これから離婚しようと考えている人の中には、養育費がいくらになるか気になっている人もいるのではないでしょうか。子どものいる夫婦が離婚する際に、話し合う必要があるのが養育費についてです。ここでは、夫婦が離婚するときの養育費の取り決めや相場について紹介します。
養育費は何のためにあるか?
民法の中では「子どもの監護に必要な費用」と定めています。具体的には、夫婦が離婚して、子どもの世話をする片親が、もう片方の親から支払われる費用になります。
養育費をいつまで受け取るまたは支払う必要があるかというと、原則として子どもが成人するまでとなります(未成年の場合でも結婚した場合にはその時点で成人としてみなされる)。一方、母親と父親の合意の元で、子どもが大学へ進学する場合は、卒業まで養育費の支払いを延長できることもあります。
養育費の取り決めについて
日本では離婚時の養育費の取り決めについては必ずしも義務とされているわけではありません。2016年の厚生労働省の報告によると、養育費の取り決めについては、母親が子ども引き取ったケースでは42.9%、父親が子どもを引き取ったケースでは20.8% となっています。
特に、「協議離婚」では、調停離婚などそのほかの離婚と比較して、養育費の取り決めをしている割合が低くなっています。
また、養育費の取り決めをしなかった理由としては、相手と関わりを持ちたくないことや、相手の経済状況から支払いが難しいと判断したことなどが挙げられています。
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養育費の金額はどうやって決める?
養育費を決めるときに広く用いられているのが、「養育費算定方式」です。
養育費算定方式は、養育費を支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の収入と就労形態や、子どもの人数とそれぞれの年齢によって計算されます。
2016年の厚生労働省の報告によれば、平成28年の養育費を受け取っている世帯の平均月額は、母子家庭で43,707円、父子家庭で32,550円となっています。
また、以下に夫婦が離婚したときの、養育費算定方式から計算した養育費の相場の具体例を挙げたので参考にしてみてください。
・例:年収100万円程度の母親が子ども1人を育てる場合
あくまで例ですが、父親が年収500万円の会社員である場合、もらえる養育費は、子どもが14歳未満であれば、4万円から6万円になります。また、子どもの年齢が15歳以上であれば、6万円から8万円になります。
このように、養育費は支払う側と受け取る側の年収によって、そして子供の数によって、金額に差がでてきます。
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養育費を決めるときの問題点
養育費の取り決めについて平等とも思える養育費算定方式ですが、子育てにかかる時間や負担については配慮されていません。
たとえば、教育費という面では、子どもが大きくなるほどその費用はかかるため、養育費算定方式による養育費の取り決めでは、15歳以上の子どもでは養育費の受け取り額も変わってきます。
子どもの世話など子どもにかける時間については、一般的には、乳幼児ほど時間の負担が多く、子どもを引き取った側の親の就業は制限されます。しかし、現行の養育費算定方式では、子育にかかる時間的負担は考慮されていないという見方もできます。
母子世帯の総所得の平均は270.3万円 となっています。全世帯の総所得は545.8万円 、また児童のいる世帯は707.8万円 となっており、それらと比較すると低いといえます。そして、その原因は非正規雇用の多さもあるといえます。
母子世帯は子育てに時間がかかるということもあり、非正規雇用となっているということもあるでしょう。養育費の計算方法において、たとえば、子どもが小さい場合には、母親の労働時間が十分に確保できないという点もこれまで以上に考慮されるべきであるという考え方もあります。
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養育費がもらえないときどうする?
養育費の金額を取り決めたとしても、支払いを継続できないケースなどもあるでしょう。
裁判や調停で養育費の支払いの取り決めをしていれば、仮に養育費が支払われない場合に、裁判所からの注意(履行勧告)や一定の支払いを命じることなどがあります(間接強制)。
また、それらを無視して養育費が支払われない場合には、相手財産の差し押さえなどの強制執行ということにまでなるケースもあるでしょう。
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まとめにかえて
このように養育費について見てきましたが、養育費算定方式などの一定の目安はあるものの、離婚後の各家庭での子育て事情や年収状況などは異なることから、一概に算定方式に当てはめて考えるのには難しい点も残ります。子どもにとっての利益を考えて、最適な金額を取り決めるようにしましょう。
出所)厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」
厚生労働省「ひとり親家庭等の支援について」
日弁連「新算定表早わかりガイド」
(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)
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