レバレッジETFとは?メリットとデメリットを交えて特徴を解説

レバレッジETFとは?メリットとデメリットを交えて特徴を解説

レバレッジETFは、TOPIXや日経平均株価などの一般的な指数よりも大きな幅で基準価格が変動するように設計されたETFです。レバレッジETFはリスクが高いため、商品性をよく理解して投資をしないと思わぬ損失が生じることがあります。この記事では、メリット、デメリットを交えてレバレッジETFの商品性・特徴を解説します。
そもそもETFとは何?という方は、下記の記事をご覧ください。
ETFと投資信託は何が違う?それぞれの特徴を知って賢く資産運用しよう

レバレッジETFとはどんな商品?

レバレッジとは、「てこ」の原理のことです。投資の世界では、相場変動に対して数倍の損益が発生する取引のことを「てこ」の原理に例えて、レバレッジ取引といいます。
レバレッジETFは、対象指数と比較して、2倍または3倍程度の幅で価格が変動します。例えば、対象指標が1日で2%上昇すれば、レバレッジETFは4%上昇し、逆に2%下落すれば、4%下落します。この変動の激しさがメリットにもデメリットにもなり得ます。

レバレッジETFのメリットとは?

レバレッジETFのメリットは、効率よく資産を増やせる可能性があることです。例えば、対象指数に対して2倍の変動率が設定されたETFの場合は、対象指数が2日以上連続で上昇すると、対象指数とレバレッジETFの値上がり幅の差は、2倍を超えます。複利の原理が働くからです。

具体例として、対象指数とレバレッジETFの価格の推移を比較します。当初の価格を100として、2日連続で上昇したとします。
1日目に対象指数が10%上昇するとレバレッジETFの価格は20%上昇するので、対象指数とレバレッジETFの価格は以下の通りになります。

  • 対象指数:110
  • レバレッジETF:120

さらに2日目も対象指数が10%上昇すると、レバレッジETFは20%上昇し、価格は以下の通りになります。

  • 対象指数:110×1.1=121
  • レバレッジETF:120×1.2=144

図1 2日連続で上昇した場合の比較

※上記はイメージです。税金・手数料等を考慮しておりません。

スタート時点の100を起点に考えると、対象指数の値上がり幅は21ですが、レバレッジETFの値上がり幅は44です。値上がり幅が2倍を超えているのは、複利の原理が働いているからです。このように上昇傾向が続き相場環境の場合には、レバレッジETFを上手く利用すると、短期間で高い運用成果をあげられる可能性があります。

レバレッジETFのデメリットとは?

  • 下落時の損失額は対象指数よりも大きい
  • 下落後の回復が対象指数より遅くなることがある

下落時の損失額は対象指数よりも大きい

ここでは対象指数が2日連続で下落した場合の比較をしてみます。前項と同じく、対象指数とレバレッジETFの価格を当初100とします。

1日目に対象指数が10%下落するとレバレッジETFの価格は20%下落するので、対象指数とレバレッジETFの価格は以下の通りになります。

  • 対象指数:90
  • レバレッジETF:80

さらに2日目も対象指数が10%下落すると、レバレッジETFは20%下落するので、価格は以下の通りになります。

  • 対象指数:90×0.9=81
  • レバレッジETF:80×0.8=64

図2 2日連続で下落した場合の比較

※上記はイメージです。税金・手数料等を考慮しておりません。

スタート時点の100を起点に考えると、対象指数の値下がり幅は19ですが、レバレッジETFの値下がり幅は36です。値下がり幅は、2倍にはなっていません。このケースでは1日経過後の元本はレバレッジETFの方が小さくなっているので、2日目の下落幅は対象指数の2倍にはならないということです。

<2日目の下落幅を比較>

  • 対象指数の下落幅:90×10%=9
  • レバレッジETFの下落幅:80×20%=16

上記の通り、下落幅においてもレバレッジETFは、対象指数を大きく下回っていることがわかります。

下落後の回復が対象指数より遅くなることがある

レバレッジETFの最大のデメリットは、一旦価格が下落すると、対象指数よりも価格の回復が遅れてしまうことがある点です。
下記のグラフは、対象指標が1日目に20%下落し、2日目に25%上昇したケースを表しています。レバレッジETFは、1日目に40%下落してしまったので、2日目に50%上昇しても、当初の価格には戻っていません。このように、相場下落の回復が対象指数よりも遅れる場合があります。

図3 下落した後に上昇した場合の比較

※上記はイメージです。税金・手数料等を考慮しておりません。

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レバレッジETFにはどのような種類がある?

