ポイント
情報提供資料2026年8月03日
日米は年内利上げ含みの政策金利据え置き
週後半にかけてAI・半導体株へ買戻しの動き
先週の株式市場は神経質な展開でした。AI・半導体銘柄への売りが加速し、韓国KOSPI指数や日経平均は大きく下落も、週後半にかけて反発。米S&P500は長期化する中東の武力衝突、FOMCを受けた長期金利高の逆風の一方で、マイクロソフトやアマゾンの好決算がAI設備投資を巡る投資家の警戒感を和らげ相場を押し上げました。
日米金融政策会合は予想通り据え置き維持
7月FOMCは9対3で金利据え置きを決定しました。しかし、ウォーシュFRB議長が足元の実質金利高を市場による自律的な金融引き締めと示唆した点や、物価目標達成に向けた具体的な道筋を示さなかった点が、利上げ可能性に疑問符をつける形に。インフレ・金利高長期化を懸念し長期金利は上昇して反応、利上げの有無を経済指標から見極める不透明な展開が継続する見込みです。
また、日銀は7月政策会合にて8対1で金利据え置きを決定。植田総裁はインフレ率が物価目標を超えて上振れるリスクを指摘し、利上げに前向きな姿勢を示しました。
協調介入後の円相場と米雇用指標に注目
30日夜以降、日米当局の協調為替介入と見られる動きからドル円は163円台から157円台まで急落。3日の片山財務相による円安是正取り組みの説明を、為替市場は注視する展開となるでしょう。また、米国は7日に7月雇用統計が公表され、労働市場の安定継続が焦点です。(牧)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
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金融市場の動向
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日本 日米協調介入で円が急伸、一方で日銀は政策金利据え置きを決定
不意を突いた円買い介入で円高進行
先週の国内株は値動きの激しい展開でした。AI銘柄からの資金移動や中国勢との競争激化懸念から売り圧力が高まり、世界的な半導体株安が加速。日経平均株価は29日にかけ61,000円台まで下落するも、週末には31日引け後に決算発表予定のキオクシアHDが急騰するなど、AI半導体関連が買い戻され、大幅高となりました。
他方、為替市場では米ドル円相場が30日夜から急落し先週は158円まで円高が進行しました(図2)。日本当局は30・31日と2日連続で円買い介入を実施、片山財務相は米政府との協調介入(31日)も認めました。円安是正に向けた日米連携は一定期間円相場をサポートするとみられますが、日米実質金利差拡大など、構造的な円安要因に変わりはなく、介入効果は長くは続かないとみます。
7月日銀会合は現状維持も1名が利上げ提案
日銀は7月30-31日の金融政策会合で、政策金利を1.0%に据え置くことを賛成8・反対1(反対は高田委員)で決定しました。展望レポートでは、AI投資拡大や原油の代替調達進展などを受け、成長率見通しを上方修正した一方、物価見通しは、政府によるエネルギー負担軽減策の効果などに伴い、2026年度を下方修正しました(図2)。
市場では「骨太ショック」で金利上昇・円安進行が加速して以降、根強いインフレへの警戒感から市場が見込む政策金利の最終到達点は2%を超え一段と上昇(図3)、日銀の追加利上げ前倒し期待が高まっています。足元、原油高や円安定着によるインフレ率押し上げ圧力は限定的ではあるものの、輸入物価など川上の物価は既に急上昇。企業の価格転嫁が進展する下、今秋以降は政策によるインフレ抑制効果のはく落が予想され、物価上昇が本格化する見通しです。市場内で10月会合の利上げ確率が急上昇するなか、次回展望レポートが公表される同月が政策判断の重要なタイミングになるとみます。
これまで以上に物価上振れリスクを意識
会合後の植田総裁の記者会見では、「基調的な物価上昇率が2%に近づいており、これまで以上に物価上振れリスクを意識」と言及。また、先行きの利上げペースに関しては「中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含め、経済・物価の見通しが実現する確度を見極めていく」とし、前回からAI・為替のリスク要因が追加されるなど利上げ継続に前向きな姿勢を示しました。
AI市場や為替動向次第では、9月会合も含め利上げ前倒しの可能性を意識する必要がありそうです。(大畑)
