「貯蓄から投資へ」って結局どうすればいい?──初心者がまず踏み出す3ステップ

「貯蓄から投資へ」って結局どうすればいい?──初心者がまず踏み出す3ステップ

この記事では、「貯蓄から投資へ」という資産形成を進めるうえで、投資初心者がまず考えたい資産形成のステップを解説しています。ポイントは次のとおりです。

  • 家計の収支を把握し、ライフプランを描いて必要額を見える化する。
  • お金を「使うお金」「そなえるお金」「ふやすお金」の3つに色分けし、余裕資金を確保する。
  • NISAのつみたて投資枠などを活用し、少額から長期・積立・分散で始める。
  • 商品の仕組みやリスクを確認し、SNSを通じた投資勧誘、詐欺にも注意する。

「貯蓄から投資へ」が求められる背景

家計のお金は、今も現金・預金が中心日本の家計が保有する金融資産は、2026年3月末時点で約2,386兆円です。このうち、現金・預金は約47%を占めています。株式や投資信託は、合わせて家計金融資産の約2割強を占めています。政府は、家計のお金が投資にも向かうことで、企業の成長と家計の資産形成がつながる流れを目指しています。ただし、投資に回せる金額や自分に合う方法は、家計の状況によって異なります。*1
現金・預金の割合が大きい人は、将来使う予定のない資金について、投資を選択肢に入れることも考えられます。投資初心者にとっては、まず自分の資産が現預金に偏っていないかを確認してみるとよいでしょう

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インフレと長寿化がもたらす資産の課題

現金や預金は、必要なときに使いやすい一方で、物価が上がると同じ金額で買えるものが少なくなることがあります。また、長く生きるほど、将来必要になるお金を長い期間で考える必要があります。
モノやサービスの価格が継続的に上がることをインフレーション(インフレ)と呼びます。インフレが進むとお金の実質的な価値は下がり、仮に物価が毎年2%ずつ上がり続けると、20年後の1,000万円で買えるものは今の約673万円分に相当する計算です。*2
人生には結婚、出産、住宅購入、教育、老後などのライフイベントがあり、費用は選ぶ内容や地域などによって大きく変わります。参考例として、挙式や披露宴などの平均は約344万円、住宅購入には4,900万円とする調査があります。また、幼稚園から大学まですべて私立に通う場合、教育費が2,500万円を超える試算もあります。生命保険文化センターの2025年度調査では、夫婦2人の『ゆとりある老後生活費』として回答者が必要と考える金額は、月額平均約39万円、20年以上続くと相当な額になります。*2
将来必要になるお金のうち、すぐに使わない分については、インフレに負けないように、預金に加えて投資を選択肢に入れる考え方もあります。

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政府が進める資産所得倍増プラン

政府は、家計の安定的な資産形成を政策の柱に据えています。
資産運用立国実現プランには、家計、金融商品販売会社、資産運用会社、アセットオーナー、企業というインベストメントチェーンに関与するすべてのプレーヤーに関わる政策が盛り込まれています。このプランでは、家計の安定的な資産形成が重要なテーマの一つとされています。*3
また、貯蓄から投資・資産形成の加速を通じて成長と資産所得の好循環を創出することは、日本経済を活性化させる重要な取り組みです。*4
個人にとっては、制度と環境が整えられていく流れのなかで、こうした制度を知り、自分に合うお金の持ち方を考えるきっかけにもなりそうです。

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貯蓄と投資の違い

「貯める」と「増やす」の役割分担

資産形成では「貯める」と「増やす」を目的に合わせて考えると整理しやすくなります。
貯蓄は、近いうちに使うお金や手元に置いておきたいお金に向いた方法です。一般的な円普通預金や円定期預金は株式や投資信託のような日々の価格変動はありません。しかし、金利が低いと大きく増えることは期待しにくいでしょう。代表例は普通預金や定期預金です。一方、投資は、将来の値上がりや配当などを期待してお金を運用する方法です。預金より増える可能性がある一方、投資した金額を下回ることもあります。株式、債券、投資信託などが代表例となります。*5
このように、資産形成には貯蓄と投資の2つの方法があり、そのときの資産状況や今後のライフプランなどに適した形で、方法を使い分けることが大切です。*6
貯蓄と投資はどちらか一方を選ぶものではなく、目的に応じて組み合わせることを検討してみてください。

