円安が進む中、今週は日米の金融政策会合が焦点に

円安が進む中、今週は日米の金融政策会合が焦点に

情報提供資料2026年7月27日

歯止めがかからない円相場の下落

先週は株安・長期金利上昇・米ドル高が進展

先週はS&P500が下落し日経平均と独DAX®は上昇、日米の長期金利は上昇、為替市場では米ドルが独歩高。中東情勢が緊迫化する中でWTI原油先物は一時1バレル93ドル台と約1カ月半ぶりの水準へ上昇しました。原油高に伴う物価上昇の懸念等から市場は主要国の利上げを意識。金利先物が織り込む米国の9月利上げ確率は100%超(前週90%)、日本の10月利上げ確率は80%(同71%)へ上昇しました。国債利回りの上昇幅は、米国が2年>10年(ベアフラット)の一方、日本が2年<10年(ベアスティープ)。日銀の利上げが遅れインフレが加速し、最終的に大幅な利上げを強いられるとの懸念はぬぐえないようです。ドル円相場は先週23日に一時163.99円と、1986年以来の水準へ円安が進行。片山財務相は24日に、必要があれば「断固たる措置を果断に」取るとドル売り介入の可能性を示唆しました。

今週は日米の金融政策が焦点

今週は日米の金融政策会合が焦点。両国とも金利据え置きが予想され、近い将来の利上げを示唆する発言があるかが注目されます。28-29日の米FOMC後の会見では、ウォーシュFRB議長は政策の先行き指針を示さない見込みであり、物価抑制の必要性を強調するかが焦点。地区連銀総裁による利上げ支持票の数も注目されます。30-31日の日銀政策会合では、タカ派の審議委員が連続利上げを提案するのか、展望レポートにおける景気物価見通しが変更されるのかが焦点です。経済指標では、米国が30日に4₋6月期実質GDPと6月のPCEデフレーター、日本が31日に7月の東京都区部消費者物価を公表します。(入村)

今週の主要経済指標と政治スケジュール

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金融市場の動向

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日本 円は1ドル164円に迫る円安に、日銀は利上げペースを早められるか

国内株は乱高下、円は約40年ぶりの安値に

先週の国内株は値動きの荒い神経質な展開でした。中東情勢が一層緊迫化するなか、24日は米アルファベット決算を受けAI投資の持続性に懐疑的な見方が広がった他、米国が日本に対し12.5%の新たな関税率を発動したことも嫌気され、日経平均株価は大幅安となりました。

他方、21日には高市内閣が骨太方針を閣議決定。金融政策については「政策の具体的な手法については日銀に委ねられる」と、日銀の独立性を尊重する形に改められた一方、「財政健全化」の文言は復活せず、総じて経済成長に重きを置く内容となったため、長期金利上昇圧力は残りそうです。また、為替市場では、中東情勢悪化懸念や米金利上昇で米ドル高が進み、米ドルは164円目前まで上昇(図1)。円安進行を食い止めるには、今週の日銀会合で利上げペース加速機運が高まるかが焦点です。

原油輸入量は回復するも、貿易赤字は拡大

22日公表の6月貿易統計は、輸出が前年比+19.3%と10カ月連続で増加するなど堅調です。円安進行や企業の価格転嫁の進展、旺盛なAI需要に伴う半導体輸出の増加などが押し上げに寄与しました。輸入も同+25.4%となり、6月の名目輸入額は過去最高を記録。原油輸入量が米国などからの代替調達進展により回復するなか(図2)、輸入量全体も持ち直しており、輸入物価上昇の下、貿易赤字は4,069億円と2023年4月以来の水準に拡大しています。

ホルムズ海峡が再封鎖されるなかでも、原油や石油製品の輸入量には持ち直しの動きがみられ、製造業の生産活動における深刻な供給制約懸念は後退しています。ただし、足元は紅海の封鎖リスクもくすぶり、予断を許さない状況です。供給正常化には依然として距離があり、日本の貿易活動を阻害するリスクは根強く残ります。

7月日銀会合は金利据え置きの見込み

今週30-31日の日銀金融政策会合では、6月会合での利上げによる家計や企業への影響を見極めるため、政策金利据え置きの見込みです。また、同時公表の展望レポートでは、AI投資拡大や原油の代替調達進展などを受け成長率見通しは上方修正される可能性が高いとみます。

