学校でお金の勉強が始まる前に! ゲームを使って親子でお金の勉強をしてみよう

学校でお金の勉強が始まる前に! ゲームを使って親子でお金の勉強をしてみよう

資産形成の方法には預貯金、投資、保険などさまざまなものがありますが、金融機関の窓口等で説明を受けてもよくわからないと感じる人は少なくないようです。学校の勉強のように、もっと若い頃からお金の勉強をしておけば良かったと思う人も多いかも知れません。
実は2020年度以降、子ども達が学校でお金の勉強を始めることをご存じでしょうか。教科書の内容について、子どもから質問されても答えられるように、親もお金の勉強をしっかりしておきたいものです。
でも難しく考えなくても大丈夫。親子で一緒に遊びながら、お金の使い方や投資感覚を自然に身につけられるよう、ゲームを活用して一緒に学ぶというアイデアはいかがでしょうか

生きる力を育むために子ども達が学ぶお金のこと

文部科学省が策定している学習指導要領が改訂され、2020年度から学校教育で「生きる力」を育むための学習内容へと、教育の充実が図られます。小・中・高の段階ごとに新たな学習内容と開始時期は異なりますが、次期学習指導要領には生きていくために欠かせない「お金の教育」も含まれています*1

お金に関して子ども達がどんなことを学ぶのか、次期学習指導要領*2を一部覗いてみましょう。

小学校

小学校ではお金の大切さや使い方を中心とした学びです。たとえば、家庭科の授業で「買い物の仕組み」や「物や金銭の大切さ、計画的な使い方について理解すること」といった内容や、売買契約の基礎について学ぶことが学習指導要領に含まれることとなりました。

中学校

中学校では契約の重要性に加え、金融や経済活動などについての学びが加わります。たとえば、社会科(公民分野)の授業では「金融などの仕組みや働き」、「個人や企業の経済活動における役割と責任」といった内容が含まれます。技術・家庭科(家庭分野)の授業では「購入方法や支払い方法の特徴、計画的な金銭管理の必要性」などが含まれます。

高校

高校では財政・金融・経済についての学びが深まります。たとえば、公民科の授業では「財政及び租税の役割、市場経済の機能と限界、金融の働き」といった内容や「金融を通した経済活動の活性化」など。また、家庭科の授業では「消費行動における意思決定や契約の重要性、消費者保護の仕組み」、「生涯を見通した生活における経済の管理や計画」などを学びます。

意義のあるお金の使い方を知り、生涯を通したライフプランを立てて、投資などで資産を運用していく。それが、企業活動の活発化や経済循環にも繋がるというようなことを、今のパパ・ママ世代は社会に出て初めて覚えたという人もいるのではないでしょうか。こういったことをこれからの子ども達は学習していくようですね。

目次へ戻る

親のお金行動を見直してみよう

小学校で学ぶお金の大切さや計画的なお金の使い方を知ることは、日々の家計運営をしていく上で最も基本的で大切なことです。しかしながら、計画的なお金の使い方ができているかと自分自身に問い直してみれば首をかしげる人もいるかもしれません。

学校でお金の教育を受けたとしても、本来子どもは親の行動を見て知識・教養を育むもの。家庭でのパパ・ママの経済行動が学んだことと違っていれば、学校での勉強に矛盾を感じてしまうかもしれません。せっかく学ぶのですからパパ・ママ自身が意義のあるお金の使い方を説明したり、金融知識を共有してあげたいですね。

とりわけ高校で学ぶ「生涯を見通した生活における経済の管理や計画」は、ライフプランや資産形成、支出管理といった生きていく上で欠かせないお金の教養です

生きる力を育むことは、厳しい時代に生きていくことが予想される子ども達にとってとても大切です。
たとえば、投資のリスクを恐れて充分な資産形成ができずにただ不安になるだけの人もいるかもしれません。そんなパパ・ママの様子を見た子どもに指摘されないように、親自身がまずお金の使い方、管理の仕方を見直してみましょう