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米国 激動の1週間を終えて、今週は堅調な雇用指標が市場を落ち着かせるか
半導体が相場を揺らす中、好決算が下支え
先週のS&P500は上昇。中国企業の露光装置量産や韓国半導体企業の利益予想未達が半導体株式の下落を加速(図1)させたことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)の据え置き維持を受けた長期金利高、中東の武力衝突の長期化が重しに。ただし、足元進行中の決算結果は良好(利益が市場予想を上回った企業の割合が7月末時点で86%)であり、好業績企業中心に株価は堅調に推移しました。
先週のメガテック決算は、AI設備投資を受けた手元資金の減少が嫌気されメタ・プラットフォームズは下落も、好決算を公表したマイクロソフトやアマゾンは上昇。ハイパースケーラー間での優勝劣敗が進みつつあります。今週は、AI銘柄のパランティアやアドバンスド・マイクロ・デバイシズが決算を公表予定です。
FOMCは金利据え置き、視界不良は継続
7月FOMCでは、5会合連続での政策金利(3.50-3.75%)据え置きを9対3の賛成多数で決定。タカ派地区連銀を中心に利上げ票が複数入ったことや、会合後の記者会見でウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、2%の物価目標達成への意思を示し利上げの選択肢を排除しなかった点はタカ派的でした。しかし、同議長が前会合以降の名目・実質両金利の上昇自体が実質的に金融環境を引き締めた可能性について示唆した点や、目標達成に向けた具体的なガイダンスを示さなかった点が市場の物価高継続懸念を強める結果に。政策金利の影響を受けやすい短期金利が下落する一方で、インフレ対策が後手に回るリスクが意識され長期金利は上昇しました(図2)。
本会合での利上げを3割程度織り込んでいた市場は、足元9月会合でも同様に7割弱程度の利上げを織り込んでおり、不透明感の強い政策環境が継続する見込みです。
底堅い景気を追い風に、雇用も堅調続くか
先週公表の2026年4-6月期実質GDPは前期比年率+1.5%と前期比減速も堅調な水準(図3)。AIブームを受けた関連資本財の輸入が純輸出を下押ししたものの、税還付や好調な金融市場の追い風を受けた個人消費や、設備投資が堅調な点は変わらず、景気は底堅いと言えます。
今週は雇用指標公表週です。4日に6月雇用動態調査(JOLTS)、7日に7月雇用統計が公表されます。先月までの雇用指標は、好調な企業景況感や労働参加率の低迷を背景に安定。週次指標も極端な悪化を示さない中、今週公表の指標でも堅調さが確認できる見込みです。(牧)
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欧州 ユーロ圏では成長上振れ・インフレ加速、BOEは政策金利据え置き
底堅い景気と根強いインフレ圧力を確認
30日に公表されたユーロ圏の4-6月期実質GDP(速報値)は前期比+0.4%と1-3月期の横ばいから持ち直し、市場予想(同+0.2%)を上回る成長となりました(図1)。変動の大きいアイルランドを除くベースでは同+0.3%と1-3月期からほぼ変わらず、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格上昇や貿易摩擦への懸念が高まる中でも、潜在成長率並みの底堅い成長を維持したことが示されました。需要項目別内訳は確報値を待つ必要があるものの、各国統計局の公表内容などを踏まえると、政府支出やAI関連を含む設備投資、輸出の底堅さが景気を下支えした模様です。
主要国別では、ドイツ、フランス、イタリアがいずれも前期比+0.2%と緩やかな成長を維持したほか、スペインは同+0.7%と高い伸びを続け、ユーロ圏経済をけん引しました。域内の国別のばらつきはなお大きいものの、主要国を中心に回復基調が維持されたことで、ユーロ圏経済の底堅さを改めて確認する結果となりました。
他方、31日に公表されたユーロ圏の7月消費者物価(速報値)は前年比+2.9%と、市場予想通りに前月から小幅に加速(図2)。中東情勢の再緊迫化を背景とした原油価格上昇の影響が反映されたとみられます。また、コア物価(除くエネルギー・食品・アルコール・タバコ)も同+2.5%と前月から小幅に加速し、基調的な物価圧力もなお根強く、欧州中央銀行(ECB)の物価目標を引き続き上回りました。