リスクとリターンの基本関係

投資を始める前に、リスクとリターンの関係は知っておきたいポイントです。一般的に、大きな利益が期待できる商品ほど、価格が大きく下がる可能性も高くなります。*7
極端に高い利回りをうたう話は、相応のリスクを伴うと考えるのが自然です。上下どこまでの値動きを受け入れられるかを確認することが、商品を選ぶときの目安になります。

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初心者がまず踏み出すべき3ステップ

ステップ1 .家計管理とライフプラン設計

投資を考える前に、まず家計の状態と今後の予定を確認してみましょう。
金融庁は、家計管理の基本は収入と支出をきちんと把握・管理すること、収支を黒字にすること、そして黒字分を貯蓄することだとしました。給料日に一定額を自動で貯蓄用口座に移すなど、先に貯蓄に回し、残りのお金で家計をやりくりする方法を勧めています。*6
毎月の黒字額を作り、そのうえで「いつ、いくら必要か」を書き出す作業が有効です。家計を見える化すると、投資を検討できる金額の目安も考えやすくなります。

ステップ2 .お金を3つに色分けし余裕資金を確保

手元のお金を目的別に分けて余裕資金を切り出すことが、次のステップです。
生活に必要なお金とは別に、当面使う予定のないお金を分けておくと、家計に無理のない範囲を考えやすくなります。お金を使い道に応じて「3つの色」に分けると整理しやすく、この3番目のお金が資産運用に適した余裕資金にあたります。まずは、自分のお金を整理して、何にいくら必要かを把握することから始めましょう。*2
また、投資をする場合は、日々の生活費や近いうちに使う予定のお金を避け、当面使う予定のない範囲の金額で考えることが大切です。日々の生活費、近い将来に使う予定のあるお金、当面使う予定のないお金の3つに分け、このうち、当面使う予定のないお金が投資を検討できる範囲になります。生活を守る形を先に整えることで、値動きがあったときも、家計への影響を抑えやすくなります。

ステップ3 .少額から長期・積立・分散で開始

投資を始める場合は、長期・積立・分散を意識する方法があります。
金融庁は、効率的な資産形成を行うためには「時間の分散」と「長期保有」を組み合わせた「積立投資」を、値動きと付き合いながら資産形成を考える方法として紹介しています。積立投資は、決まった金額を定期的に投資する方法です。購入する時期を分けられ、少額から始めやすいという特徴があります。運用で利益が出て、その利益を再び運用できれば、複利と同等の効果も期待できます。*7
長期投資は、短期の値動きだけで判断せず、長い期間で運用を考える方法です。ただし、長く持てば必ず利益が出るわけではありません。分散投資は、投資先を複数の資産や地域に分ける方法です。一つの投資先が値下がりしたときの影響を小さくすることが期待できますが、損失を完全に防げるわけではありません。*8
この3つの原則を組み合わせると、少額から時間をかけて資産形成に取り組む方法として活用できます。初心者にとっては、金額の大きさよりもまずは、家計に無理なく続けられる金額を考えてみましょう。

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NISA活用の基本

つみたて投資枠と成長投資枠の仕組み

長期・積立・分散を実践するうえで、NISAの仕組みも知っておくと、制度を利用するかどうか判断しやすくなります。
金融庁は、NISA制度を恒久的なものとし、NISAを一本化して、つみたてNISAを引き継ぐつみたて投資枠と、一般NISAを引き継ぐ成長投資枠を設け、両者を併用可能とし、年間の投資額の上限をそれぞれ120万円と240万円に拡大しました。合計で年間最大360万円まで投資でき、全体で1,800万円の非課税保有限度額(成長投資枠の非課税保有限度額は、その内数の1,200万円)を設けたうえで、金融商品から得た利益が非課税となる期間を無期限とすることも盛り込まれています。*1
NISAは、口座内で購入した対象商品から得られる売却益や配当・分配金が、一定の条件のもとで非課税になる制度です。つみたて投資枠は年間120万円まで投資でき長期・積立・分散投資に適した投資信託が対象、成長投資枠は年間240万円まで投資でき一括投資も可能で上場株式や投資信託などが投資対象です。二つの投資枠は併用可能で、年間360万円まで投資できます。*8
NISAを利用すると、税制メリットがあるため長期の資産形成に活用できる場合があります。ただし、NISAを使っても、投資した商品の価格が下がる可能性はあります。