最大の焦点は、植田総裁の記者会見や展望レポートを通じて、利上げ時期前倒しを意識させるシグナルが示されるかどうかです。原油高による消費者物価押し上げ効果は未だ限定的ですが(図3)、円安進行や夏場以降の価格転嫁進展に対する警戒感が高まるなか、日銀の物価上振れリスクへの評価が注目されます。(大畑)

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米国 不安定な株式市場と、不透明な金融政策。7月FOMCはタカ派継続か

金利高と巨額設備投資懸念が相場を下押し

先週のS&P500は小幅下落。中東情勢の緊迫化から金利が上昇。さらにアルファベットやテスラ決算でのフリー・キャッシュフロー(手元資金)の赤字公表を受けAI巨額設備投資への懸念が再燃、相場を押し下げました。

今週も29日にメタ・プラットフォームズとマイクロソフト、30日にアップルとアマゾン・ドットコムが決算公表予定。アルファベットは好決算にもかかわらず、資本支出拡大が嫌気され株価が下落したことから、市場のメガテック決算に対する期待は依然高く、銘柄固有のリスクが高まっている様子です(図1)。他方、米国がイラン攻撃を一時停止、イラン側も報復攻撃停止の意向が報道されたことで地政学リスクの鎮静化の行方にも注目です。

企業景況感は好調も特殊要因も寄与か

先週公表の7月購買担当者景気指数(PMI)は、製造業が53.8(前月:53.9)、サービス業が53.6(同:51.2)といずれも好況・不況の境目となる50を上回って推移。業況改善受け雇用は拡大圏へ反発したほか、サービス業の価格上昇を受けて仕入価格・販売価格指数は上昇しました(図2) 。

ただし、製造業は生産や受注は減速。今週公表の耐久財受注からその背景(AIブーム鎮静化など)を確認する形となるでしょう。また、サービス業のインフレおよび業況・雇用改善はW杯や建国250周年イベント等の特殊要因も支えたと考えられ、来月以降の動向に注目です。

7月FOMCはタカ派姿勢を維持する見込み

28-29日開催の7月米連邦公開市場委員会(FOMC)は、6月主要物価・雇用指標が市場予想を下回って減速したことから、金利据え置きで様子見を続けるとの見方が大勢です。ただし、一部は利上げを予想。ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の行動パターンが未だ不透明な中で、一部FRB高官のタカ派(金融引き締めに積極的)姿勢が市場に利上げへの疑心暗鬼を生んでいます(図3) 。

足元期待インフレ率が横ばいな点や米国の攻撃停止報道は好材料も、物価指標が目標を上回り続ける中では、引き締めバイアスの維持は必至。そのため、利上げ支持票の有無とその票数に注目です。他方、同議長のフォワード・ガイダンスを示さないコミュニケーション姿勢や、今月中旬の議会証言で見せた「単月のデータで一喜一憂しない」との発言から、直後の会合となる本会合では新規性のある政策発言の望みは薄いでしょう。限られた情報から物価と雇用への解釈と利上げ可能性を探る不透明な展開が継続する見込みです。(牧)

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欧州 景況感は改善、中銀は様子見姿勢維持もインフレ警戒を緩めず

ECBは政策金利を据え置くも、インフレ上振れリスクへの警戒なお強く

欧州中央銀行(ECB)は23日、政策金利を据え置いたものの、一部参加者が利上げを検討していたことが明らかとなるなど、ややタカ派寄りの結果となりました。ECBは6月利上げの影響を見極めるため様子見姿勢を選択した一方、追加引き締めの可能性は維持しています。声明では中東情勢を背景とするエネルギー価格上昇への警戒を改めて確認。ラガルド総裁も6月時点の穏健シナリオの実現可能性が低下したとの認識を示し、市場の9月追加利上げ観測を後押ししました。市場の関心は9月利上げの有無から、その後の利上げ継続の是非へ移りつつあります。

ユーロ圏の7月総合PMIは大きく改善

24日に公表されたユーロ圏の7月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)は51.9と、市場予想(同50.3)を大きく上回り、4カ月ぶりに景気拡大を示しました。サービス業PMIは3カ月続いた活動縮小圏から拡大圏へ回復。製造業PMIも改善し、生産指数は2022年3月以来の高水準を記録しました。これまで域内景気の重石となってきた製造業の回復が続く中、サービス業も持ち直し、景気回復の広がりが確認されました。加えて、新規受注指数も改善し(図1)、2023年4月以来の高い伸びとなりました。受注環境の好転を受け、雇用指数も今年初めて中立水準を上回り、企業を取り巻く環境の改善が鮮明となっています。また、価格指数は未だ高水準ながらも小幅に低下(図2)。インフレ圧力は根強くも、コスト転嫁圧力はやや和らぎ、ECBに追加利上げを急がせる内容ではありませんでした。もっとも、中東情勢やエネルギー価格上昇、物流混乱など地政学的リスクは依然大きく、今後も景気回復の持続性と物価動向を慎重に見極める必要があります。

