堅調な利益増が期待される2026年第2四半期の決算発表を控え米株はじり高に

堅調な利益増が期待される2026年第2四半期の決算発表を控え米株はじり高に

情報提供資料2026年7月6日

堅調な利益の伸びを見込む米国株

利回り上昇下でも、株価は概ね堅調推移

米・イラン間での戦闘終結に向けた暫定合意の下、中東情勢は小康状態を保ち、原油価格も1バレル70ドルを割り込み68ドル台での推移が続いています。原油高によるインフレ懸念が後退する一方、6月30日発表の5月米求人数が予想を超える増加となり、雇用の強さを示したことから米国債利回りは大きく上昇。しかし米国株は良好な収益への期待などに支えられ、利回りの上昇に抗し主要な株価指数は堅調に推移、NYダウは連日最高値を更新。7月に入ると、6月に11%を超える強めの上昇となった半導体株が利益確定の売りなどから下げが続き、その影響で日経平均は2日に2.5%弱の大幅下落に。ただ、この間もNYダウは循環物色などに支えられ好地合いを維持、S&P500などが伸び悩む中、2日には再び最高値を更新。

米金利の先高期待などからドル買いが優勢となる中、ドル円は6月30日に約40年ぶりとなる162円台となり、その後も同水準で推移。しかし2日には、6月米雇用統計が予想を大きく下回る雇用増を示したことで米利上げ予想が後退、ドル円は160円台まで円高が進みました。

好決算への期待で米株は上値追いの展開か

目立った経済指標の発表を欠く今週は、市場の関心は7月中旬から本格化する、今年第2四半期の米企業決算に向かう見込みです。中東情勢が混迷化し原油が急騰、景気の先行き不透明感が増した当期にあっても、米企業では依然堅調な利益増が見込まれています(上図)。足下、金利上振れへの懸念が和らぐ中、米国株は好決算期待に支えられしっかりとした展開が期待されます。(渡部)

今週の主要経済指標と政治スケジュール

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金融市場の動向

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日本 AI需要拡大を追い風に国内企業の景況感は改善

AI一極集中に一巡感、急速な円安にも警戒

先週の国内株は相場の主役交代を探る展開でした。これまで上昇をけん引してきたAI半導体関連が急落し日経平均株価は一時大幅安となるも、物色対象が金融や自動車、内需株に広がりTOPIXは底堅く推移しました。

他方、為替市場では円安進行が加速しています(図1)。米利上げ観測の高まりからドルが買われやすい地合いのなか、日本の財政拡張懸念や日銀のビハインド・ザ・カーブ懸念が円売りを加速させ、円は対ドルで一時約40年ぶりの安値圏、1米ドル162円台に乗せました。また、30日に明らかとなった2026年骨太方針の原案では、官民投資の強化など高市政権の積極財政路線が色濃く打ち出された他、日銀の利上げけん制姿勢も示されるなど、日本主導での円高への転換はハードルが高そうです。

5月鉱工業生産はイラン情勢の影響が和らぐ

5月の鉱工業生産は前月比+0.5%と2カ月連続で増加。石油・石炭製品などホルムズ海峡封鎖の影響で生産が落ち込んでいた業種が持ち直した他、輸送機械(自動車除く)が同+4.6%と堅調(図2)。防衛費増額の下、航空機関連の大型受注増が影響している可能性もあります。

製造工業予測調査をみると7月にかけ堅調さを維持。供給制約の緩和や世界的なAIブームによる半導体製品の生産が引き続き製造業の好調さを下支える見込みです。

企業マインド好転で日銀利上げ路線を支持

7月1日公表の日銀短観6月調査は、大企業の業況判断DIのうち製造業の現状判断が+22と3月調査の+17から大幅に改善、悪化が見込まれていた市場予想も上回りました。非製造業も1ポイント改善の+37と1991年8月以来の水準となるなど企業の景況感は明確に好転しています(図3)。米国とイランの戦争終結期待や、原油価格の低下、株高、AI関連の投資拡大、企業の価格転嫁の進展、ナフサの代替調達の進展などが追い風とみられます。

また、2026年度の設備投資計画は3月調査の前年比+3.3%から同+11.5%に大幅上方修正され、旺盛な投資意欲が示されました。他方、企業の物価見通しは1・3・5年後いずれも0.1%ポイントずつ上昇し、中長期のインフレ予想はじりじりと高まっています。企業の景況感改善や堅調な設備投資計画、インフレ予想上振れは総じて日銀の利上げ継続路線をサポートする材料と言えそうです。今週は9日に日銀が地域経済報告を公表予定。原油高に伴う企業の価格転嫁の積極化や、それに伴う物価上振れリスクを意識した記載があるかなどに注目です。(大畑)

