(注:本記事は特定の有価証券の取得を勧誘することを目的としたものではなく、また個別銘柄を推奨するものではありません。)
宇宙産業は、ロケットや人工衛星の開発だけでなく、宇宙から得られるデータを活用したサービスまで含む幅広い産業です。
かつては国家主導の宇宙開発が中心でしたが、近年はロケットの打上げコスト低下や小型衛星の普及を背景に、民間企業がこれまで以上の役割を担っていく産業へと変化しています。世界の宇宙市場は2022年時点で約54兆円、2040年には約140兆円へ成長すると見込まれており、日本政府も国内市場を2030年代早期に約8兆円へ拡大する目標を掲げています。*1, *2
こうした成長市場を理解するうえで重要なのが、「宇宙産業の業界構造」です。
宇宙産業は「上流・中流・下流」の3層構造
宇宙産業は一般的に、
- 上流(アップストリーム)
- 中流(ミッドストリーム)
- 下流(ダウンストリーム)
という3段階で整理されます。*1
宇宙産業は単独の企業だけで成り立つものではなく、上流から下流までが連携しながら価値を生み出しています。
例えば、
ロケットで人工衛星を打ち上げる → 人工衛星が地球観測や通信を行う → 地上でデータを受信・解析する → 農業、防災、通信サービスなどへ活用する
という流れによって最終的な価値が生まれます。*1
上流領域:宇宙へ運ぶインフラを担う
上流領域はロケットの開発や打上げサービス、射場運営などを担う領域です。
宇宙産業全体の出発点となる領域であり、人工衛星や探査機を宇宙空間へ届ける役割を担います。
経済産業省によると、2025年のロケット打上げ成功件数は主要国合計で314件に達しました。特に米国や中国を中心に打上げ需要が急増しています。*3
日本政府はロケット開発と射場運営を宇宙産業の基盤インフラと位置付け、2030年代前半までに年間30回程度の打上げ能力確保を目標としています。*4
また北海道では北海道スペースポートを中心に民間ロケット開発や打上げ拠点の整備が進んでいます。*5
もっとも、ロケット開発には大規模な資金と高度な技術が必要であるため、参入障壁は比較的高い領域です。
一方で、
- 精密加工
- 電子部品
- センサー
- 材料技術
- 地上設備
などの分野では既存の製造業に属する企業にも参入余地があります。*5
中流領域:人工衛星を開発・運用する
中流領域は人工衛星の設計・製造・運用を担う領域です。
近年の特徴は、人工衛星の小型化と低コスト化です。
その代表例として、
- NECの衛星プラットフォーム「NEXTAR」
- QPS研究所の小型SAR衛星
などが挙げられます。*6
特に小型衛星を多数運用する「衛星コンステレーション」の構築が世界的に進んでいます。*6
また中流領域では、
- 通信機器
- 電源システム
- 姿勢制御装置
- ソフトウェア
- 試験設備
など数多くの関連企業が関与しています。
そのため宇宙専業企業だけでなく、従来の製造業や電子機器メーカーにも参入機会が広がると見られています。*6
下流領域:衛星データを活用して価値を生み出す
下流領域は宇宙産業の最終的な価値創出を担う領域です。
人工衛星によって取得されたデータや通信インフラを活用し、
- 衛星通信
- 測位サービス(GPS等)
- 地球観測
- 防災・減災
- 農業DX
- インフラ管理
などのサービスが提供されています。
たとえばスペースシフトは、アフリカで衛星データをAIで解析し、農業やインフラ管理、防災などの分野でサービスを展開しています。*7
また北海道では、
- 新篠津村の農地管理
- 東川町の生育状況把握
- 道東地域の営農支援
などで衛星データ活用が進んでいます。*8
下流領域はソフトウェアやデータ活用が中心となるため、宇宙関連専業外の企業でも参入しやすい領域と考えられています。
(目次へ戻る)
日本政府も宇宙産業全体の拡大を支援
日本政府は「宇宙基本計画」において、民間企業の宇宙産業参入を重要な政策として位置付けています。
特に、
- 官民による衛星コンステレーション構築
- 民間衛星データの利用拡大
- スタートアップ支援
- 新サービス創出
を推進しています。*9
また文部科学省では、2030年代に国内企業による衛星システムを5件以上構築し、新サービスを30件以上創出する目標が示されています。*10
(目次へ戻る)
まとめ
宇宙産業は、上流のロケット開発・打上げ、中流の衛星開発・運用、下流の衛星データ利活用という三段階で構成され、民間企業が参入できる産業領域へと変化してきました。世界市場と日本市場ともに規模の拡大と成長が見込まれ、国内では宇宙基本計画や宇宙戦略基金など、参入企業を後押しする公的支援も整いつつあります。
これらの環境変化に伴い、企業の参入可能性は、宇宙専業企業だけでなく民生部品の供給や衛星データの業務活用、地域クラスターへの参画など、技術力のある多くの中小企業にも開かれ始めています。この先も高い技術の活用や顧客課題の解決を通じて参入する企業が増えることで、国内の宇宙産業はより一層厚みを増していくのではないでしょうか。公開型R&D第一弾プロジェクト「スターダスト」では、国内の宇宙産業を担う企業に焦点を当て、研究開発を続けてまいります。
*1 出所)NEDO「航空・宇宙 知っておきたい基礎知識」
*2 出所)経済産業省 中部経済産業局「中部地域企業の宇宙産業参入事例集を公表します!」
*3 出所)経済産業省 METI Journal ONLINE「増加するロケット打上げ需要に応える!民間開発企業の今」
*4 出所)内閣官房・経済産業省「戦略産業クラスター計画の概要」
*5 出所)一般社団法人北海道機械工業会「道内における宇宙関連企業等の実態調査」
*6 出所)経済産業省 METI Journal ONLINE「コンステレーション運用で急増する小型衛星需要」
