AI・半導体関連が急落、日経平均株価は調整局面に

AI・半導体関連が急落、日経平均株価は調整局面に

情報提供資料2026年7月21日

キオクシアHDは年初来高値から半値に

AI相場失速で日経平均株価は大幅下落

先週の株式市場はAI・半導体関連が軟調。特に、日本や韓国市場の下落が大きく、日経平均株価は最高値から10%超下落となりました。中東問題再燃に加え、AI相場持続性への懸念から、キオクシアHDなどこれまで急騰していた銘柄は大幅調整を強いられています(上図)。

米国の物価指標はインフレ沈静化を示唆

米国では6月の消費者・生産者物価ともに上昇率が市場予想を大幅に下回りインフレ圧力の緩和が示唆されました。ただし、ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は14日の定例議会証言で、インフレ抑制の姿勢を改めて示しており、米利上げ観測は依然くすぶります。

AI半導体関連銘柄の再評価機運は高まるか

今週は日米で企業決算が本格化。好決算が続けば足元大きく下げたAI関連株は反発の余地もあるとみます。巨額のAI投資に見合う利益を確実に生み出せるのかという市場の不安を払拭できるかが焦点です。また22‐23日ECB理事会では政策金利据え置きの見込みです。(大畑)

今週の主要経済指標と政治スケジュール

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金融市場の動向

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日本 AI相場失速で日経平均株価は65,000円を割り込む

AI半導体関連銘柄の再評価機運は高まるか

先週の国内株は大幅下落。AI関連投資の収益性を巡る不安でハイテク株が急落、日経平均株価は65,000円を下回りました。米・イランの対立が再び激化し原油価格が上昇するなど、地政学リスク再燃も重しとなりました。

台湾の半導体大手TSMCが好決算を発表し世界的なAI需要の堅調さが確認されるも、AI・半導体株の買い戻し機運は高まらず、キオクシアHDなどこれまで急騰していた銘柄は大幅調整(図1)。今週以降の企業決算ではAI相場の持続性への懸念を払拭できるかが焦点です。

政府はGPIF・NISA活用で国債需給改善を図る

債券・為替市場では、片山財務相の「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など年金基金による日本の金融資産投資を後押し」との発言以降、金利低下の動きが見られます。上野厚労相も「今後必要があればポートフォリオを見直す」と言及するなど、政府は為替介入以外に打つ手がないなか、巨額の年金基金資金を活用し金利上昇抑制を図ろうとしています(図2)。一部ではGPIFの国内債運用比率見直しに懐疑的な見方もありますが、金利高や株高が進み、これまでとは金融環境が変化する下、資産配分変更の思惑も広がっています。ただし、期待先行の面もあり、財政拡張懸念や日銀の利上げが遅れるとの警戒感も根強いなか、市場が実効性を疑問視すれば、金利上昇再加速のリスクもあり要注意です。

また政府は、個人向け国債をNISA(少額投資非課税制度)の対象に加える方向で検討している模様です。家計の預金が国債投資に向かえば、金利上昇抑制につながる可能性があるものの、国債需給改善だけでは不十分で財政健全化姿勢が示されなければ、いずれ長期金利は上昇するとの見方もあり、先行きは不透明な状況です。

設備投資の拡大基調は継続する見込み

5月機械受注は、設備投資の先行指標である船舶・電力除く民需が前月比▲12.4%と2カ月ぶりに減少し、市場予想も下回りました(図3)。ただし、日銀短観6月調査では旺盛な設備投資計画が示されており、これまでの増加基調が転換点を迎えたとの判断は時期尚早とみます。人手不足対応の省人化投資や、AIインフラ投資需要に支えられ、設備投資の増加基調は継続するとみられます。

今週は24日に6月の全国消費者物価が公表されます。コア(生鮮除く総合)はエネルギー価格の上昇を背景に前月から伸びが加速する見通しで、日銀の追加利上げ観測を後押しする材料となりそうです。(大畑)

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米国 物価指標下落・好決算も、地政学リスクと半導体安が相場の重しに