初心者が検討しやすいつみたて投資枠

投資初心者にとって検討しやすいのが、つみたて投資枠です。
新しいNISAのつみたて投資枠は、「長期・積立・分散」の運用方法で、投資初心者でも取り組みやすいよう、対象商品に一定の基準が設けられていますが、投資である以上リスクも存在します。一方で、成長投資枠は株式やリート等への投資を含み自由度が高いものの、長期の資産形成になじみにくい一部の商品が対象から除かれています。*3
つみたて投資枠は、少額から積立投資を始めたい人にとって、検討しやすい選択肢の一つです。ただし、利用するかどうかや商品選びは、目的や家計の状況に合わせて考える必要があります。

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投資初心者が押さえるべき注意点

元本割れリスクと理解できない商品の回避

投資には元本割れの可能性があります。商品を選ぶときは、仕組みやリスクを理解してから判断することが大切です。
思わぬ金融トラブルに巻き込まれないためにも、仕組みやリスクがよくわからない商品は、分かるまで購入を急がないようにしましょう。分からないことがあれば、金融機関などに説明を求める、パンフレットを熟読する、または外部の知見を活用するなど、分からない点を確認し、納得したうえで契約することが大切です。*7
仕組みや手数料、想定される値動きの幅を自分の言葉で説明できるかどうかが、購入判断の一つの目安になります。

SNS型投資詐欺・偽広告への警戒

投資への関心が高まるなか、SNSを入り口とした詐欺の手口も知っておきましょう。
総務省によると、令和5年下半期以降、なりすまし型「偽広告」を端緒としたSNS型投資詐欺等の被害が急速に拡大しています。SNSをきっかけにした投資詐欺の被害が増えています。警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺は9,523件、被害額は約1,288億円でした。最初の接触手段では、バナー広告などに加え、ダイレクトメッセージも多く使われています。*9
SNSの広告や知らない相手からのメッセージだけで投資を決めず、金融庁の登録情報などで事業者を確認することや、「必ず儲かる」「元本保証」「今だけ」「あなただけ特別」といったあなたの欲望を巧みに刺激する言葉にも注意が必要です。また、投資勧誘での送金先の口座名義が、金融庁の登録情報にある会社名でなく個人名だったりすることも詐欺である可能性が高い事を示す重要な情報です。口座開設は本人確認など犯罪者にとってはハードルが高いことから、口座名義の情報が一致しているかどうかも判断の一助とすることができます。他にも様々な手口の情報がまとめられて金融庁のサイト*11に掲載されていますので、良く学んで対策を考えてみましょう。

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迷ったときの学び方・相談先

J-FLECによる無料相談・出張授業の活用

学び方や相談先に迷ったときは、公的な金融経済教育の仕組みを利用できます。
J-FLECの活動資料によると、全国の企業や学校、公民館等に、所定の審査を通過したJ-FLEC講師を派遣し、金融経済に関する出張授業を無料で実施しています。「金融リテラシー・マップ」に沿って、年齢層別に最低限身に付けるべきお金に関する知識・判断力を習得できるよう、標準講義資料をもとに幅広いテーマで授業を行っています。さらに、お金に関するアドバイスの価値や意義を知るきっかけとするため、J-FLEC相談員(J-FLEC認定アドバイザー)による個別相談の無料体験を、対面またはオンラインで提供しています。*10
個人で情報を集めるだけでなく、商品の販売を前提としない立場から、お金について相談できる場があることは、投資初心者にとって判断材料を揃える助けになります。

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おわりに

「貯蓄から投資へ」は、家計の資産において現金や預金の役割を大切にしながら、将来使うお金については投資も選択肢とする考え方です。投資初心者にとっての資産形成ステップは、家計管理とライフプラン設計、余裕資金の確保、少額からの長期・積立・分散という順序で組み立てるとわかりやすくなります。
そのうえで、投資を始める場合はNISAのつみたて投資枠を軸に非課税の仕組みを活かすことを検討し、理解できない商品やSNSなどの投資勧誘には距離を置くことがポイントです。迷ったときは、J-FLECの無料相談等を活用することを検討しながら、自分のペースで始めてみてはいかがでしょうか。

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