ポイント
はじめに
夏休みやお盆の時期は旅行やイベントが重なり、レジャー費が一年のなかでもふくらみやすい時期といえます。予算を決めずに過ごすと、気づいたときには口座残高が大幅に減っていた、ということも起こりがちです。
こうした使いすぎを防ぐには、支出の全体像を把握したうえで予算管理の仕組みを無理なく整えておくことが大切です。この記事では、家計調査のデータや家計管理の基本、実践しやすい対策を順に見ていきます。
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家計調査に見る夏の支出傾向
まずは夏のレジャー費がどの程度ふくらむ傾向があるのかを確認していきましょう。総務省の家計調査をもとにした統計では、1世帯あたりのレジャー費の月別支出金額は8月が最も多く、1か月あたりの平均支出金額の約1.3倍に達しています。続いて5月、7月の支出金額が多く、夏休みやゴールデンウィークなどの時期にレジャーへの支出が集中する傾向が確認できます。*1
旅行関係費は景気や災害の影響を受けて年ごとに変動します。総務省のデータでは、平成20年に一世帯あたり399,122円だった旅行関係費が、翌21年にはリーマン・ショックの影響で363,969円へ大きく減少し、23年には東日本大震災でさらに落ち込みました。その後は回復に向かい、平成25年には391,128円となって消費支出に占める割合も11.2%と平成20年と同水準まで戻っています。*2こうした変動幅の大きさは、レジャー費が家計のなかで調整しやすい反面、油断すると膨らみやすい費目であることを示しています。
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レジャー費の内訳と変動費の特徴
レジャー費は交通費、宿泊費、食費、観光・体験費用、お土産代、雑費(保険・Wi-Fi・日用品など)など、複数の支出から成り立っています。*3これらの多くは月ごとに変動しやすく、旅行先や日数によっても大きく変わります。
家計は収入のタイミングや金額は世帯によって異なるものの、月の収入はおおむね一定になる一方で、支出はライフイベントや季節要因によって変動することがあります。
例えば、新学期や夏休みシーズン、年末年始などは出費のほうが増えやすい時期といえます。*4そのため、レジャー費を事前にどの項目にいくら使うかを決めておくことが使いすぎ防止の第一歩になりそうです。
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使いすぎる原因と家計の課題
支出の見える化不足が招く浪費
使いすぎの大きな原因のひとつは、自分のお金の流れを把握していないことです。家計簿をつけると、何にどのくらいの費用をかけているのかを数字で可視化できるため、家計の現状を把握しやすくなります。家計簿の役割は、お金の出入りを記録するだけではありません。*4
支出を振り返らないと、無計画な支出がふえる原因になります。自分が使ったお金を振り返らないと「いつのまにか財布に現金がない」「口座の残高がいつのまにかなくなる」といった状態が増え、無計画な支出がふえる原因になります。*5 支出の見える化は、家計管理でまず意識したいステップのひとつといえます。
キャッシュレス時代の使いすぎリスク
クレジットカードや電子マネーが普及した現在、手元の現金が減らないまま支出だけが積み上がるリスクがあります。クレジットカードのWEB明細を定期的にチェックして、使いすぎを防止することがポイントです。さらに、リボ払いや分割払いを利用すると金利手数料がかかり、支払う金額の合計が実際に利用した金額よりも高くなるため注意が必要です。*6
キャッシュレス決済は便利な反面、「今月いくら使ったか」が見えにくくなります。明細の確認を習慣にし、使った金額を定期的に振り返る仕組みを整えることは、レジャーシーズンの使いすぎ防止につながりやすいと考えられます。
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予算管理の基本ステップ
収入と固定費から逆算する予算設定
予算管理の第一歩は、収入と支出の全体像をつかむことです。金融庁は、家計管理の基本として「収入と支出をきちんと把握・管理すること」「収支を黒字にすること」「黒字分を貯蓄すること」の3点を挙げています。*7
レジャー費の上限は、手取り収入から固定費を差し引いた金額を目安に考えるとよいでしょう。具体的には、毎月の手取り収入から家賃や保険料などの固定費を差し引き、残った金額のなかでレジャー費を含む変動費の上限を決めます。あらかじめお金の使い道やバランスを考えておくことで使いすぎを防ぐことが期待できます。*8収入から固定費を引いた金額を「使える枠」として認識することで、レジャー費に回せる上限が自然に定まるでしょう。
カテゴリ別予算と月別個別設定