レバレッジETFは、主に日本の市場に上場しているものと、米国の市場に上場しているものに分けられます

日本の市場に上場しているレバレッジETFは、TOPIXや日経平均株価を対象指標にしているものが多くなっています。JPX日経400や中国株の指数を対象にしているものもあります。

米国市場には多くの種類のレバレッジETFが上場しています。指数に対する変動率は、2倍のタイプだけでなく3倍のタイプも多く見受けます。対象とするインデックスはS&P500などのシンプルなものにとどまらず、さまざまな指数を対象にしたレバレッジETFがあります。
例えば、金融株、エネルギー関連株、ヘルスケア株、半導体株指数、ロボティクス株といった業種別の指数を対象にしたレバレッジETFを使えば、個別銘柄を選ぶのが苦手な方でも業界を絞った投資をすることができます。*1

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レバレッジETFはどんな人に向いている?

価格変動が激しいレバレッジETFですが、どのような方に向いているのでしょうか。

第1にあげられるのは、高いリスクを許容することが可能で、かつ短期的な利益を追求する方です。一般的に投資というよりは投機色が強いのが、レバレッジという手法です。例えば、拠出する金額を少額に抑える代わりに、できるだけ高いリスクをとりたいと考える方とっては1つの選択肢になるでしょう。

第2にレバレッジ取引には興味があるものの、信用取引やFXのような証拠金以上の損失が発生する可能性がある取引は避けたい、という方にもレバレッジETFは向いています。
レバレッジETFの現物取引では、投資金額を超える損失が発生することはありません

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レバレッジETFが向いていない人とは?

知識や経験が浅い投資初心者の方にはレバレッジETFは向きません。想定外の損失が発生した時に、冷静な判断ができない可能性があるからです。例えば2008年の後半に起きたリーマンショックの時には、日経平均株価は半年間で40%以上も下落しました。この時、同指数を対象にしたレバレッジETFに投資をしていたら、相当な損失が発生したことになります。このような過去の暴落を知らない方がレバレッジETFに投資をすると、相場の急落時に冷静な判断ができなくなってしまう可能性があります。
 また加えて、長期投資を前提としている方です。長期投資をする場合、図3のように短期的には相場は上昇したり下落したりを繰り返すことになります。図3で見たように、下落した際の下落幅が大きいため、長期でみると減価していく傾向にあります。

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レバレッジETFで避けた方が良い投資方法とは?

下記のような方法でレバレッジETFに投資するのは避けた方が良いです。

避けた方が良い投資方法①:使い道が確定した資金で投資をする

余剰資金ではなく、使い道がある資金でレバレッジETF買うことは危険です。
例えば、日経平均株価は2020年1月初旬には23,000円以上の価格をつけていましたが、同年3月の後半には17,000円を割れる水準まで下落しました。この期間で、同指数を対象とするレバレッジETFの価格は、およそ半値まで下落しています。もし子供の大学費用をレバレッジETFで投資していたら、入学金や授業料が払えないという事態になっていた可能性があります。

避けた方が良い投資方法②:ルールを決めずに投資する

レバレッジETFは価格変動が大きいため、相場が予想外の方向に動いてしまった時に大きな損失が発生する可能性があります。「何度かに分けて投資する」「利益確定および損切りラインを決める」などのルール作りが大切です。

避けた方が良い投資方法③:信用取引でレバレッジETFを買う

信用取引とは、証券会社に資金や株式等を預けることで、担保評価額以上の取引ができる取引手法です。信用取引はレバレッジ取引の代表的存在となっています。
信用取引でレバレッジETFに投資すると、価格が下落した時の損失額は想定を上回る可能性があります。例えば、レバレッジETFに信用取引で1.5倍のレバレッジをかけて投資をした場合の下落率は、対象指数の3倍になることがあります。

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レバレッジETFを検討するのであれば、自分自身の投資ニーズを把握した上で、リスク管理を徹底することが重要

レバレッジETFは、相場の上昇局面では高いリターンを期待できる商品です。しかし、価格変動リスクが高い分、大きな損失が発生する可能性があることも事実です。運用会社が発行する目論見書をよく読み、余剰資金の範囲で投資を検討することが大切です。

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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