ポイント
情報提供資料2026年6月29日
電子部品価格はかつてない速度で上昇
先週は半導体株主導で株価が下落
先週は日経平均、S&P500、独DAX®が下落し、日米独の10年債利回りは低下、為替市場では米ドルが独歩高とリスク回避型の相場展開でした。フィラデルフィア半導体指数(SOX) は▲ 7.9%、韓国総合株価指数(KOSPI) も▲7.1%下落。市場はAI投資関連銘柄が主導する強気相場の持続性を疑問視しました。半導体メモリーなど電子部品価格が急騰する中で(図)、市場は供給のひっ迫と価格上昇のリスクを懸念。オープンAIがIPO(新規株式公開)延期を検討との26日の報道も市場心理を冷やしました。
WTI原油先物は先週25日に5日ぶりに反発。ホルムズ海峡を通航中の船舶に攻撃との報道に反応しました。その後は米軍がイランの軍事施設を攻撃し、イランもクウェートやバーレーンの軍事施設を攻撃。報復の応酬が続く中、米国とイランが相互の攻撃の停止で合意との28日の報道を受けて、週明け29日のWTI原油先物は1バレル70ドル台(先週末終値69ドル台)で寄り付きました。
今週は中東情勢や米経済指標に注目
今週も中東情勢や米国の経済指標が焦点です。先々週の米FOMC後のウォーシュ新議長の会見はタカ派的と受け止められ、金利先物による今年末のFF金利予想は3.943%と年内1回以上の利上げを織り込み。この市場予想が今後も維持されるのか2日の米雇用統計が注目されます。日本は1日に日銀短観、欧州(ユーロ圏)は1日に消費者物価(6月)を公表予定。1日のECBフォーラム討論会にはラガルドECB総裁に加え、ウォーシュ米FRB議長やベイリー・イングランド銀行総裁なども登壇する予定です。(入村)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
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金融市場の動向
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日本 日経平均株価は高値警戒感から不安定な値動きが続く
日経平均株価は過熱感意識され乱高下
先週の国内株は不安定な値動きでした。短期間での急上昇で高値警戒感が広がるなか、週前半は米半導体大手マイクロン・テクノロジー決算への警戒が重しとなり、ハイテク株中心に軟調。日経平均株価は7万円を下回るも、同社が好決算を発表すると、25日には大幅反発し最高値を更新しました。週末には米OpenAIが新規株式公開を先送りする可能性が報じられソフトバンクGが急落、また、半導体供給不足を受けた米アップル製品の値上げも嫌気され、同指数の前日の上昇は帳消しとなりました。AI・半導体関連株には過熱感も意識されていますが、株価が急上昇するなかでも、PER(株価収益率)からは過度な割高感は感じられません(図1)。足元の株高は、堅調な利益成長を素直に反映したものと言えそうです。
6月PMIは中東懸念緩和で回復基調
6月のPMI(購買担当者景気指数)は製造業が54.9と景気拡大・悪化の分岐点50を6カ月連続で上回りました。設備投資需要などの内需に支えられ新規受注指数も上昇、製造業の景況感は高水準で推移しています。一方、サプライヤー納期は依然として低水準となり、原材料不足など供給制約懸念は払拭しきれておらず(図2)、ホルムズ海峡開放を巡る交渉の行方が注視されます。
サービス業PMIは51.8と中東懸念緩和により50超に回帰するも、新規輸出事業指数が3カ月連続で低下。原油高に伴う燃油サーチャージ引き上げによる訪日外客数の伸び悩みを示唆している可能性も考えられ、インバウンド需要減が景気回復の足かせとなるリスクに要警戒です。
日銀短観6月調査は製造業で小幅悪化か
6月の東京都区部消費者物価は、コア(生鮮除く総合)が前年比+1.6%と前月の同+1.3%から伸びが加速しました。東京都による水道基本料金の時限的な無償化は、5-9月のコア物価押し下げに寄与する一方、同政策は去年6-10月も実施されたため、前年比ベースの押し下げ効果は6月に解消。また、6月からの診療報酬引上げが物価押し上げ要因となりました。一方、原油高による影響はガソリン暫定税率廃止や補助金の効果もあり限定的です。
今週は日銀短観6月調査が公表予定。中東情勢緊迫化の下、大企業の業況判断DIは製造業が低下、非製造業で横ばいが見込まれます。供給制約によりサプライチェーンの川上である素材業種を中心に業況悪化が予想されます。また、原油高の基調物価への影響を見極める上で3・5年後の企業の物価見通しにも注目です(図3)。(大畑)
