教育費はいつ一番かかる?子どもの成長とお金のピークを知ろう

教育費はいつ一番かかる?子どもの成長とお金のピークを知ろう

教育費の負担は、大学進学期に大きくなりやすい傾向があります。特に入学年と自宅外通学の期間に支出が集中し、世帯主が40歳代〜50歳代の世帯では教育関係費が増えます。以下の要点をもとに、早い段階から家計設計を進めることが大切です。

  • 年間支出は大学進学期にピークを迎えるケースが多く、入学時には受験料や納付金がまとまってかかります。
  • 世帯主40歳代〜50歳代の世帯では、教育関係費が他の年代より多い傾向があり、二人以上の世帯で年平均40万〜50万円台に達します。
  • 自宅外通学では授業料に加えて生活費の負担が加わり、家計負担が大きくなります。
  • 積立や学資保険、NISA、修学支援制度の予約採用を組み合わせる方法があります。

教育費のピーク時期の全体像

教育費は累計額だけでなく、支出が集中する時期を押さえる必要があります。

教育費における「ピーク」の意味

教育費のピークとは、総額の大きさではなく、単年度に支出が集中する時期を指します。
文部科学省の令和5年度「子供の学習費調査」の訂正版によると、幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費を単純合計すると、すべて公立で約614万円、すべて私立で約1,969万円となります*1。
これらは長期の累計であり、毎年一定額ずつ支払うわけではありません。

家計を考えるうえでは、入学の年に一時的に膨らむ支出や、大学期の授業料と仕送りが重なる時期など、単年度で見た支出合計の山を把握することが重要になります。総額と単年度の支出集中を分けて捉えることで、備える金額と時期の両方が見えてきます。

世帯主年齢別に見る教育関係費

世帯主の年齢別に教育関係費を見ると、40歳代と50歳代では他の年代に比べて支出が多い傾向があります。
総務省の家計調査によると、二人以上の世帯では、世帯主が40歳代と50歳代の世帯では、授業料や学習参考書、仕送り、塾などの教育関係費が他の年代より多い傾向があります(2025年全国平均)。50歳代の支出額は30歳代の約3.8倍です*2。
子どもの学齢が上がるほど支出が積み上がる時期にあたります。この年代に教育費負担が大きくなる可能性を見込み、逆算して備えを進めることが家計設計の起点となります。

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進学段階別の支出タイミング

教育費の内訳と支援制度は、未就学期から高校までの各段階で変わります。

未就学期と幼児教育無償化

未就学期は幼児教育・保育の無償化により、家計負担が軽減される時期にあたります。
こども家庭庁は、3〜5歳児クラスの幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料を無料とし、子ども・子育て支援制度の対象とならない幼稚園は月額2.57万円までを無償化の範囲としました。
対象期間は原則、満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間で、通園送迎費、食材料費、行事費等は保護者負担として残ります*3。0〜2歳児クラスについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無料となります。
この時期は月々の利用料そのものは軽くなる一方、給食の食材料費や行事費、送迎の費用などが実費として続きます。
制度の対象と対象外を切り分けたうえで、無償化されない部分を月次の家計に組み込んでおくことが有用です。この段階で負担が軽減された分を将来の教育費に回すことで、その後の家計設計に備えやすくなります。

小中学校の学習費と学校外費用

小中学校期は公立と私立で年間の学習費が大きく異なり、学校外費用の比重も高まります。
年間の学習費総額の目安は、令和5年度の文部科学省調査の訂正版によると、公立では幼稚園約18万円、小学校約37万円、中学校約54万円、高等学校の全日制約60万円、私立では幼稚園約35万円、小学校約174万円、中学校約156万円、高等学校約118万円となっています*1。
2020年の総務省家計調査では、全国の勤労者世帯のうち2人以上世帯が1か月に支出する教育関係費の平均は約2万5,000円でした*4。
公立小学校から中学校に上がる際には年間の学習費総額が増え、私立小学校では公立小学校を大きく上回る水準になります。
授業料そのものだけでなく、塾や習い事といった学校外活動費が学年とともに増える時期にあたるため、月次の家計に組み込みつつ、進路選択に応じて中期的な見通しを立てておくことが望まれます。