目次へ戻る

親子でお金のゲームをしてみよう

子どもが学校でお金の勉強を始める際、学んだことを実生活で知覚できると理解も高まるでしょう。そのためにも、親子で早いうちからお金について学ぶ時間を取るようにしたいものです。とはいえ、どんな教科でも楽しみながら勉強する方が身につきやすいことは、多くの方が経験されているのではないでしょうか。
そこで、親子で一緒にゲームで遊びながら金銭感覚を身につける方法を取ってみてはいかがでしょうか。

たとえば、モノポリーというゲーム。これは世界中の老若男女に楽しまれているゲームのひとつで、1934年にアメリカで量産されたのが始まりです。ゲームとして100年以上の歴史がありますが、その原型は1903年に作成されたとされており、ゲームとして発売される前までは経済学・経営学の教材であったとも言われています*3

スゴロクのようにサイコロを振って出た目の数だけコマを進めていきますが、早くゴールするのが目的ではなく、ざっくり言うと誰が一番お金持ちになるかを競うゲームです。コマが止まったところでその土地を買う権利を取得して、地主になれば他の競技者が自分の土地に止まったときに家賃収入を得られます。土地を買い占めるほど家やホテルをどんどん建設することができ、建築物が多い土地ではより高い家賃収入を得られます。

しかしながら、そこで欲が出ると多額の建築費用を支出することになります。手持ち資金が足りずに所有物件を抵当に入れて借金をしてしまったり、場合によっては破産の可能性もあり、ハラハラ、ドキドキしながら楽しめるのも100年続く所以かもしれません。

振ったサイコロの出た目によって土地を購入できるかどうかが決まるため、チャンスに恵まれるかどうかといった要素もありますが、購入の意思決定をするのは自分自身。現実社会の中でも意義あるお金の使い方をすることや、投資の意思決定をするためには資産状況や収支を把握することが大切ですから、遊びながらこうした金銭感覚を身につけられれば役立つことが多そうですね。何よりも、所有資産の増減によってハラハラ、ドキドキしてしまう心理の動きも体得できそうなのが面白いのかもしれません。たかがゲーム、されどゲームです。

目次へ戻る

親が子どもに教えてあげたいリスク管理

低金利が続く現在のような経済環境の中でお金に困らず長い人生を過ごすためには、子どもと一緒にお金のゲームで遊ぶだけでなく、投資に興味をもち実際にチャレンジしてみることも大切でしょう。

資産の増減も、ゲームだからこそ楽しめるものです。現実的に生きる力をつけるためには一喜一憂することなく、冷静にお金を運用していくことが大切です。あくまで自分のリスク許容度を正しく知り、その範囲内で投資をしていくことを心がけましょう。

リスク管理をするためには、2つの方法があります。1つ目は少額から始めること。今回紹介したゲームでは土地や建物などの不動産に投資するため投資額は巨大ですが、投資には元本割れのリスクがありますから、実際には余裕資金で行うことが大切です。特に投資経験がまだ浅いうちは「仮に投じたお金がなくなっても仕方ない」と思える範囲で始めてみるのがおすすめです。

2つ目は、リスクが低めに抑えられた金融商品を利用することです。投資信託を例にとっても、一般にリスクが低いとされる債券運用を中心にした商品から始めてみるなど、慎重さを心がけましょう。

このような心の動きは学校の教科書の中からは感じ取ることができないかもしれません。学校で学んだ知識を子どもが現実社会で応用するときになって、損失などで困らないようリスク管理を教えてあげられるのはやっぱりパパ・ママだけかもしれません。自分自身の体験をとおして得た大切な投資心理やリスク管理の大切さを自分の口で子どもに伝えてあげられるようになれるといいですね。

*1 
出所)政府広報オンライン「2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!」

*2 
出所)文部科学省「文部科学省における消費者教育の取組について」

*3 
出所)長崎大学学術研究成果リポジトリ「経営意思決定の技法: MONOPOLYの可能性」

(Photo:三菱UFJ国際投信-stock.adobe.com)

関連記事

人気ランキング