- 2023.04.10
- mattoco Life編集部
米国株式に投資するインデックスファンドってどんな商品?種類と選び方を解説
ポイント
米国株式(以下、米国株)は、投資の初心者から経験者まで、幅広く支持されている投資対象です。しかし、「どの米国株を買ったらいいかわからない」という方は多いのではないでしょうか。個別株を自身で分析した上で購入し、保有し続けるというのは、米国株であることも踏まえると非常に難しいと思います。そのような方には「投資信託」がおすすめです。今回は、「米国株の投資信託」の中でも、運用コスト(信託報酬率)が安く運用方針がシンプルであるため、初心者にも選びやすい「インデックスファンド」について、どのような種類があるのかを解説します。
米国株のインデックスファンドとは?
米国株を投資対象とする投資信託には、大きく分けて「インデックスファンド」と「アクティブファンド」があります。
インデックスファンドとは、定められた指数と同じような値動きを目指す投資信託です。投資信託がこのように目標として定める指数のことを「ベンチマーク」といいます。インデックスファンドは、たとえばベンチマークの指数が3%上昇したら、投資信託の基準価額も約3%上昇するように銘柄を組み込みます。また、インデックスファンドはパッシブファンドともいわれています。
アクティブファンドとは、ファンドマネジャーの独自の戦略や考え方に基づいて組み入れ銘柄を選定することで、ベンチマークを上回る運用成績を目指す投資信託です。しかし、全てのアクティブファンドがベンチマークを超える成果を出せるわけではなく、好調なものと不調なものに分かれます。アクティブファンドを選ぶ際には、ファンドマネジャーの投資方針や、運用レポート等の内容を読んで理解できる知識が必要です。
これから、投資を始める方にはインデックスファンドは選択肢の一つです。運用中のコストである「信託報酬率」は、インデックスファンドの方がアクティブファンドよりも低い傾向があります。またシンプルな構造のため、投資に関する専門的な知識が少なくても商品を選ぶことができるからです。
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米国株のインデックスファンドがベンチマークとする主な指数
一言で米国株のインデックスファンドといっても、様々な種類があります。ベンチマークとする指数によって、運用成果が異なります。ここでは、インデックスファンドのベンチマークになっている、米国株の代表的な指数を取り上げます。なお、後述の各指数の解説については、2023年1月末時点の情報を基に記述しています。
- ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)
- S&P500
- NASDAQ100
ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)とは
ダウ・ジョーンズ工業株価平均は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が選定した30社の米国企業の株価を指数にしたもので、「NYダウ」ともいわれています。米国を代表する株式市場には、ニューヨーク証券取引所とNASDAQがあり、NYダウを構成する30企業は、2つの市場の上場企業から選ばれています。
NYダウ連動型のインデックスファンドの目論見書や月次レポートを見ると、ヘルスケア関連のユナイテッドヘルス・グループ、投資銀行の名門ゴールドマンサックス、建築資材の小売チェーンであるホーム・デポ、などが組み入れ上位となっており、マクドナルド、マイクロソフト、VISAなどの日本人にとって馴染みのある企業もNYダウには含まれていることがわかります。
NYダウの30銘柄は時々入れ替えが行われます。たとえば過去100年以上指数に組み入れられていたゼネラルエレクトリック(GE)も2018年に構成銘柄から外され、ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが加わりました。
このように、指数の銘柄の入れ替えが行われると、インデックスファンドも銘柄を入れ替えるので、投資家は自身で銘柄の取捨選択をする手間が省けます。このメリットは、後述の2つの指数のインデックスファンドにも共通しています。
S&P500とは
S&P500はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が選んだ約500社の企業の時価総額を指数にしたものです。S&P500を構成する企業も、ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場している企業から選ばれており、米国株式市場の時価総額の約80%程度が同指数の採用銘柄でカバーされているといわれています。
S&P500連動型のインデックスファンドの目論見書や月次レポートを見ると、GAFAMと言われるIT企業5社(Googleを運営するアルファベット、アマゾン、FaceBookを運営するメタ、アップル、マイクロソフト)が組み入れ上位に見受けられます。
その他、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が代表を務める投資会社のバークシャー・ハサウェイ、半導体メーカーのエヌビディア、イーロン・マスク氏が代表を務める電気自動車メーカーのテスラなども名を連ねます。
前述のNYダウ連動型のインデックスファンドとは、組み入れ上位の銘柄が異なります。
500銘柄は入れ替えが行われています。2020年12月にテスラがS&P500に組み入れられた際には、話題になりました。
S&P500には、医薬品、メディア娯楽、ヘルスケア、資本財、小売、金融、エネルギーなど、さまざまな業種の銘柄が含まれており、同指数のインデックスファンドを保有するだけで、約500社への分散投資ができることは魅力です。
NASDAQ100とは
NASDAQは、ニューヨーク証券取引所に次ぐ米国の代表的な株式市場です。全米証券業協会が運営しています。NASDAQ100は、NASDAQの上場企業の中で時価総額と流動性の観点で100社を選定し、それらの企業の時価総額を指数化したものです。
NASDAQ100連動型のインデックスファンドの目論見書や月次レポートを見ると、S&P500のインデックスファンド同様、GAFAM5社が組入比率上位にあることがわかります。