高校段階の授業料と就学支援金

高校段階では授業料の支援制度が拡充され、家計負担の構造が変わります。
文部科学省は、第221回国会で成立した高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律などに基づき、令和8年4月から受給資格に係る収入要件を撤廃し、支給限度額を引き上げるなどの拡充を行いました。
高校生等奨学給付金についても、令和8年度から、所得割額に基づく対象範囲が、おおむね年収約490万円未満に相当する世帯まで拡充されました。年収額はモデル世帯に基づく目安で、実際の判定や申請方法は都道府県等により異なる場合があります*5。
令和8年度の新制度では、所定の国籍・在留資格等の要件を満たす生徒について、収入要件が撤廃されました。高校生等奨学給付金は、教科書費や教材費など授業料以外の教育費を支える返還不要の給付金です*6。
令和8年度の高等学校等就学支援金の支給限度額は、私立全日制高校が月額38,100円、私立通信制高校が月額28,100円です。12か月換算では、それぞれ年額457,200円、337,200円となります*7。
支援額には上限があり、授業料が上限額を超える場合は差額負担が生じます。また、受給には申請と所定の要件を満たすことが必要です。
年間の学習費総額の目安を見ると、令和5年度調査の訂正版では、公立高校は約60万円、私立高校は約118万円で、私立の負担は公立の2倍前後です*1。
授業料以外の教材費や行事費、通学費は制度で完全にはまかなえないため、私立を選ぶ場合には支援上限額を差し引いても残る負担を家計に織り込む必要があります。

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大学進学期に集中する支出

大学進学時は入学費用と在学中の学費、自宅外通学の生活費が重なります。

入学時の一時的支出

大学入学の年は、受験料と入学金、学校納付金が短期間に重なる特に厳しい局面です。
日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査」によると、入学にかかる子ども1人当たりの費用は、高校が35.0万円、大学が81.1万円でした。大学の内訳では受験費用が30.3万円、学校納付金が40.3万円、入学しなかった学校への納付金が10.5万円です*8。
同調査では、大学の入学費用は私立大学理系が88.8万円、私立大学文系が81.8万円、国公立大学が67.2万円となっています*8。
また、大学昼間部の学費と生活費の合計を国立自宅で約108万円、国立学寮で約130万円、国立下宿等で約168万円、私立自宅で約173万円、私立学寮で約202万円、私立下宿等で約240万円が一つの目安とされています*9。
受験は複数校を併願することが多く、合格発表から入学手続きまでの期間が短いため、進学先や受験日程によっては、まとまった資金を短期間に用意する必要があります。
特に自宅外通学を選ぶ場合、入学と同時に住居契約の初期費用や家具家電の購入も重なるため、入学の年は、準備した資金の取り崩しが大きくなる可能性があります。

授業料と在学中の年間費用

入学後は授業料を中心に、4年間にわたる継続的な支出が続きます。
文部科学省の令和7年度調査によると、私立大学初年度の学生納付金のうち、授業料・入学料・施設設備費の合計は、文科系学部が1,212,235円、理科系学部が1,602,053円、医歯系学部が4,779,143円、全平均が1,380,983円です。実験実習費やその他の納付金を含む初年度学生納付金等の総計は、全平均1,507,647円です。文科系学部は授業料850,392円・入学料219,951円・施設設備費141,892円、理科系学部は授業料1,195,313円・入学料245,362円・施設設備費161,378円、医歯系学部は授業料2,825,359円・入学料1,088,248円・施設設備費865,535円となっています*10。
設置者別に見ると、国立大学は入学料282,000円・年間授業料535,800円が国の標準額で、標準額ベースの4年間合計は2,425,200円です。ただし、国立大学の授業料等は各大学が標準額の120%を上限として個別に設定できます。公立大学と私立大学についても、大学や年度によって実際の納付額は異なります*11。
大学の年間費用は設置者や学部によって異なり、私立の理科系や医歯系では高くなる傾向があります。進学先の候補ごとに授業料や施設設備費を並べ、4年間の合計額を比較しておくことが有用です。