市場はメガテック決算に身構え

先週のS&P500は下落。物価指標が市場予想を下回ったことで利上げ織り込みが後退し市場のリスク選好を下支えしたほか、主要金融機関やヘルスケア企業が好決算を公表し、週前半は業績主導でのセクターローテーションが進む結果となりました。しかし、韓国株式市場の下落を受けた半導体株の連れ安や、地政学リスクの再燃と資源高を受けて、週末にかけて指数は下落しました(図1) 。

今週は、22日にアルファベットやテスラ等大手メガテック企業の決算が公表予定です。TSMCは堅調な決算を公表したにもかかわらず、設備投資加速が嫌気され株価は冴えなかったことから、市場の資本支出への警戒は根強いとみられ、本決算で予想を上回る利益を見せた場合でも、設備投資動向が株価を左右する見込みです。

物価落ち着きで政策金利は様子見継続か

先週公表の6月消費者物価(CPI)、生産者物価(PPI)は市場予想を下回り鈍化(図2)。消費者物価は原油高のコア財への波及が限定的な中で、原油安がエネルギー項目を下押したほか、トランプ関税効果のはく落や、住宅・中古車価格の下落が下方寄与しました。さらに川上側の物価動向を示す生産者物価もエネルギー項目を中心に減速し、物価上昇圧力は一定程度緩和の動きを見せる形に。ただし、中間財(電子部品)項目は高水準で横ばいとなっており、AIブームによる供給ひっ迫の影響は根強い他、地政学リスク再燃による資源高には警戒が必要です。

弱い結果を受けて市場は7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置きをほぼ織り込み、金利低下・ドル安で反応。ただし、ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は単月の結果をもってインフレ収束との判断はできないとして、改めて物価目標達成への姿勢を表明しており、トレンド的にインフレが目標値へ収束しているか、数カ月かけ確認する展開となる見込みです。

トランプ関税は新段階へ、火種くすぶる

今週は7月購買担当者景気指数(PMI)の速報値が公表予定です。先週公表のベージュブック(地区連銀経済報告)では12地区中11地区が経済活動の拡大を報告。AIブームなどを背景に製造業やサービス、交通、建設業が拡大をけん引しており、PMIも好調な結果が期待されます。

さらに、24日にはトランプ関税のつなぎ関税の期限が到来(図3)。代替となる通商法301条に基づく関税の水準および対象国は未確定であり、米中首脳会談を9月に控える中で、改めてその内容に注目が集まります。(牧)

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欧州 ユーロ圏の生産活動は回復途上、英国では新政権発足へ

ユーロ圏の生産回復はなお脆弱

15日に公表されたユーロ圏の5月鉱工業生産は、前月比▲0.2%と市場予想(同+0.2%)を下回り、4カ月ぶりに減少しました(図1)。もっとも、アイルランドが同▲5.2%と全体を大きく押し下げており、同国を除くユーロ圏20カ国ベースでは同+0.3%と回復基調を維持しています。中間財生産は弱含んだ一方、資本財生産は底堅く推移し、ドイツを中心としたインフラ投資・防衛支出の拡大に加え、官民双方によるAI関連投資などを背景に、設備投資需要は一定程度維持されていることがうかがわれます。

ユーロ圏の生産活動は最悪期を脱しつつあるとみられるも、停滞感はなお強く、本格的な回復局面には至っていない模様です。加えて足元では、中東情勢を巡る米国・イラン間の対立再燃を受け、エネルギー価格の上昇や物流混乱が生産活動の重しとなるリスクも意識されます。当面は回復基調を維持しつつも、その勢いは限られ、生産活動にはなお脆弱さが残る展開が続きそうです。

英国経済は底堅さ維持も、景況感は低調

16日に公表された英国の5月月次実質GDPは、前月比+0.1%と小幅ながらプラス成長に転じ、英国経済の底堅さを改めて示しました。基調的な動きを示す3カ月ベースでは、3-5月の実質GDPは3カ月前比+0.7%と6期連続のプラス成長を記録(図2)。サービス部門が引き続き成長をけん引したほか、生産部門や建設部門も小幅ながら拡大基調を保ち、景気の裾野にも改善の兆しがみられます。

