現金だけでは資産が目減りする?物価が上がり続ける時代の対策法とは

現金だけでは資産が目減りする?物価が上がり続ける時代の対策法とは

2022年は世界中で急激にインフレが進みました。インフレとは物価が上がること、すなわちお金の価値が相対的に下がることでもあります。

物価上昇率が高い国々では、インフレを抑えるために、2022年中、政策金利の引き上げが段階的に行われました。しかし、それだけでインフレが沈静化するとは限りません。2023年もインフレは、世界の関心事となるでしょう。

日本の物価上昇率は、2022年12月時点においては海外に比べれば低い水準ですが、油断はできません。日本は多くの製品を輸入に頼っているため、海外の物価は日本の物価に影響するからです。

この記事では、海外を含めた現状のインフレの状況と、中長期的に物価上昇が継続した場合の対策の仕方について解説します。

先進国の物価の推移

下記のアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、日本の過去40年間の消費者物価上昇率のグラフを見てわかるとおり、2022年はかなりインフレが進行した年だといえます。インフレの原因は1つではありません。ロシアのウクライナ侵攻によって起きた資源及び穀物価格の高騰、新型コロナウイルスの広がりによって停滞していた需要の回復、物流の停滞や生産活動の停止、人材不足による人件費の上昇などの複数の要素が絡み合うことで急激に物やサービスの価格が上がりました。

図1 平均消費者物価上昇率
出所)IMF「世界経済見通しデータベース 平均消費者物価変化率のデータ」をもとに三菱UFJ国際投信作成
期間:1982年~2022年、年次(前年比) 
※2022年は10月までのデータ

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日本でもインフレは起きている

前項の各国のグラフから、日本の物価上昇率は欧米ほど高くないことがわかります。しかし、日本もインフレが進んでいることは事実です。2022年11月時点の総務省発表の国内の消費者物価指数(総合指数)の上昇率は、前年比3.8%に達しています。*1

年率3.8%という数字は、日本の2倍以上の物価上昇率がある欧米各国と比較するとまだ軽微といえます。しかし、消費者のインフレによる家計への負担感は、もう少し深刻なものになっている可能性があります。同消費者物価指数の構成項目のうち、国民の生活に影響度の大きい食品やエネルギーの指数は、下記のグラフのとおり、総合指数よりも高い幅で上昇しているからです。

図2 消費者物価指数の上昇に寄与した主な項目の上昇率(前年同月比)
出所)総務省「2020年基準消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)11月分」をもとに三菱UFJ国際投信作成

さらに、帝国データバンクは「食品主要105社」価格改定動向調査のレポートで、2022年の食品の値上げ品目について以下のとおりの発表をしています。囲った箇所は同レポートからの引用です。

10月の値上げは今年最多の6700品目
値上げ率は年内2番目の高さ

出所)帝国データバンク「「食品主要105社」価格改定動向調査(10月)」より引用

23年の食品値上げ、4000品目突破 値上げペース「今年超え」
~ 来年2月は「10月級」の値上げラッシュ可能性 ~

出所)帝国データバンク「「食品主要105社」価格改定動向調査(12月)」より引用

2022年だけでなく、2023年に入ってからも多くの品目で食品の値上げは続くようです。消費者物価指数の上昇がいつピークアウトするのかは、まだ不透明な状況です。

インフレはいつまで続くのか?

足元のインフレについては、資源及び穀物価格の上昇が主な原因であるため、多少落ち着く可能性はあります。
2022年10月31日公表の日銀の展望レポートでは、下記のとおり物価のピークアウトを予想する見解が示されています。囲った箇所は引用です。

物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めたあと、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。

出所)日本銀行「経済・物価情勢の展望2022年10月」より引用

しかし、上記はあくまでも1つの見解であるため、予想どおりにならない可能性があることはいうまでもありません。特に、エネルギーや自給率の低い食料品については、海外の物価の影響を受けやすいことに注意が必要です。

■日本のエネルギーと食品の自給率

資源エネルギー庁によると、日本のエネルギーの自給率は2019年時点で約12%程度です。資源については、2023年以降も相当な量の輸入が必要だということです。*2

また、下記グラフは、日本の食品の自給率を表したものです。100%に満たない品目は輸入に頼らざるを得ません。

図3 2021年日本の食料の品目別自給率
出所)農林水産省「食料需給表 令和3年度」をもとに三菱UFJ国際投信作成

仮に、海外の資源及び食料品の価格が落ち着いたとしても、米ドル/円の為替レートの円安が進んでしまうと、一定の物価上昇の要因は残ることになります。

また、前述の日銀の展望レポートの引用の箇所に記載されているとおりの賃金の上昇が実現した場合は、人件費高騰を要因とするインフレと、所得増加による需要拡大が要因のインフレが、起きる可能性もあります。