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米国 雇用統計受け過度な利上げ警戒が後退も、依然政策不透明感は強い

高値圏で推移も大幅調整への警戒感薄れず

先週のS&P500は上昇。雇用関連指標を無難に消化する中で資源安の追い風も受けてダウ平均が上昇する一方で、半導体銘柄が利確売りや高値警戒感から下落。市場内はセクターローテーションの様相を呈しています。

足元、S&P500指数は高値圏内のレンジ相場で推移しており、市場変動の予想を示すVIX指数は低水準で推移するなど一定の安心感も(図1)。しかし、市場の暴落リスクへの警戒感を示すSKEW指数は上昇していることから、AI・半導体銘柄の高値調整や中東和平の唐突な後退リスクを意識した先行き警戒姿勢は根強いと考えられます。

雇用指標はまちまち、トレンド見えにくい

先週は様々な雇用指標が公表され、概ねこれまでの「低採用・低解雇」な雇用動態に沿った結果となりました。5月雇用動態調査(JOLTS)は採用が減少、解雇が増加する一方で求人も増加したことで、労働市場の流動性を示す失業者1人あたりの求人数が1を上回って改善。さらに6月雇用統計は雇用者数こそ予想を大きく下回る前月差+5.7万人となったものの、内訳をみると季節性雇用である娯楽・宿泊が伸びなかったことが要因(図2)。製造業や建設業などの堅調な景気を受けた雇用は増加しており、過度に弱いものではありませんでした。他方、失業率は4.2%と下落も、労働参加率の低下(長期失業者の労働意欲低下が一因か)が主要因であり、楽観視は困難です。

市場は利上げ織り込みを小幅に後退、雇用者数の弱さを受けてドル安・金利安・株高で反応しています。

新設の作業部会人事とFOMC議事録に注目

先週の欧州中銀主催の年次フォーラムでウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、インフレリスクは直近数週間で緩和したと述べた一方で、目標水準である2%に戻す決意を再表明しました。さらに、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で設置を公表した5つの作業部会(タスクフォース)について、今週中に主要人選を公表すると発表。既に報道では、[コミュニケーション]部会にてキング元イギリス中央銀行総裁が主導するとの報道があるなど、今週は人選から今後の政策動向を探る展開となるでしょう。その他水曜日には6月FOMC議事録も公開され、年内の利上げ可能性に関する示唆に注目です。

経済指標としてはISMサービス業景気指数が公表予定。高水準で改善が続く景況感の動向および、製造業指数で示された物価上昇圧力の緩和(図3)が同様に示されるのかについて、確認する形となる見込みです。(牧)

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欧州 インフレ再加速に一服感、期待インフレの安定を確認も警戒継続

ユーロ圏の6月インフレ率は低下、エネルギー主導の加速に一服感

1日に公表されたユーロ圏の6月消費者物価(速報値)は前年比+2.8%と、5月の+3.2%から低下しました(図1)。市場予想(同+3.0%)も下回り、3月以降のエネルギー価格高騰で加速していたインフレ圧力の緩和を示す結果となりました。エネルギー価格は同+8.7%と依然として高い伸びを維持したものの、5月(同+10.8%)からは大きく減速。中東情勢を背景とした原油・ガス価格上昇の影響は残るものの、価格上昇ペースは鈍化しています。サービス価格も同+3.2%と前月から低下し、賃金上昇を背景としたサービスインフレにも落ち着きがみられます。より物価基調を反映するコア物価(除くエネルギー・食品・アルコール・タバコ)も同+2.4%と伸び率が鈍化。総じて、インフレ再加速への警戒を和らげる内容だったと評価できます。

家計のインフレ懸念は後退、ECBに安心材料

また、欧州中央銀行(ECB)が公表した5月消費者期待調査(CES)では、家計の1年先の期待インフレ率(中央値)が3.5%と、その後の米・イランの停戦合意期待の高まりに先立って4月の4.0%から大きく低下しました(図2)。3年先は2.9%、5年先は2.4%とそれぞれ横ばいで推移し、中長期のインフレ期待は安定した状況が保たれています。目先のインフレ期待を巡る不確実性は低下し、家計がエネルギー価格上昇による足元の物価押し上げ圧力を一時的と捉えていることがうかがえます。総じて、今回の調査は短期的なインフレ懸念の後退と中長期的な期待インフレ率の安定を示し、ECBにとっては、家計のインフレ期待が大きく上振れしていないことを確認する結果となりました。6月消費者物価の減速とあわせて、インフレ再加速への警戒感を和らげる材料になったと考えられます。