一方、先行き不安はくすぶります。英国の6月総合購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続で中立水準とされる「50」を下回り、6月消費者信頼感は低迷し、企業・家計ともに慎重姿勢が続いています(図3)。加えて、足元では中東情勢を巡る緊張が再度高まり、エネルギーコストの再上昇が企業収益や家計購買力を圧迫するリスクも意識され、先行きには不安定さが残る状況が続く見込みです。

バーナム新政権発足へ、財政運営に注目

また、英国ではバーナム氏が労働党党首に選出され、20日に首相へ就任しました。財務相には、防衛支出の拡大を支持しつつも財政運営では現実路線を重視するヒーリー氏を起用。バーナム首相は財政規律の順守を改めて表明も、ルール内での柔軟な運用にも言及し、市場では財政悪化懸念が再び意識されています。21日以降に生計費対策が公表される見通しで、2026年秋季財政報告に向けては、成長重視の政策運営と財政規律の両立が試される展開が続きそうです。(吉永)

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中国 AI投資ブームで加速する輸出と低迷する内需、経済の二極化が鮮明に

予想以上に鈍化した4-6月期のGDP成長率

中国景気が軟調です。先週15日公表の4-6月期の実質GDPは前年比+4.3%(1-3月期+5.0%)とコロナ感染期以来の水準へ低下(図1)。政府支出の前倒しから年初に加速した景気は、同支出の息切れとともに失速しました。生産側では情報通信などが堅調な一方、建設や不動産が落ち込み卸売・小売も鈍化。国内投資や家計消費など内需が低迷した影響です。6月の月次統計では、好調な外需と軟調な内需という経済の二極化が鮮明に。AI投資ブームなどが輸出を押し上げた一方、住宅不況が深刻化し家計消費が低迷(図2-3)、政府支出の鈍化も景気を下押ししました。

今後も好調な輸出と軟調な不動産投資と家計消費という構図が続く見込み。4-6月期に低迷したインフラ投資は今年末に向けて回復するものの、景気回復の勢いは鈍いでしょう。世界的なAIデータセンター投資ブームが続く中で、半導体、高機能コンピューター、サーバー用マザーボード、光学モジュールなどの需要が急増。今後同製品の生産と輸出が高い伸びを続けるとみられます。中東紛争を経て、足元ではEVやリチウムイオン電池の需要が拡大しており、太陽光パネルや風力タービン等再生可能エネルギー関連の需要も根強い模様。加えて、多国籍企業が生産拠点の地域的な分散化を図る中で工業用ロボットの生産と輸出も拡大を続けるでしょう。

今年通年のGDP成長率は+4.6%前後の見込み

家計消費は今後も勢いを欠く見込み。軟調な雇用環境と消費者信頼感、住宅価格の低迷による逆資産効果などが重しです。AI機能付きスマートフォン等新製品の需要はあれど、耐久財全般の消費は低迷する見込み。今後は耐久財買替支援補助金の地方政府への交付が進むものの、総額の規模は昨年より縮小しており、これまでの支援による需要先食いの反動も強まるとみられます。

不動産投資は落ち込み続ける見込み。住宅取得要件の緩和などから沿海部の大都市の住宅販売が回復しているものの、内陸部の過剰住宅在庫の解消には時間がかかります。製造業投資は過剰設備部門や建設関連部門が低迷する一方、政府の高度化支援対象分野や輸出が好調な電子部門が拡大する見込み。インフラ投資は7月より年末にかけて緩やかに回復するとみられます。第15次5カ年計画の主要開発計画は「六つのネットワーク」など多くのインフラ計画を含んでおり、初年度の今年は北京政府の支援の下で多くの投資が実行されるでしょう。4-6月期に鈍化した景気は財政支援策に支えられて10-12月期にかけて緩やかに回復する見込み。今年通年のGDP成長率は+4.6%前後(昨年+5.0%)へ鈍化すると予想されます。(入村)

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主要経済指標と政治スケジュール

※塗りつぶし部分は今週、(*)は未定

注)(日)日本、(米)米国、(欧)ユーロ圏・EU、(独)ドイツ、(仏)フランス、(伊)イタリア、 (英)英国、(豪)オーストラリア、(加)カナダ、(中)中国、(印)インド、(伯)ブラジル、(露)ロシア、(他)その他、を指します。NAはデータなし。日程および内容は変更される可能性があります。

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