ここまではS&P500と似ていますが、ファンド全体の業種に目をやると、ソフトウェア、ハードウェア、テクノロジー、半導体、メディアといったハイテク企業が大半を占めていることがわかります。この点が様々な業種に分散しているS&P500との違いです。ハイテク企業は、急成長する企業もあれば、そうでない企業もあるため株価の変動が激しい傾向があります。そのため、NASDAQ100は今回取り上げた3つの指数の中で最もハイリスクな指数だといえます。
NASDAQ100の構成銘柄も、度々入れ替えられています。同指数のインデックスファンドは、「急成長を期待してハイテク企業に投資をしてみたいが、自分では銘柄を絞り込めない」という方に向いています。
また、2000年1月以降の各指数のパフォーマンス推移です。
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米国株のインデックスファンドに投資するメリット
米国株のインデックスファンドに投資するメリットは以下のとおりです。
- 1つの投資信託を買うことで、多くの企業に投資できる
- 投資信託選びが簡単
- 運用コスト(信託報酬率)が低い
1点目は、簡単に分散投資ができる点です。1つのインデックスファンドに投資をすることで、NYダウのインデックスファンドであれば30銘柄、S&P500のインデックスファンドであれば500銘柄に投資したことになります。株式指数には、さまざまな業種の企業が含まれていることも魅力です。ベンチマークが異なるインデックスファンドを合わせて保有することで、分散投資の効果は高まります。
2点目は、投資信託選びが簡単な点です。インデックスファンドには、アクティブファンドと比較すると相対的にファンドマネジャーのスキルやセンスによる運用成績の違いは出にくいです。ベンチマークが同じインデックスファンドであれば、どの運用会社の商品も同じような価格変動をします。「運用が上手な投資信託を探し当てる自信がない」という方にとって、インデックスファンドは無難な選択肢になります。しかし、各運用会社の投資信託のパフォーマンスを確認すると異なるものが存在します。インデックスファンドも、実は奥が深いものなので、ご興味ある方は下記の参考記事も併せてお読みください。
3点目は、信託報酬率(運用コスト)が低い点です。信託報酬は、投資信託の純資産から年間を通して引かれるコストです。インデックスファンドが支持される理由として、長期資産形成を念頭に考えると、コストは重要な要素なので、そこをポイントする方が多くいます。
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米国株のインデックスファンドに投資するデメリット
米国株のインデックスファンドのデメリットは、市場平均を上回るような高いリターンは期待できないことです。インデックスファンドは、ベンチマークとの連動を目指して運用されているため、運用成績はあくまでも市場平均的なものとなります。個別株投資で狙うような、市場平均を大きく超えるリターンを希望する方にとって、インデックスファンドは不向きといえます。
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米国株のインデックスファンドの選び方
米国株のインデックスファンドを選ぶ際には、下記の手順で選ぶと良いでしょう。
- 投資する株式指数を決める
- その指数をベンチマークにしている投資信託を探す
- 同タイプのインデックスファンドを手数料、運用期間、純資産の観点で絞り込む
まず、投資する株式指数を決めましょう。次に、その株式指数をベンチマークにしている投資信託を探してみます。すると、同じ指数をベンチマークにしているインデックスファンドが多数見つかることがわかります。たとえば、ある証券会社でS&P500をベンチマークにしている投資信託を探したら、同タイプのインデックスファンドが複数見つかった、ということがあります。
同タイプのインデックスファンドが複数見つかった場合は、手数料、信託期間、純資産が主な選択のポイントになります。手数料は買付手数料(買う時)、信託報酬(保有時)、信託財産留保額(売却時)の3種類をチェックします。ベンチマークが同じなら、手数料が安い投資信託を選ぶのが合理的です。また、信託期間も重要です。長期投資を望む方は「無期限」のタイプを選びましょう。最後に見落としがちなのが「純資産」です。純資産は、投資信託の運用資産残高のことです。規模が大きい投資信託ほど投資家の支持を得ているといえます。純資産が、極端に小さい投資信託は、早期償還になり運用が終了してしまう可能性があります。長期投資を希望する方は、そのような商品は避けるのが賢明です。
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まとめ
米国株投資は、資産形成の王道の1つです。しかし、投資初心者にとって、外国株に投資することは「難しそう」というイメージがあると思います。外貨建て資産への投資のため為替リスクがありますが、インデックスファンドであれば、1つの商品で多くの米国株に分散投資ができるので、個別銘柄に投資をするよりは、リスクを抑えることができます。米国株投資の始めの一歩には、インデックスファンドを検討してみてはいかがでしょうか?
【当ページで使用した指数について】
NYダウ:ダウ・ジョーンズ工業株価平均
ダウ・ジョーンズ工業株価平均とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している株価指数で、米国を代表する優良30銘柄で構成されています。
S&P500:S&P500株価指数
S&P500株価指数とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している株価指数で、米国の代表的な株価指数の1つです。市場規模、流動性、業種等を勘案して選ばれたニューヨーク証券取引所等に上場および登録されている500銘柄を時価総額で加重平均し指数化したものです。
NASDAQ100:NASDAQ100指数
NASDAQ100指数とは、米国のナスダック市場に上場している金融を除く銘柄のうち、流動性が高く時価総額の大きい約100社の株式で構成されています。同指数に対する著作権およびその他知的財産権はすべてNasdaq,Inc.に帰属します。
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