予算は総額かカテゴリごとに設定し、どの程度の細かさで予算を管理するか、好みに応じて無理のない方法を選択することがポイントの一つです。使える枠が分かったら、次はその枠を費目ごとに振り分けます。予算は「総額」で設定する方法と「カテゴリごと」に設定する方法があり、無理なく家計管理したい場合や初めて予算を設定する場合は「総額」での設定、細かく管理したい場合は「カテゴリご」との設定が向いています。*9
夏のレジャー費のように特定の月だけ支出が増える費目には、月ごとの個別設定が有効です。旅行や子どもの入学金など高額の支払いがある場合、予算を月ごとに個別設定でき、6か月先まで入力可能なため事前に設定しておくことが推奨されています。*9この仕組みを使うことで、夏の出費増を数か月前から織り込んだ予算管理がしやすくなります。
予備費の確保と先取り貯蓄
想定外の出費に備えるには、予備費の枠を用意しておくことがポイントです。予算を立てるだけでなく、想定外の出費に備える枠を用意しておくことも欠かせません。貯蓄と支出の予算を立て、未来への見通しを立ててお金の計画を立てることで、突然の出費にも家計を調整しながら対応できるようになります。*8
先取り貯蓄を取り入れると、毎月使える金額をあらかじめ決めやすくなります。こうした備えを確実にするには、先取り貯蓄の仕組みが効果的です。金融庁は、給料日に一定額を自動で貯蓄用口座に移し、残りのお金で家計をやりくりする方法を勧めています*7。「余ったら貯金」ではなく「先に貯金」へ考え方を切り替えることで、レジャー費を含めた変動費の枠が自動的に制限され、結果として使いすぎ防止につながることがあります。*10
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使いすぎを防ぐ具体策
家計簿アプリによる支出の即時確認
予算を守るには、日々の支出をこまめに確認することがポイントです。予算を立てたあとは、日々の支出が予算内に収まっているかを確認し続けましょう。手軽な家計簿アプリなどを使って「自分が何にお金を使っているか」を確認する習慣をつけることが、無計画な支出の抑止につながります。
予算残高が少ないカテゴリは、支出の必要性を見直すきっかけになります。さらに、定期的に予算残高を確認し、残高が少ないカテゴリに対しては「真に必要な出費なのか」を考えながら節約を意識することが推奨されています。たとえば外食の回数を1回減らすだけでも節約になります。使った直後に記録し、残りの予算をこまめに把握することが使いすぎを防ぐうえで実践しやすい方法のひとつです。
クレジットカード限度額の引き下げ
クレジットカードの利用限度額を引き下げることは、使いすぎを抑えるためのブレーキとして役立つ場合があります。キャッシュレス決済の便利さに流されないための物理的な歯止めとして、クレジットカードの利用限度額を引き下げる方法があります。利用限度額の引き下げは不正利用の被害抑制にも役立ちますが、使いすぎ防止のためにカード利用を抑えたいときにも有効です。*11
限度額を引き下げておくと、利用可能額の上限に達した際にそれ以上の決済がしにくくなるため、使いすぎの抑止につながる場合があります。
レジャーシーズン前にあらかじめ限度額を見直しておけば、旅行先での想定外の出費を仕組みで抑えることができます。
衝動買い防止の自分ルール
衝動買いを防ぐには、事前に自分ルールを決めることがポイントです。旅先ではテンションが上がり、普段なら買わない物をつい手に取ってしまいがちです。衝動買いを防ぐにはあらかじめルールを決めておくことが有効で、たとえば「一定金額以上は即決しない」「一晩考えてから買う」といった自分なりの基準を設けることが勧められています。さらに、買い物リストを作って必要な物だけを購入する習慣も衝動買い対策になります。*10
旅行中はお土産売り場や観光地の限定商品など誘惑が多い場面が続きます。出発前にお土産代の上限や購入リストを考えておくと、その場の雰囲気に流されにくくなり、結果として後悔しやすい出費を減らしやすくなります。
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旅行計画と予算配分の判断基準
予算帯別の旅行スタイル選定
限られた予算では、どこに厚く配分するかを先に決めることがポイントです。旅行の満足度は、使った額の合計だけでなく、どこにお金を配分するかにも左右される面があります。
たとえば、旅行費用を構成する主な項目は、交通費(新幹線・飛行機・レンタカーなど)、宿泊費、食費、観光・体験費用、お土産代、雑費(保険・Wi-Fi・日用品など)とされています。*3優先順位を決めておくと、旅行中の追加出費を判断しやすくなります。予算が少なめの場合は交通費と宿泊費を抑えて体験に回す、逆に予算に余裕がある場合は宿泊のグレードを上げるなど、どの項目を優先するかを事前に決めておくと、旅行中の追加出費を判断しやすくなります。