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米国 株式市場が不透明感を強める中で、雇用統計を無難に通過できるのか
高値警戒感でテーマ選別色強まる株式市場
先週のS&P500は下落。FANG+に代表される大型テック株や半導体株(オープンAIのIPO延期報道が一因)が下落する一方、ダウ工業株平均(中東和平による景気改善期待を受けた出遅れセクター物色が一因)が上昇(図1)。足元、高値警戒感等を受け選別色が強まる中で、「セル・イン・メイ(夏場は相場が下落しやすいため、5月に株を売れ)」との格言を思い起こす相場展開となっています。
不安定ながらも続く中東和平協議と原油価格の下落は市場の追い風となるでしょう。ただし今週公表の雇用統計が堅調な結果となった場合は、金利上昇が市場の冷や水となる可能性も(足元市場は年内1回以上の利上げを織り込む向きが大勢)。当分は資源価格や金利の様子を睨みながら、市場は一進一退で推移する見込みです。
企業の業況・受注指標は堅調さ保つ
先週公表の6月購買担当者景気指数(PMI、速報値)は、製造業が55.7(前月:55.1)、サービス業が51.3(同:50.7)といずれも改善。懸念されていた価格動向についても、高水準ながら中東和平の進展を受けて小幅に低下しており、物価上昇圧力緩和の兆しを見ることができます。その他公表された5月耐久財受注は、コア(航空除く非国防)が前年比+10.5%と堅調。幅広い項目で受注改善の様子が見られ、底堅い経済活動を印象づけました(図2)。
さらに木曜日公表の5月PCEデフレーターは、コア(食品・エネルギー除く総合)が前年比+3.4%と前月から小幅に加速したものの、前月比が横ばいとなったことや、市場予想とほぼ同等だったことが市場の過度な利上げ警戒を和らげる形となり、金利低下につながりました。
今週は雇用統計週で金利変動に注意
今週7月4日に米国の建国250周年記念日を迎える中、木曜日の雇用統計に注目です。過去3カ月、非農業部門雇用者数は前月差15万人を上回る一方で、失業率は横ばいを維持するなどヘッドラインは好調。足元の週次失業保険申請件数をみると、新規件数が上昇するなどやや悪化の様子も水準は健全さを保っており(図3)、今週の雇用統計は低水準ながら過度な悪化は見えにくい見込みです。
6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でウォーシュ新議長が見せたフォワードガイダンス緩和の姿勢を受けて、市場は金融政策の先行きを見る上で経済指標をより重視する形になると見られます。そのため、指標に対する市場の反応の大きさも注目点でしょう。(牧)
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欧州 景況感は改善しインフレ圧力は緩和、追加利上げは限定的に
ユーロ圏の6月総合PMIは依然「50」割れも、需要・雇用環境は改善し、底入れへ
23日に公表されたユーロ圏の6月総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)は49.5と、好不況の分かれ目とされる「50」を3ヵ月連続で割り込んだものの、市場予想(同49.1)を上回る改善を示しました(図1)。4-6月期平均では48.9と、1-3月期平均(51.3)を下回り、公表元は、景気後退を辛うじて回避する程度の底堅さを維持していると評価。域内景気は依然として活動縮小圏にありつつも、底入れに向けた安定化の兆しを示す結果となりました。
製造業PMIは51.3と小幅に低下も、活動拡大を示唆する水準を維持。足元で大きく低下してきたサービス業PMIは48.9となお低水準ながら、旅行・レジャー需要の持ち直しなどを背景に、前月から大きく上昇し、総合PMIの改善を主導しました。また、製造業・サービス業ともに新規受注指数や雇用指数には改善がみられ(図2)、需要環境の悪化には歯止めがかかりつつあります。中東情勢の改善を背景に、不透明感への懸念も和らぎつつあり、先行きについても持ち直し基調の継続が期待されます。実体経済の回復の確度を見極めるうえでは、新規受注やサービス需要の回復の持続性が引き続き注視されます。
インフレ圧力根強くもピークアウトの兆し
インフレ圧力を巡っては、6月の総合PMIにおける価格指数は仕入価格・販売価格ともに前月から低下(図3)。インフレ圧力にはピークアウトの兆しがうかがえるものの、水準は依然高止まり。エネルギー価格高騰を起点としたコストプッシュ圧力は根強く残り、先行きの消費者物価に対する押上げ圧力は引き続き意識される状況です。