自宅外通学の仕送り負担

自宅外通学では授業料に加えて生活費の仕送りが重なり、家計負担が大きくなりやすいと考えられます。
日本学生支援機構の令和6年度学生生活調査によると、私立大学学部昼間部の学生の年間学生生活費は、居住形態を合わせた平均で2,160,300円です。一方、居住形態別では、自宅1,905,400円、学寮2,495,400円、下宿・アパート等2,689,100円となっており、自宅外通学では居住費などの影響により負担が大きくなる傾向がみられます。*12
居住形態別の割合は私立で自宅66.0%、学寮6.0%、下宿・アパート・その他28.0%です。また、私立の大学学部昼間部の年間収入は、家庭からの支援が1,113,100円、奨学金が468,300円、アルバイト収入が518,100円となっています*12。
家庭からの支援額には仕送り以外の負担も含まれるため、仕送り額そのものと同一ではありません。自宅外通学では家賃や食費などの生活費が上乗せされるため、居住地域や住居形態に応じて必要額を見積もっておくことが望まれます。
授業料と生活費の負担が同時に発生する4年間は、家計への負担が継続しやすい時期となるため、進学前の段階で毎月の可処分所得と貯蓄の取り崩し計画を併せて確認しておくと、負担を把握しやすくなります。

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家計を圧迫する要因と注意点

きょうだいの進学時期や私立・自宅外通学の選択によって、単年度の負担はさらに増えます。

きょうだいの進学時期の重なり

きょうだいの学年差によっては、進学時期が重なると、単年度の支出が大きく増える場合があります。
総務省家計調査における二人以上の世帯の年間教育関係費は、40歳代で451,223円、50歳代で542,372円と他の年代を大きく上回りました*2。
ソニー生命が大学生以下の子どもを持つ20歳以上の男女1,000人に実施した2020年の調査では、教育費の負担を重いと感じる人が合計69.4%でした*4。
学年差が2〜3年の場合、進学時期によっては大学の入学費用と高校の教育費が同じ年に重なることがあります。きょうだいごとの進学スケジュールを一つの表に並べ、支出が重なる年をあらかじめ特定しておくと備えの精度が上がります。

私立選択と自宅外通学の上乗せ

私立進学や自宅外通学では、当初の想定を上回る追加負担が生じる場合があります。
過去の試算として、幼稚園から高校まで公立で大学は国立に通った場合の教育費総額を約820万円、幼稚園から大学まですべて私立に通った場合を約2,247万円との例もあります*13。あくまで過去の試算であり、現在の教育費は進路や年度、各種支援制度の適用状況によって変わります。
進学のために一人暮らしをする場合は、授業料に加えて家賃や食費などの生活費も必要です。居住地域や住居形態ごとの上乗せ額を見積もり、貯蓄目標や奨学金の利用範囲に反映します。