中東情勢と二次的な物価波及にはなお警戒

もっとも、インフレ見通しは依然として楽観し難い状況です。中東情勢を巡っては米国とイランの停戦合意の持続性に不透明感が残るほか、エネルギー価格高騰による二次的なインフレ圧力が今後顕在化する可能性があります。ユーロ圏の4月生産者物価では、中間財価格が上昇する一方、消費財価格への波及はなお限定的(図3)。今週は5月値が公表され、コスト上昇が川下へどの程度転嫁されているかが注目されます。ECBは拙速に警戒姿勢を解かず、追加利上げの選択肢を残したまま、中東情勢に加え、企業の価格設定動向や賃金動向、インフレ期待の安定度合いを慎重に見極める状況が続きそうです。(吉永)

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インド ルピー相場は下げ止まり、当局は物価抑制のため今後利上げか

6月初にルピー相場安定化策を導入

資本流出によるルピー安に悩んだ当局は6月初に相場安定化策を導入。中東の緊張緩和と原油価格の反落にも助けられルピーは下げ止まりました。一方、足元ではエルニーニョ現象による雨不足が深刻化し食品インフレ加速のリスクが拡大。当局は今後の情勢を見極めつつ物価抑制に向けた利上げの要否を慎重に判断するでしょう。

6月5日、インド準備銀行(RBI)は政策金利を5.25%に維持。据え置きは今年2月以降3回連続です(図1)。RBIは併せてルピー相場の安定化策も導入。インドネシア等のような利上げによる通貨防衛は行わず、金融政策は物価や景気を安定化する手段と位置付けている模様です。通貨ルピーは今年初より5月20日にかけて対米ドルで▲7.2%と主要新興国通貨最低の騰落率でした(図2)。経常赤字が縮小する一方、株式市場からの資本流出(図3)や直接投資収支の悪化などに伴ってルピーが低迷。2月末以降は中東紛争に伴う原油高と貿易収支悪化の懸念も加わり相場がいっそう低迷しました。RBIは政策会合に合わせてルピー相場安定化策を導入。(a)外国人のルピー建国債投資への課税免除、(b)公的企業の海外借入や(c)在外インド人による外貨預金への為替スワップ(優遇価格)の提供、(d)外国人が制限なく投資可能な国債の追加、(e)国債投資制限の緩和、(f)在外インド人による株式投資上限の引き上げ、(g)輸出代金の回金期限の短縮などです。6月初から7月2日にかけて海外投資家は同国債券を59億ドル買い越し(図3)。上記(a)(d)(e)の措置も好感されました。

物価抑制のため年末までに利上げの見込み

RBIの政策声明は、中東紛争の影響で景気下振れと物価上振れのリスクが生じており、雨季の雨不足も物価上振れリスクを著しく高めていると指摘しました。RBIは景気見通しを下方修正し物価見通しを上方修正。今年度(~2027年3月)のGDP成長率予想は+6.6%(前回+6.9%)へ引き下げられ、総合消費者物価の上昇率は今年10-12月期に+5.9%(前回+5.2%)と物価目標の上限(+6%)近くまで加速すると、予想の軌道を引き上げました。

声明は、足元で物価上昇リスクが強まっているものの現段階では状況がはっきりするまで待つことが賢明、と金利据え置きの理由を説明。雨季の降雨量や作付けの進展、農作物価格の動向などをにらみつつ、利上げの要否を慎重に判断する構えとみられます。6月初より7月3日までの累積降雨量は平年比▲31%と雨不足が深刻化。食品物価上昇の懸念はぬぐえません。RBIは早ければ次回8月、遅くとも10月より利上げをはじめ12月までに政策金利を5.75%へ引き上げると予想されます。(入村)

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主要経済指標と政治スケジュール

※塗りつぶし部分は今週、(*)は未定

注)(日)日本、(米)米国、(欧)ユーロ圏・EU、(独)ドイツ、(仏)フランス、(伊)イタリア、 (英)英国、(豪)オーストラリア、(加)カナダ、(中)中国、(印)インド、(伯)ブラジル、(露)ロシア、(他)その他、を指します。NAはデータなし。日程および内容は変更される可能性があります。

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