元本保証をうたう投資は詐欺?運用初心者が押さえるべき基本を弁護士が解説

元本保証をうたう投資は詐欺?運用初心者が押さえるべき基本を弁護士が解説

「元本保証なので安心です」「損をすることはありません」などと言って投資を勧誘されたら、それは詐欺かもしれません。特に「高利回り」「プロが運用」などとセットで元本保証がうたわれている場合は、投資詐欺の可能性が高いと思われます。

元本保証をうたう投資詐欺に騙されないように、法律のルールやよくある手口を理解しておきましょう。

本記事では「元本保証」をうたう投資に対する法律上の規制や、元本保証に関する投資詐欺のよくある手口などを弁護士が解説します。

元本保証が認められる資産運用の方法は?

「元本保証」とは、購入や出資などに充てた金額(=元本)が減らないことを、金融機関などが保証することを意味します。

元本保証が認められる資産運用の方法としては、円定期預金や個人向け国債などが挙げられます。利回りは決して高くないものの、拠出したお金が全額戻ってきます(ただし金融機関が破綻したときは、円定期預金は預金保険制度の上限額までしか保護されません)。投資のリスクを恐れている人にとっては、元本保証は安心感があるでしょう。
(ただし、円定期預金については、金融機関が破綻した場合、預金保険制度により一般預金等は一つの金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されるなど、制度上の保護範囲があります。)

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金融商品や出資金の元本保証は、原則として法律上問題となる

円定期預金や個人向け国債を除くと、ほとんどの投資商品については、金融機関側が元本保証を約束することは法律上問題となります。

たとえば、株式や投資信託などの金融商品はその性質上、市場における取引価格が上がったり下がったりします。
下がった場合は投資家に損失が生じるところ、金融商品取引業者等がその損失を補填することは原則として違法です(金融商品取引法39条)。したがって、株式や投資信託などについて元本保証を行うことはできません。

また、不特定かつ多数の者から受け入れる出資金についても、明示または黙示に元本保証を行うことが禁止されています(出資法1条)。

このように、金融商品や出資金の元本保証は法律上認められていません。そのため、実際に世の中に出回っている資産運用の方法の大半は、元本保証ではない点に留意する必要があります。

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「元本保証」と「元本確保」の違い

「元本保証」と混同されがちな用語として「元本確保」があります。元本保証と元本確保は似ていますが、異なるものです。

「元本確保」とは、組み入れる資産の組み合わせなどによって元本の維持を目指すことをいいます。
たとえば、資金の大部分を国債などの安全性が高い方法で運用しつつ、残った一部の資金を株価指数や為替に連動させて運用益も得ようとする商品などがあります。

元本確保型の金融商品は、元本割れのリスクが低いと考えられるものの、絶対に元本割れしないわけではありません。想定外の大幅な相場変動が生じた場合などには、元本割れすることもあります。

これに対して「元本保証」は、金融機関などに対して元本全額の返還を義務付けるものです。返還義務を負う金融機関などが破綻しない限り、元本は必ず返ってきます。
ただし前述のとおり、元本保証が認められている資産運用の方法は、円定期預金や個人向け国債などに限られている点に注意が必要です。

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元本保証をうたう投資詐欺のよくある手口

「元本保証」をアピールして投資を勧誘された場合、それは詐欺である可能性がきわめて高いです。特に次のような手口がよく見られるので、騙されないように十分注意してください。

  1. 「高利回り」と「元本保証」を両方アピールする
  2. 「プロが運用するので安心」などと言って勧誘する
  3. SNSやマッチングアプリなどを通じて勧誘する
  4. 最初だけ配当金などが支払われる

「高利回り」と「元本保証」を両方アピールする

「高利回りなのに元本保証!」という甘い勧誘文句は、投資の基本的な性質に反していると言わざるを得ません。

元本保証が認められている円定期預金は、最近金利が上がってきたとはいえ、高くても年1%台にとどまります。個人向け国債の表面利率も年2%台です。

元本保証はリスクが低い分、その分期待利回りも低く抑えられるものです。
これに対して、高い利回りを期待できる投資は、その分大きなリスクを伴います。「高利回り」と「元本保証」が両立することはあり得ません。

「リスクを負わず楽して儲けたい」という甘い考え方に付け込むのが、投資詐欺の常套手段です。「高利回り」や「元本保証」は、そのような考え方をしている人の心に刺さりやすいため、詐欺グループは盛んに強調して投資を勧誘してきます。

「高利回り」と「元本保証」を両方アピールするような投資勧誘を受けた場合は、詐欺の可能性を強く疑いましょう。

「プロが運用するので安心」などと言って勧誘する

「金融のプロが運用するので絶対に損しない」
「最新のAIが必ず利益が出るように運用する」
などと言って元本保証を強調するケースも見られます。

しかし、投資や金融に関する知識や経験が豊富な専門家でも、市場の変動を完全に予測することはできません。したがって「プロが運用するので絶対に損しない」ということはあり得ません。

「プロ」やカリスマ的な投資家に運用を任せるとして資金を集めるのは、投資詐欺の典型的な手口の一つです。「プロが運用するので安心」などと言って投資を勧誘されても、決して応じないようにしてください。

SNSやマッチングアプリなどを通じて勧誘する

投資詐欺の勧誘は、近年ではその大半がSNSやマッチングアプリなどを通じて行われています。投資に興味があってお金を儲けたいと考えているものの、投資に関する知識や経験は乏しい若者や、SNS等の利用にあまり慣れていない中高年以上など、幅広い年代で被害が確認されています。特にSNS広告やダイレクトメッセージなどをきっかけとする勧誘には注意が必要です。

仮に魅力的な投資があるとしても、それを見ず知らずの人にSNSやマッチングアプリで紹介することはあり得ません。SNSやマッチングアプリを通じて勧誘される投資は、胴元が大きな利益を得る一方で、出資者は損失を押し付けられる仕組みになっているケースが大半です。

SNSやマッチングアプリで投資を勧誘するメッセージが来ても、返信せず直ちに消去してください。

最初だけ配当金などが支払われる

投資詐欺グループは、出資者を安心させるために、最初だけは当初の約束どおりに配当金などを支払うケースがあります。

しかし多くの場合、運用益から配当金などが支払われているのではなく、他の出資者から集めたお金を横流ししているだけです。実際には、出資したお金の運用は行われていません。
このような仕組みは「ポンジ・スキーム」と呼ばれており、投資詐欺の古典的手法の一つです。

ポンジ・スキームは、新たな出資者が十分な人数、かつ継続的に参加することを前提としています。いずれは新たな出資者の参加が減り、ポンジ・スキームは必ず破綻します。その結果、出資者の大半は大きな損失を被ってしまいます。

たとえば、投資の勧誘に応じるかどうか迷っているとき、すでに参加している別の人から「たくさん配当金がもらえた!」といった話を聞いたとします。
一見すると成功体験のようですが、このような話を鵜呑みにしてはいけません。ポンジ・スキームである可能性が非常に高いからです。

素性の分からないグループが主宰している投資スキームには、絶対に参加してはいけません。

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「投資詐欺かもしれない」と感じた場合の相談先

SNSやマッチングアプリなどを通じて投資の勧誘を受け、詐欺かもしれないと感じたものの判断に迷ったときは、金融庁や消費生活センター等に相談してください。

金融庁は「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」を開設し、投資詐欺に関する相談を広く受け付けています。*1
また、消費者ホットライン(188)に電話をすると、最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等に繋がり、投資詐欺への対処法などについてアドバイスを受けられます。*2

阿部 由羅
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

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