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支出ピークに備える家計設計

必要な時期と金額を見積もり、預貯金や支援制度を組み合わせて備えます。

教育資金の準備方法の比較

教育資金の準備方法は複数あり、性質を並べて使い分けることが要点です。
教育に必要な資金の準備手段として、満期になったら満期金額を受け取る学資保険、預貯金(積立定期)、資産運用の積立投資、奨学金制度などがあり、子どもにかかる教育費は家計に無理のない範囲で、早い時期から準備を始めることが選択肢となります。
18年後に大学進学資金として500万円を用意する場合、2026年9月時点に金融機関が公表している普通預金金利の一例として、年0.4000%*14、税引後年0.3187%が18年間変わらないと仮定すると、毎月約2万2,500円の積み立てが必要です。年3%で運用できたと仮定した場合は、毎月1万7,500円となります。ただし、普通預金金利は変動するため、現在の金利が18年間継続するとは限りません。また、年3%の運用利回りや元本、将来の受取額を保証するものではありません。
NISAのつみたて投資枠は年間120万円まで利用でき、非課税保有期間は無期限です。ただし、投資には価格変動があるため、使う時期が近い資金は預貯金で確保するなど目的や期間に応じて使い分けることも考えられます。なおNISAは税制上の制度であり、元本や運用成果を保証するものではありません。
預貯金は元本の安定性、学資保険は満期時の受取額を見通しやすいこと、積立投資は価格変動を伴う一方で長期の運用を行えることなど、性質が異なります。
それぞれの特徴やリスクを踏まえ、目標時期と必要額に応じて複数の方法に配分することも選択肢となります。

奨学金と修学支援新制度の活用

公的な支援制度は、要件を満たす場合、大学期の家計負担を軽減する可能性があります。
文部科学省は、令和6年度から多子世帯(扶養する子供が3人以上いる世帯)や私立の理工農系の学部等に通う学生の中間層への支援を拡大し、令和7年度からは多子世帯の学生に対し所得制限なく、国が定める一定額まで大学等の授業料・入学金の減免を行うと明記しました*15。
高等教育の修学支援新制度では、高校3年生4月時点における申込である予約採用により、生徒と保護者があらかじめ必要な学費に係る見通しをもって進路を検討でき、大学等への進学後すみやかな支援開始が可能となることから、文部科学省は予約採用の活用を推奨しています*5。
日本学生支援機構の令和6年度学生生活調査では、大学学部昼間部の修学費・課外活動費・通学費の合計は、年間平均で国立約16.2万円、公立約15.3万円、私立約22.4万円です。4年間を単純計算すると約61万〜90万円となり、これとは別に、自宅を離れて一人暮らしをする場合は食費や住居・光熱費などの生活費が必要になります*12。
多子世帯支援や授業料・入学金の減免には条件があります。予約採用は高校3年の春に申し込みが始まるため、利用を検討する場合は、早めに対象要件と申込期限を確認しておくことが重要です。

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おわりに

教育費のピークは大学進学期に大きくなりやすく、世帯主が40歳代〜50歳代の世帯では他の年代に比べ多くなる傾向があります。入学時の一時的支出と授業料、自宅外通学の生活費が同じ時期に重なるため、単年度の支出増加を見込んで備えておくことが重要です。
総額だけで捉えるのではなく、進学段階ごとの年間費用と重なる時期を書き出すことが準備を始める一つの方法です。
幼児教育無償化や高校就学支援金の拡充、高等教育の修学支援新制度など、近年、公的支援制度の対象範囲や支援内容は拡充されています。
積立や学資保険、NISAのつみたて投資枠と組み合わせつつ、予約採用など早い時期の手続きを押さえることで、ピーク期の家計負担に備えやすくなります。

*1 出所)文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 結果の概要」

*2 出所)総務省統計局「家計簿から見たファミリーライフ」

*3 出所)こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化について」

*4 出所)三菱UFJ銀行「色々な平均で見る「子育て費用」 教育費、所得、貯蓄・借入金」

*5 出所)文部科学省「高等学校等就学支援金制度等及び高等教育の修学支援新制度の周知について」

*6 出所)文部科学省「高校生等への修学支援」

*7 出所)文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について」

*8 出所)日本政策金融公庫「令和3年度「教育費負担の実態調査」」

*9 出所)三菱UFJ信託銀行「教育資金はどれくらい?」

*10 出所)文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

*11 出所)文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」

*12 出所)日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果(集計表)」

*13 出所)三菱UFJ銀行「子育てに必要な教育費は平均いくら?大学までに準備すべき学費の総額を解説!」

*14 出所)三菱UFJ銀行「円預金金利」

*15 出所)文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

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