*7 出所) JETRO「スペースシフト、アフリカで衛星データ利用したビジネスに取り組む」
*8 出所)北海道経済産業局「北海道の宇宙関連ビジネス事例」
*9 出所)内閣官房「宇宙基本計画「地理空間情報活用推進会議資料」」
*10 出所)文部科学省「宇宙開発利用部会(第106回)議事録」
本記事に関する留意事項(研究開発目的の情報提供について)
・本記事は、三菱UFJアセットマネジメント株式会社(以下、当社)の投資運用業に関する取組みおよび投資者の皆さまの投資に関する理解を深めていただくことを目的として、当社が中長期的な運用力の向上に向けて実施している研究・開発(R&D)活動について、当該活動で研究・開発している戦略(以下「本運用戦略」といいます。)を採用する一部のファンド(研究・開発のために設定・運用しているファミリーファンド方式のマザーファンドであり、投資者の皆さまが投資することはできません)の情報提供をすることを通じて説明するものです。本記事の内容は、金融商品の販売・勧誘を目的としたものではありません。
・本記事に掲載している内容は、金融商品取引法に基づく有価証券の募集、売出し、勧誘、またはそれらに類する行為を目的とするものではありません。また、お客さまに対する情報提供を目的としたものであり、当社が特定の有価証券の取引を推奨するものではありません。
・本記事に掲載している本運用戦略(マザーファンド)は、販売対象となる投資信託ではなく、一般投資家向けに提供・販売される予定もありません。したがって、本記事の情報は、投資判断を行うための資料ではなく、届出前の金融商品に関する勧誘、またはこれに類する行為には該当しません。また、本運用戦略(マザーファンド)に関する費用等はございません。
・また、将来において本記事に記載した内容と同一または類似の金融商品が組成・提供されることを保証するものではなく、本記事に掲載した内容は、予告なく変更される場合があります。
・研究に用いているデータ、前提条件、分析手法等は、検証時点におけるものであり、実際の運用環境や市場状況を反映しているものではありません。また、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。
・本記事は信頼できると判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性等を保証するものではありません。
・本記事の情報に基づいて行われた、いかなる判断・行動についても当社は責任を負うものではありませんので、あらかじめご了承ください。
【本運用戦略に係るリスクについて】
・本記事に掲載している本運用戦略は、主に国内外の株式や公社債、リート等の値動きのある有価証券等を投資対象としています。当該対象資産は、株式相場、金利水準、為替相場等の変動や、有価証券等の発行者の業務や財産状況の変化により、当該対象資産の価格や評価額が変動することによって損失が生じ、投資元本を下回る可能性があります。
・先物取引、オプション取引、信用取引等(デリバティブ取引等)については、当初投資元本(証拠金、保証金等)を上回る損失を生じることがあります。また、当該取引においては、取引相手等の信用状況等により損失が生じることがあります。
【本運用戦略に係る費用等について】
本記事に掲載している本運用戦略を提供した場合、以下の手数料・費用等が生じます。概要は記載の通りですが、お客さまとのご契約内容により、手数料・費用等は異なりますので、具体的にお示しすることはできません。
■投資顧問報酬や運用管理報酬
投資助言や投資一任によるサービスの場合は、そのサービスの対価として、契約資産額に運用戦略ごとに定めた料率を乗じた投資顧問報酬や運用管理報酬が契約期間に応じて生じます。また、成功報酬をご負担いただく場合があります。成功報酬は個別に計算方法が異なり、また運用実績に応じて変動しますので、事前に具体的な計算方法、上限額をお示しすることができません。これら投資顧問報酬や運用管理報酬は、投資対象や運用手法等が異なるため、事前に金額、上限額またはこれらの計算方法を一律に表示することができません。
■その他の費用・手数料
投資一任契約においては、投資顧問報酬のほかに、運用にあたって投資する金融商品等の売買委託手数料、投資した金融商品等の保管費用等の費用がかかります。これら費用は運用状況に応じ変動しますので、事前に具体的な上限額等をお示しすることができません。
投資信託組入れを通じてご提供する運用戦略の場合、当該投資信託に係る費用(投資信託の信託報酬、信託財産留保額、組入れ、解約等に際しての手数料等、組入有価証券の売買委託手数料、有価証券の保管などに要する費用、管理費用、監査費用、設立に係る費用、借入金の利息、借株の費用等)が生じます。
これらの費用等は、運用状況、売買条件や保有期間等により異なるため、事前に費用の金額または上限額等を一律に表示することができません。
《ご注意》
上記のリスクや手数料等は、契約内容及び運用状況等により異なりますので、契約を締結される際には、事前に契約締結前交付書面によりご確認下さい。
【本運用戦略の研究・開発(R&D)および情報開示】
三菱UFJアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号 / 加入協会:一般社団法人資産運用業協会
【ウェブページの運営および管理】
株式会社スマートプラス
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第3031号 / 加入協会:日本証券業協会・一般社団法人資産運用業協会・一般社団法人第二種金融商品取引業協会










