話題のESG投資とインパクト投資、何が違う?なぜ今注目されている?

話題のESG投資とインパクト投資、何が違う?なぜ今注目されている?

新たなファイナンスの潮流として最近注目されているのがESG投資とインパクト投資です。近年では、これらESG投資やインパクト投資の名前を冠した投資信託等の商品も販売されていることもあり、名前ぐらいは聞いたことがあるという読者もいらっしゃるのではないでしょうか。

ESG投資、インパクト投資ともに、「社会に対して良いことをする」という意味合いを持つ投資ですが、目指しているところは実は異なっています。今回は、このESG投資とインパクト投資について、それぞれの狙いの違いに着目をして解説をします。

ESGの課題を投資判断に組み込むESG投資

以下では、ESG投資とインパクト投資それぞれの意味するところを見ていきましょう。

まずはESG投資についてです。
ESG投資とは、名前の通り投資の一種なのですが、「企業や事業に投資をする際に、通常の財務情報に加えて、環境、社会、ガバナンス等に関する課題を考慮に入れて投資判断を行う」という特徴があります。

なぜESG投資と呼ばれているのでしょうか。それは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のそれぞれの頭文字をとっているからです。ESGに関する課題として、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は具体的には図表1の内容を挙げています。

図表1

出所)ESG Ratings Key Issue Frameworkを参考に三菱UFJ国際投信作成

ESG投資が普及した背景には、2005年に当時の国連事務総長だったコフィー・アナン氏が機関投資家を中心とした投資家コミュニティに対して、
PRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)
という国際的なガイドラインのコミットメントを要請したことがあげられます。*1
というのも、このPRIには、「投資分析と意思決定のプロセスに ESG の課題を組み込む」ことが言及されているからです。

  1. 私たちは、投資分析と意思決定のプロセスに ESG の課題を組み込みます
  2. 私たちは、活動的な所有者となり所有方針と所有習慣にESG の課題を組み入れます
  3. 私たちは、投資対象の主体に対して ESG の課題について適切な開示を求めます
  4. 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ実行に移されるように働きかけを行います
  5. 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために協働します
  6. 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します

このPRIに署名をしている、すなわち賛同をしている機関投資家は年々増加し、今やPRIに署名している機関投資家の運用残高の総額は2021年時点で121兆米ドルを超えるまでになっています。*2
投資におけるデファクトスタンダード的な考えになっていると言えます。
日本の投資家においても、世界最大規模の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年にPRIに署名したことで、このPRIとESG投資は日本でも注目されることになりました。*3

企業からみた場合、ESGを意識した経営を行うだけでなく、ESGに関する課題や取り組みをきちんと開示しないことが、様々なリスクと考えられるようになってきました。
投資家から自社への投資が消極的になれば、適切な条件での資金調達が難しくなるというリスクもその一つです。
ESGの課題に向き合いながら経営をすることは、今や最重要課題の一つだと言えるのです。

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インパクト投資では意図を重視する

では、次にインパクト投資はどうでしょうか。インパクト投資業界において中心的な役割を果たしているグローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク(GIIN)によると、インパクト投資は次のように定義されています。*4

「インパクト投資とは、財務的なリターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出すことを意図して行われる投資

先程見たESG投資は、投資家が投資をする際に「ESGの課題を投資の投資分析や意思決定に組み込む」というものでした。
他方、インパクト投資では、「ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出すことを意図して行われる投資」となっています。

どう違うのでしょうか。インパクト投資を構成する重要な要素としては以下の4つがあげられます。*5

  1. 意図があること
  2. 財務的リターンを目指すこと
  3. 広範なアセットクラスを含むこと
  4. 社会的インパクト評価を行うこと

この中でもとりわけ重要なのが1つ目の「意図があること」です。
つまり、インパクト投資家は、「意図」を持って社会的・環境的インパクトを生み出す投資を行うということです。
事業を通じてインパクトを起こすのが起業家だとして、起業家の意図と、投資家の意図が合致してはじめて、インパクト投資となり得るといえます。

なお、ここまで何度か出てきた「インパクト」の定義もしておきしょう。
インパクトとは「事業や活動の結果として生じた、社会的・環境的な変化や効果」のことを言います。
例えば、企業が活動をするには、ヒト・モノ・カネといったリソースをインプットして、生産活動を通じて、モノやサービスといったアウトプットを世の中に提供をすることになります。
このアウトプットを通じて生じた社会的・環境的な変化や効果がインパクトということです。

インパクト投資について、ESG投資との比較で見た場合、次のような違いがあるといえます。
ESG投資では、投資家が「ESGの課題を投資の意思決定に組み込む」ことを通じて、企業に成長とESGの取り組みを通じた社会の持続可能性への貢献を促します。

一方で、インパクト投資では、ESGの課題に取り組む企業に投資というよりは、社会的インパクトを生み出そうとしている企業に対して、投資家が意図を持って投資を行うということになります。

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(まとめ)ESG投資とインパクト投資の特徴と位置づけ

では、ESG投資とインパクト投資は全く別物かというと必ずしもそういうわけではなく、それぞれの投資に共通した部分もあります。
「インパクト投資拡大に向けた提言書2019」によれば、ESG投資とインパクト投資の類型について以下の図表3のようにまとめられています。

図表2

出所)GSG国内諮問委員会「インパクト投資拡大に向けた提言書2019」p.12(38枚目)

この図表2に則るとESG投資は以下の3つの特徴を有しています。

  • 市場競争力のある財務リターンを創出可能な案件への投資
  • 環境・社会・ガバナンスへの配慮、リスク緩和を念頭においた投資・資金提供
  • 環境・社会・ガバナンスへの取組に積極的な案件への投資・資金提供

対して、インパクト投資では、これら3つに加えて、以下の要件が必要となってきています。

  • 社会的課題解決を目的とし、社会的インパクトが把握可能な案件へ投資・資金提供
  • 市場競争力ある経済的リターンあり、もしくはマーケットレートよりも低い経済的リターン

インパクト投資はESG投資の一つの類型として説明されているケースもありますが、それは上記の図表2のように、共通の基盤を持っているからだと言えます。
実際のところ、ESG投資とインパクト投資には一部重なりあうところがあり、ESG投資でありインパクト投資でもあるという状況は存在し得るのです。

以上、今回は、最近注目を浴びているESG投資とインパクト投資の違いについて解説を行いました。
これらの投資スタイルを用いた投資信託等が販売されていることもあり、家計にとってもこれらの考え方を理解することは、資産運用の観点から重要になってくるでしょう。
是非投資を考える際には、参考にしてみてください。

*1 出所)Principles for Responsible investment 「責任投資原則2021」p.6

*2 出所)Principles for Responsible investment 「What is the PRI?

*3 出所)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 「国連責任投資原則への署名について

*4 出所)GLOBAL IMPACT INVESTING NETWORK「WHAT YOU NEED TO KNOW ABOUT IMPACT INVESTING -What is impact investing?

*5 出所)CORE CHARACTERISTICS OF IMPACT INVESTING「CORE CHARACTERISTICS OF IMPACT INVESTING-Four practices define impact investing.

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