域内景気の底堅さに加え、インフレ圧力の根強さが改めて確認されたことは、ECBの9月利上げ観測を後押しする材料といえます。もっとも、中東情勢やエネルギー価格動向を巡る不透明感は依然として大きく、今後も物価と景気の双方への影響を見極める展開が続きそうです。
BOEは政策金利を据え置き
英国中央銀行(BOE)は30日、政策金利の据え置きを6対3の賛成多数で決定し、前回から利上げ支持者が1名増加。声明では、中東情勢を背景としたエネルギー価格上昇によるインフレ再加速リスクを指摘する一方、賃金・サービス価格を中心とした基調インフレ圧力には緩和の兆しがみられるとの認識を維持しました。また、四半期金融政策報告では市場が想定する2026年末頃までの4.0%への利上げを前提とすると、約2年先のインフレ率は1.8%に低下すると予想(図3)。現時点で市場が見込む追加利上げにはなお不確実性が残る内容といえます。BOEはエネルギー価格や二次的影響を慎重に見極める姿勢を示しており、当面は政策金利を高水準で据え置く可能性が高いとみられます。(吉永)
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メキシコ 第2四半期のGDP成長率は急反発。政策金利は当面据え置きへ
景気は反発も、USMCA不透明感が投資の重し
2026年1-3月期のメキシコ景気は、麻薬カルテルに対する治安作戦に伴う混乱などもあり、経済活動は一時停滞しましたが、7月30日公表の4-6月期実質GDP成長率(速報)は、前期比年率(季節調整済)+6.2%(1-3月期▲2.4%)へ反発しました(図1)。産業部門別では、第一次産業は、降雨量回復など天候条件の改善などにより同+13.9%(同▲6.6%)へ反発。第二次産業も同+6.6%(同▲4.0%)へ反発しており、建設活動の回復などが要因とみられます。また、サッカーW杯共催による消費の押し上げなどにより、第三次産業も同+6.0%(同▲1.5%)へ反発しました。
外需も堅調です。7月27日公表の6月貿易収支(季節調整済)は、+38億米ドル(5月+10億米ドル)と黒字幅を拡大しました(図2)。輸入が前年比+28.0%(同+24.0%)と拡大した一方、輸出も同+34.3%(同+25.4%)と好調でした。米国のデータセンター関連需要の高まりを受け、産業用機械・設備の輸出額増加が続いています。
もっとも持続的な景気回復には、低迷が続く投資の回復が不可欠です。不透明要因となっている米国・メキシコ(墨)・カナダの自由貿易協定(USMCA)見直し協議は、期日の7月1日までに合意に至らず不確実性が高まっています。7月21-23日に米墨で第3回二国間協議を行うも、具体的な合意には至らず。共同声明で、9月に第4回協議を開催することを発表しました。一方、米国は一部カナダ製品に50%の追加関税を発表するなど、米加の交渉は進んでいません。米通商代表部(USTR)のグリア代表は米上院公聴会にて、原産地規則や労働環境といった重要課題に関して「来年、米議会との協議も含めて時間をかけて議論したい」と発言するなど、交渉は長期化する見込み。当面、米国はそれぞれ二国間での暫定合意を目指すとみられます。メキシコは、引き続き対米市場で優遇措置を享受しているものの、USMCAの先行き不透明感が払拭されない限り、本格的な投資回復は見込みにくいでしょう。今年通年のGDP成長率は+1.1%前後(昨年+0.5%)へ加速も、潜在成長率を下回る水準に留まる見込みです。
メキシコ中銀は当面政策金利据え置きへ
今週8月6日の金融政策決定会合では、政策金利は6.50%に据え置かれる見込みです。2024年以降の利下げサイクルを経て、実質政策金利は中銀が推計する実質中立金利の中央値(2.7%)付近に到達。インフレ率は総合・コアともに中銀目標の3%を上回るものの、国内需要の低迷やペソ高などにより鈍化基調が続いています。メキシコ中銀は、当面政策金利を据え置き、インフレ鈍化の進展を見極めるものとみられます。(簑輪)
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主要経済指標と政治スケジュール
※塗りつぶし部分は今週、(*)は未定
注)(日)日本、(米)米国、(欧)ユーロ圏・EU、(独)ドイツ、(仏)フランス、(伊)イタリア、 (英)英国、(豪)オーストラリア、(加)カナダ、(中)中国、(印)インド、(伯)ブラジル、(露)ロシア、(他)その他、を指します。NAはデータなし。日程および内容は変更される可能性があります。
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