BOEは様子見姿勢を維持へ

22日に公表された英国の6月消費者物価は、前年比+2.6%と市場予想を小幅に上回るも、5月値から一段と鈍化(図3)。イングランド銀行(英国中銀、BOE)の4月見通しを明確に下回り、先立って公表された賃金指標も鈍化基調が続くなど、国内発のインフレ圧力には落ち着きがみられています。もっとも、中東情勢の再緊迫化を背景に、エネルギー価格を通じたインフレ再加速リスクは依然として残ります。今週開催予定の7月金融政策委員会(MPC)では、政策金利の据え置きが見込まれ、BOEは当面様子見姿勢を維持する公算です。あわせて公表される最新の経済見通しや、今後の政策金利軌道に関する示唆が注目されます。 (吉永)

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インドネシア 利上げを休止しつつ資本流入促進策を強化

市場の予想に反して利上げを休止

自国通貨ルピアの下落に悩み5₋6月に累計1%ptの利上げを行ったインドネシア銀行(BI)。その後ルピア相場が落ち着いたことなどを受けて7月会合では金利を据え置きました。先週22日、BIは政策金利を5.75%に維持(図1)。Bloomberg集計では金融機関37社中20社が6%への利上げ、残り17社が金利据え置きを予想しており、決定は市場予想よりややハト派的なものでした。

ルピアの対米ドル相場は6月8日に一時18,209ルピアと史上最安値を更新した後、翌9日の緊急利上げを経てひとまず反発。今会合初日21日の終値は17,888ルピアでした(図2)。BIは資本流入促進策を強化。海外証券投資家に対して、(a)為替スワップ優遇金利(従来市中金利-10%→-12.5%)、(b)国内為替先物(DNDF)優遇金利(市中金利-15%)を適用し、(c)貿易取引に伴う為替スワップとDNDFにも優遇金利を適用するとしました。BIは中銀手形(SRBI)の金利を政策金利より高い水準に引き上げて資本流入を促進(図1)。投資主体は主に海外のヘッジファンドや内外の金融機関であり、そのほとんどが為替ヘッジを行っている模様です。今回の為替スワップ/DNDF金利の引き下げは、為替ヘッジ後の利回りの引き上げるためのもの。ペリーBI総裁は会合後の記者会見で今回の措置でヘッジ後利回りは0.25%pt程度上昇すると説明、利上げやSRBI金利の引き上げと同等の効果があることを示唆しました。

当面金利を維持し追加利上げ要否を検討か

海外投資家によるSRBI保有額は7月20日時点で289兆ルピアと6月15日時点の238兆ルピアより増加し、発行残高の27%に相当。もっともそのほとんどは為替ヘッジ付投資であり、ルピアの直物相場を押し上げる効果はありません。資本流入は外貨準備の総額を押し上げており、BIによる直物ドル売り介入に伴う減少分の一部をカバーしている模様です。6月の総合消費者物価は前年比+3.3%(5月+3.1%)、コア物価は同+2.8%(同+2.6%)へ上昇しつつ(図3)、物価目標(+1.5~3.5%)の範囲内。BIはマクロ健全性規制を緩和して銀行による企業向け貸出を促しつつ、銀行による国債やSRBIへの投資を抑制する構えです。

BIの声明は、米国の政策金利は当初予想より早く今年10₋12月期に引き上げられるだろうと予測。ペリーBI総裁は会見で、対米金利差が縮小し資本流入が細るようであれば利上げも検討すると発言しました。BIは今後も金利を据え置きつつ、国際金融市場とルピア相場の動向を注視する見込み。もし、ルピアが再び近隣諸国通貨を上回る速度で下落し始めた場合、追加利上げを行って相場を支えることをためらわないと予想されます。(入村)

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主要経済指標と政治スケジュール

※塗りつぶし部分は今週、(*)は未定

注)(日)日本、(米)米国、(欧)ユーロ圏・EU、(独)ドイツ、(仏)フランス、(伊)イタリア、 (英)英国、(豪)オーストラリア、(加)カナダ、(中)中国、(印)インド、(伯)ブラジル、(露)ロシア、(他)その他、を指します。NAはデータなし。日程および内容は変更される可能性があります。

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