全体予算の1〜2割を予備費に充てる
旅行中の不測の事態に備えるには、予備費を確保しておくことがポイントです。旅行中は天候の急変による予定変更や急な体調不良など、計画どおりにいかない場面が出てくる場合もあります。全体予算の1〜2割を予備費として確保しておくと、より安心感をもって旅行の計画を立てやすくなります。
予備費があると、他の費目を無理に削らずに対応できます。予備費を設けるメリットは、想定外の出費が発生しても他の費目から無理に削る必要がなくなる点にあります。旅行や高額な支払いがある場合は予算を月ごとに個別設定し、6か月先まで入力しておくことで、予備費を含めた資金計画を前もって組み立てられます。*9
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失敗例と注意点
リボ払い依存と手数料の落とし穴
リボ払い(リボルビング払い)に頼ると、手数料負担が膨らみやすい点に注意が必要です。レジャー費がかさんだあと、毎月の支払いを一定額にできるリボ払い(リボルビング払い)に頼るケースは少なくありません。しかしリボ払いはお金を使いすぎていても気付きにくく、支払い回数に比例して手数料も増えるため、貯蓄のサイクルが生まれにくくなります。*5
残高をこまめに確認すると、手数料の膨張を早めに抑えられます。分割払い・リボ払いにあといくら利用できるかは、各カード会社の会員専用サイトで確認できます。利用残高をこまめに確認し、リボ払いの残高が増え続けていないかを定期的にチェックすることで、手数料負担の拡大に早めに気づきやすくなります。
無理な予算設定が続かない理由
無理な予算設定は続きにくいため、現実的な金額から始めることがポイントです。使いすぎを恐れるあまり、極端に低い予算を設定してしまうのも失敗のもとです。目標は予算内に月々の支出を収めることですが、初めから無理な予算設定をすると長続きしにくくなります。直近の支出実績を踏まえ、少しの節約を意識すれば予算内に収められるような現実的な金額を設定することが勧められています。*9
支出実績にもとづいて予算を調整すると、家計管理を続けやすくなります。家計簿をつけることで使った金額を把握でき、無駄遣いを改善できます。過去の実績データにもとづいて予算を設定し、毎月少しずつ調整していく方が、結果的に家計管理を長く続けやすくなるでしょう。
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おわりに
夏のレジャー費で使いすぎないためには、収入と固定費から使える枠を逆算し、カテゴリごとの予算や予備費をあらかじめ決めておくと良いでしょう。そのうえで、家計簿アプリでの即時確認やカード限度額の引き下げ、衝動買い防止の自分ルールなど、仕組みで支出を抑える工夫を取り入れるとなお良いでしょう。
ポイントは、無理のない予算を立てること、支出をこまめに振り返ること、そして先取り貯蓄で使える金額を最初に確定させることの3つです。この夏のレジャー計画を立てる際に、まずは自分の家計の「使える枠」を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
*1 出所)総務省統計局「レ ジ ャ ー に 関 係 す る 支 出 - 家 計 調 査 ( 二 人 以 上 の 世 帯 ) 結 果 よ り -」
*2 出所)総務省統計局「旅行に 関 係 す る 支 出 - 家 計 調 査 ( 二 人 以 上 の 世 帯 ) 結 果 よ り -」
*3 出所)Money Canvas「学びながらできる投資 | 三菱UFJ銀行 – 【FPが解説】旅行計画の立て方は?予算、貯金、行き先などのステップごとにみてみよう」
*4 出所)Money Canvas「学びながらできる投資 | 三菱UFJ銀行 – 家計簿ノートの作り方は?アプリも活用しお金の流れを把握しよう」
*5 出所)三菱UFJ銀行「20代の平均貯金額はいくら?毎月の貯金額の目安と貯金のコツをわかりやすく解説!」
*6 出所)三菱UFJカード「学生がクレジットカードを選ぶポイントは?メリットや注意点を解説」
*7 出所)金融庁「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト」
*8 出所)消費者庁「消費者と企業人の視点で考えよう 消費生活のキホン 生活を支えるお金」
*9 出所)Money Canvas「学びながらできる投資 | 三菱UFJ銀行 – 家計簿画面・機能の使い方を紹介」
*10 出所)Money Canvas「学びながらできる投資 | 三菱UFJ銀行 – 年間10万円から始める節約術!家計の見直しのポイントは?」
*11 出所)三菱UFJカード「クレジットカードの利用限度額とは?仕組みや確認方法を紹介」










