「ポンジ・スキーム」は、多くの投資詐欺で用いられる手法で、約100年ほど前にアメリカに実在した詐欺師チャールズ・ポンジの名から取られたものです。古典的な手法であるものの、投資に関する知識を十分に持たない人は騙されやすく、侮ってはいけません。
ポンジ・スキームに騙されないようにするためには、典型的な手口を知っておくことや、甘い勧誘に対する警戒を怠らないことが大切です。
本記事ではポンジ・スキームについて、投資初心者が注意すべきポイントや見抜き方などを解説します。
ポンジ・スキームとは?
「ポンジ・スキーム」とは、運用するなどと称して出資者から集めたお金を、そのまま別の出資者へ横流しする仕組みです。投資詐欺の代表的手法として知られています。
ポンジ・スキームの仕組み
ポンジ・スキームの仕組みは単純で、出資者から集めたお金を別の出資者へ「配当」などと称して横流しするというものです。
ポンジ・スキームの首謀者は「プロが運用する。1年間で●回配当を行う。年▲%程度の利回りが期待できる」などと言って、多数の出資者からお金を集めます。
しかし首謀者が集めた資金が、約束どおりに運用されることはおそらくありません。ある出資者から集めたお金は、別の出資者に「配当」などと称して支払われることがほとんどです。
ポンジ・スキームは継続が困難な仕組み
「配当」を受け取った出資者からは、運用がうまくいっているために配当を得られたように見えます。しかし、実際に運用は行われておらず、他の出資者からお金が回ってきただけです。
このようなポンジ・スキームの仕組みが、永遠に続くことはまずありません。新たな出資者が入ってこなくなれば、「配当」に充てるためのお金がなくなります。そうなればポンジ・スキームは破綻し、出資した元本はほぼ返ってきません。
特に、破綻が近くなった段階でポンジ・スキームに参加した出資者は、ほとんど配当を受け取ることができずに大きな損失を被ってしまいます。
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ポンジ・スキームの見抜き方|よくある特徴を解説
ポンジ・スキームに引っかからないようにするためには、そのよくある特徴を把握しておくことが効果的です。
たとえば次のような特徴が見られる場合は、ポンジ・スキームの可能性が高いと思われるので、安易にお金を出すべきではありません。
- 運営者や勧誘者が金融庁の登録を受けていない
- 高利回りや元本保証など、甘い文句で勧誘してくる
- SNSで投資を勧誘してくる
運営者や勧誘者が金融庁の登録を受けていない
出資者からお金を集めて運用する仕組みは「集団投資スキーム」と呼ばれています。
集団投資スキームにおいて、顧客の資産を預かって運用する事業者は、原則として金融庁に申請して「投資運用業」の登録を受ける必要があります。金融庁は、組織や財務などについて厳しい審査が行ったうえで登録の可否を判断します。
また、集団投資スキームへの投資(持分の取得)を勧誘するためには「第二種金融商品取引業」の登録を受ける必要があります。第二種金融商品取引業についても、登録時に金融庁の厳しい審査が行われます。
ポンジ・スキームも、法律上は集団投資スキームに当たるため、運用を行う者は投資運用業、勧誘を行う者は第二種金融商品取引業の登録を受けなければなりません。
しかし、ポンジ・スキームの運営者や勧誘者は、これらの登録を受けていないケースが大半です。無登録で集団投資スキームの運用や勧誘を行うことは、金融商品取引法違反に当たります。
登録を受けている金融商品取引業者は、金融庁のウェブサイトに掲載されています。「金融商品取引業者」のPDFおよびExcelファイルを参照してください。*1
掲載されていない業者から投資の勧誘を受けた場合や、運営者が掲載されていない場合には、ポンジ・スキームの可能性が高いので、注意しましょう。
高利回りや元本保証など、甘い文句で勧誘してくる
ポンジ・スキームは、主に投資に関する知識がない人をターゲットとしています。
十分な知識を持たない人は、甘い勧誘文句に騙されやすい傾向にあります。たとえば、高すぎる利回りや元本保証などを謳った勧誘は、ポンジ・スキームの主宰者の常套手段です。
一般論として、投資にはリスクが伴います。元本保証で高い利回りを得られるなどといった、甘い話はあり得ません。このような甘い文句で投資を勧誘されたら、ポンジ・スキームの可能性がきわめて高いと考えましょう。
SNSで投資を勧誘してくる
最近では、主に投資初心者の若者などをターゲットとして、ポンジ・スキームの勧誘がSNS上で盛んに行われています。
SNSを通じた投資の勧誘は、金融庁の登録を受けていない無登録業者によって行われている場合があります。無登録業者による投資の勧誘は、それ自体が違法行為です。
そもそも、本当に高い利回りを期待できる投資商品があったとして、その勧誘がSNSで行われることはまずありません。
もしそんな投資商品があるなら、情報を知っている身内だけで投資すればよく、見ず知らずに他人にSNSで広めることは不合理だからです。
SNSで「今だけ」「ここだけの話」「あなただけ」などと投資を勧誘されたら、ポンジ・スキームなどの詐欺である可能性が極めて高いので十分ご注意ください。
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ポンジ・スキームに騙されないようにするには?
ポンジ・スキームに騙されないためには、そのよくある手口や特徴を知っておくことが大切です。
また、「すぐに儲けたい」という気持ちを持たないようにすると、ポンジ・スキームに騙されにくくなります。投資は短期間のうちに利益を上げるものではなく、長期的に取り組むものだという心構えをしておきましょう。
さらに、投資は必ず信頼できる金融機関を通じて行うことをお勧めします。銀行や証券会社など、多くの人に知られている金融機関が取り扱う商品なら、詐欺的なものである可能性は低いと考えられます。
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もしポンジ・スキームに騙されてしまったら?
ポンジ・スキームに騙されてお金を振り込んでしまったら、すぐに振込先の口座がある金融機関(銀行など)へ連絡してください。詐欺グループの口座を凍結してもらえます。
もし凍結時に残高があれば、振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金を受け取れる可能性があります。*2
ただし実際には、被害金を回収するのはかなり難しいと思われます。詐欺グループがすでにお金を使い込んでいるケースや、海外に逃亡するケースなどが多いためです。
お金を失っている被害者に対し、「回収してあげます」などと言ってすり寄ってくる業者にも注意する必要があります。
弁護士または弁護士法人でない限り、詐欺による被害金の回収を取り扱うことは違法(弁護士法違反)です。
また、弁護士であっても被害金の回収は難しいのが実情です。中には、着手金を受け取った後に全く事件処理を進めないなど、悪質な弁護士も存在することがしばしば報道されています。
ポンジ・スキームの被害金は回収が難しいことを念頭に置きつつ、さらなる二次被害に遭わないように十分ご注意ください。
*1 参考)金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」
*2 参考)預金保険機構「振り込め詐欺にあったら」
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。