このように、インフレはさまざまな要因で継続する可能性があるため、「インフレ対策」をしておくことは重要になります。

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インフレでお金の価値が目減りする

インフレはよく「お金の価値が下がること」だといわれます。しかし、この言葉は抽象的でわかりにくさがあります。ここでは、インフレが継続した場合に、どれだけお金の価値が下がってしまうのかを、物の価格と比較して解説します。

まずは下記グラフをご覧ください。このグラフは本記事の前半で記載した各国の消費者物価上昇率の約40年間の数値を平均化したものです。

図4 1982年~2022年10月までの平均消費者物価上昇率の平均
出所)IMF「世界経済見通しデータベース平均消費者物価変化率のデータ」をもとに三菱UFJ国際投信作成
期間:1982年~2022年、年次
※単位は、% ※2022年は10月までのデータ

ここで、上記の数値を参考にして、これから30年後までの消費者物価上昇率が年2.5%で推移したと仮定します。すると30年後の物価は、現時点の2.098倍になります。単純に考えると、1,000円の物は2,098円に上昇するということになります。
仮に、現在100万円の貯蓄があれば、そのお金で1,000円の商品を1,000個買うことができます。しかし、この商品が2,098円に値上がりしてしまうと、100万円で買える個数は477個に減少してしまいます。

金利の低い預金や現金で100万円を置いていた場合、「100万円」という金額自体が変わらないため、お金の価値の下落に気づきにくくなります。しかし、このように物の個数に置き換えると、インフレによるお金の価値は下落してしまいます。

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現金主義からの脱却、投資はインフレ対策

最もシンプルなインフレ対策は、現金だけではなく資産の一部を投資に振り向けることです。

例えば、年3%の複利利回りで30年間投資をすると、元本は2.43倍になります。100万円が243万円になるということです。先ほど、物価が年2.5%のペースで上がると30年後に物の価格は2.098倍になるといいました。1,000円の物が2,098円になっている計算です。

物の価格が2.098倍になっていても、お金の量が2.43倍になっていれば、買える数量は減らないばかりか、むしろ増える計算になります。

※上記は試算であり、実際の運用とは異なります。したがって、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。

このように、投資によってお金を増やすことは、インフレ対策の正攻法だといえます。

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自分にあった投資方法を選ぶことが大事、投資方法の選択肢の一つ「ツミ活」

一言で「投資」といってもさまざまな種類があります。本記事で例示した「年3%」を確保するのも容易ではありません。

株式であれば年3%以上の配当利回りがある銘柄は数多くあります。しかし、毎年同額以上の配当が続くとは限りませんし、株価が下がることで受け取った配当額を超える損失が発生することもあります。債券投資も簡単ではありません。年3%以上の利回りの外国債券への投資であっても、外国債券には金利収入を超える為替差損が生じる可能性がある点には注意が必要です。

初心者が投資をスタートする場合、投資信託を積立投資で行う方法「ツミ活」をおすすめしています。積立投資は、毎月継続的に少額ずつの投資をおこなっていくため、株価や為替に一喜一憂することなく、タイミングを分けて投資をしていけます。投資金額を固定させれば、価格の安いときに多くの量を買い、高いときには少ない量を買う「ドルコスト平均法」が活用できます。また、投資信託は投資の専門家が銘柄を選定するため、投資家が個別の株や債券を選択する必要がありません。複数の種類の投資信託を選ぶことで、手軽に投資先を分散することもできます。

ツミ活については、別記事で紹介していますので、是非ご覧ください。
預貯金に代わる新しいお金の積み立て方、 手間なく無理なくお金に働いてもらう「ツミ活」とは?

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まとめ

2022年は大幅なインフレが起きた年になりました。各国の中央銀行は、インフレを抑えるために政策金利の引き上げに動いています。しかし、過去40年を振り返ってわかるとおり、今後も一定水準のインフレは継続すると思われます。20年〜30年後を見据えた際には、インフレによるお金の価値の下落は避けられそうもありません。日本はエネルギーや食品の多くを輸入に頼っているため、海外の物価上昇は他人事ではないことを念頭に置き、当分使う予定がない老後のための資金については、投資で増やすことを考えてみましょう

・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。

・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。

三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員

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