こうした中、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は22日の欧州議会証言にて、不透明感の後退を踏まえ、現状は6月見通しで示されたベースラインシナリオとより穏やかなシナリオの中間に位置するとの認識を示しました。また、インフレ期待の不安定化や賃金を通じた二次的影響は現時点で確認されていないとしました。連続的あるいは大幅な利上げは想定していないとみられ、より強力な引き締めには慎重な姿勢がうかがえます。もっとも、複数のECB高官からは追加引き締めの必要性を指摘する発言もみられ、エネルギー価格上昇がもたらす二次的影響への警戒感は維持されています。総じてみれば、ECBは追加利上げの余地を残しつつも、段階的かつ抑制的に政策運営を進めるスタンスにあると考えられます。年内1-2回の追加利上げの可能性は残り、エネルギー価格動向に加え、それが賃金やサービス価格に波及するかといった二次的影響が、政策判断の鍵となりそうです。 (吉永)
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インド 足元で堅調な景気は今後鈍化する見込み
予想外に堅調であった1-3月期の経済
インドの景気は今年1-3月期に予想以上に堅調に拡大。しかし、今後は中東紛争に伴う燃料価格上昇や中間財不足の影響が強まり、景気は鈍化するとみられます。
6月5日、政府は1-3月期の実質GDPが前年比+7.8%(昨年10-12月期+8.0%)拡大したと公表(図1)。昨年度(~2026年3月)の成長率は+7.7%(一昨年度+7.1%)へ加速しました。1-3月期の需要側では、内需(在庫投資を除く)の寄与度が+7.8%pt (10-12月期+7.6%pt)へ上昇。固定資本投資が加速した影響です。民間消費は前年比+7.1%(同+8.2%)へ鈍化しました。物品サービス税(GST)減税に伴って前期に加速した耐久財消費が正常化。政府は3月初以降も燃料小売価格を据え置き、国際燃料価格高騰の影響が家計に及ぶのを防ぎました。政府消費は同+4.9%(同+4.6%)へ加速。年度末の3月にかけて経常歳出の実行が加速しました。固定資本投資は同+10.8%(同+8.2%)へ加速。年度末にかけて中央政府の公共投資が落ち込んだ一方、民間投資が加速しました。外需では、総輸出が同+3.7%(同+5.8%)、総輸入も同+1.9%(同+7.2%)と輸出入とも鈍化。輸入の急減は中東紛争に伴う供給網混乱の影響とみられます。
今年度のGDP成長率は+6.5%前後へ鈍化か
生産側から算出された実質総付加価値(GVA) は同+7.9%( 同+8.0%) とほぼ横ばいでした。農林漁業は同+3.6%(同+1.7%)へ加速(図2)。恵まれた降雨量の下で育った乾季作物が収穫されました。鉱業が同+5.4%(同+4.7%)へ加速した一方、製造業は同+7.3%(同+12.8%)へ鈍化。原油や石油ガス由来の中間材の供給が滞り、化学、繊維、燃料精製等が軟調でした。建設業は同+8.4%(同+6.7%)へ加速。中東紛争に伴う供給混乱から建材などの欠乏や価格の上昇が見込まれる中、建設工事の前倒しが行われた模様です。サービス部門は同+9.9%(同+9.9%)と好調。金融・保険・不動産等が同+10.4%(同+11.6%)へ鈍化したものの、流通・宿泊・運輸・通信が同+12.5%(同+11.2%)、公共サービス等も同+5.8%(同+4.9%)へ加速しました。
4-6月期以降は中東紛争や雨不足の影響が強まる見込み。昨年のGST減税など景気刺激策の影響もはく落し景気は鈍化するでしょう。また、政府は燃料小売価格を5月半ばより引き上げており(図3)、家計の購買力が下押しされる見込み。中東紛争に伴う供給網混乱の影響は4-6月期より強くなり製造業生産を下押しするとみられます。足元ではエルニーニョ現象による雨不足リスクも深刻化。6月初より26日までの累積降雨量は平年比▲42%でした。今年度(~2027年3月)のGDP成長率は+6.5%(昨年度+7.7%)へ鈍化すると予想されます。(入村)
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主要経済指標と政治スケジュール
※塗りつぶし部分は今週、(*)は未定
注)(日)日本、(米)米国、(欧)ユーロ圏・EU、(独)ドイツ、(仏)フランス、(伊)イタリア、 (英)英国、(豪)オーストラリア、(加)カナダ、(中)中国、(印)インド、(伯)ブラジル、(露)ロシア、(他)その他、を指します。NAはデータなし。日程および内容は変更される可能性があります。
出所)各種情報、Bloombergより三菱UFJアセットマネジメント作成
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