「高い」「安い」が見えてきます。その理由を調べていくと、税率や人件費といった社会制度の違いまで掘り下げられるでしょう。たとえば、物価が高いのであれば、その物自体の価値が高いのか、それとも輸送費、税金、最低賃金なのか、様々な理由が推察されます。税率が高い国における福祉制度についても考えるきっかけとなるかもしれません。一方で、平均月収が数万円のような国々の暮らしぶりに触れることも、興味深い経験となりえます。
日本で導入され始めた軽減税率がすでに導入されている国も多くあるため、その対象商品を比べてみるのもおもしろいものです。また、日本と全く同じ商品が売られている場合は、その価格の差に注目すると、その国と日本の間に設定されている関税についての議論がより身近に感じられるようにもなるでしょう。

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まとめ

長期間の海外滞在に金銭面な不安があれば、短期就労ビザを取得して仕事をしながら海外に住むプログラムもあります。格安航空会社を利用すれば、国内旅行よりも安く行けるような場所もありますので、観光はもとより、見聞を広めて経験を積むという自己投資として、海外へ飛び出してみてはいかがでしょうか。異国の刺激を得られ、貴重な体験となるはずです。

*1  出所)観光庁「若者のアウトバウンド活性化に関する最終とりまとめ~参考資料集~」

*2  出所)観光庁「平成30年度観光の状況」及び「令和元年度観光施策」(観光白書)第III部

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

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