タイトルで全て言い切ってしまいましたけど、そういうことなのです。
20代、まだ働き始めて間もない頃。
私も言われました。
誰だったか忘れてしまいましたが、オジサンから
「20代は貯蓄なんてしなくていいぞー」と。
私は今年45歳ですが、振り返ってみると、
「それは真っ赤なウソだった」
と思います。
間違いなく、貯蓄は必要です。
老後のためではなく、何かあったときの備えとして。
誰でも面倒な病気にかかる可能性があるし、誰でも歯を悪くする。
例えば私、20代で手術の必要な、ちょっと面倒な病気にかかりました。
手術費用は数十万円。
幸い日本には「高額医療費制度」という、とてもありがたい制度があり、目の飛び出るような医療費であっても、その大半を負担してくれます。
でも、本人の負担はゼロという訳ではありません、月に何万円ものお金がかかりますが、手元にお金がなければ、病院にかかることさえ躊躇してしまう。
貯蓄、しておくべきです。
でも、こう言うと、「俺は病気になんかかからないよ」と言う人もいます。
そうかもしれません。
でも実際に見渡してみると、少なくない人が、四〇代なかばまでに一度は、自分か家族か、身内の誰かは必ず、面倒な病気に遭遇してしまうものです。
私の話で恐縮ですが、周りの人々の病気を思い起こすと、
網膜の病気、脳腫瘍、白血病、大腸がん、ヘルニア、うつ、アキレス腱断裂、腎臓病、結石……
なかには命に関わる大病を患う人もいます。
これでも「大げさでしょ」と思う方もいるかも知れません。
でも、決して大げさではありません。
病気というのは、本当に誰にでも、起こり得るのです。
*
最も身近なところで言えば、「歯」の病気。
最近「歯医者さん」に行ってますか?
歯の治療って、「ちょっとした虫歯」程度なら、数百円〜数千円程度で済みます。
でも、虫歯がちょっと深くなったり、親知らずを放置して他の歯をダメにしてしまったりすると、神経を取らなくちゃならないような治療がまっています。
歯の神経をとってしまうと、抜歯まで行かずとも、通常「クラウン」と呼ばれる被せものを人工歯として使わなくてはなりません。
このクラウン。
かぶせるときに歯医者さんに言われます。
「保険内でやりますか?」と。
要するに、材料を保険内で安くあげることもできるのですが、そうすると見た目が極端に悪くなったり、歯の寿命を縮めてしまう可能性の高い材料を使ったりしなければ行けないのです。
残りの人生のQOLを考えれば、歯をできるだけ長持ちさせたいですよね。
そうなるととたんに数十万円ぐらいの請求になります。
あるいは歯周病。
厚生労働省のデータでは、*120代〜30代の2割から3割がすでに歯周病であるとされており、「完全に健全」な歯を持つ人は全体の僅か2割程度。
実は、大半の人が予備軍です。
この文章を読んでいる方も、歯医者さんに久しく行っていない、という方がいたら、是非歯医者さんに行ってください。
もしかしたら、深刻な事態になっている可能性もあります。
実は「歯科」は予防が本質的には重要であり、異状がない(と自分で思っている)ときにこそ、歯科に通うことが非常に重要なのです。
しかし、予防診療はお金がかかります。
保険が適用されず、1回に数千円程度。
さらに「歯周病」と診断された人は歯並びが悪いことも多く、そうなると「矯正」という話になりますが、これはとても高額になる可能性があります。
「貧困は歯にでる」と言われることもあり、一定のお金がなければ「口腔崩壊」にもなりかねません。*2
経済的事情から、医療機関への受診抑制が起こっており、特に生命の危機には ほとんど直結しない歯科での受診抑制は、医科よりも大きな影響が出ていると言われています。 かかりたくてもかかれない状況が生まれ、口腔内の健康が急激に失われています。
貯蓄、しておくべきです。
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それは本当に「自己投資」なのか?
「いやいや、健康が重要なのも知っているけど、「20代のうちにやっておくべきこと」も重要でしょう?」という方もいます。
でも、私はそういう方に聞いています。
「自己投資って、そんなにお金がかかるのでしょうか。」と。
そうすると「英会話」とか「本」とか、人によっては「ジム」とか「セミナー」とか、そんな話がでてきます。
ただ、オンラインの英会話なら、月に数千円で済みますし、そもそも無料のコンテンツも溢れています。本はまず図書館で借りればいいですし、古本ならかなり安く手に入ります。
ジムは本気でボディビルディングをやるなら必須ですが、「ちょっと鍛えたい」という程度であれば、そのへんを走るだけでも十分です。
そもそも社会人は「お金を払って勉強」ではなく「お金をもらって勉強」をするほうが良いでしょう。なので、勉強やセミナーに参加するより、副業や商売をするのはどうでしょうか。
自分で物を売ってみるほうが、遥かに勉強になるものです。
あるいは「20代じゃないとできない経験がある」と、様々な体験をもとめて旅をしたり、様々な交流会に参加したりする人もいます。
「20代じゃないとできない旅」が本当にあるのかどうかは疑わしいですが、仮にそうであっても、そのような旅に、お金は必要ないのではないでしょうか。
「お金が必要な旅」は、お金を稼ぐ力がついたときで良いはずです。
あるいは交流会。
はっきりいいますが、何の実績もない20代は、参加するだけ無駄です。
キラキラした世界に憧れるより、絶対に仕事を頑張って成果を出したほうがいい。誓って言えます。
*
要するに、ほとんどの「自己投資」と呼ばれているものは、「浪費」を体よく言い換えたものに過ぎない、ということです。
それなら「貯蓄」は、しておいたほうが絶対に良い。
万が一のときに思うのは、「健康にまさる自己投資はない」という事実です。
話がそれました。
要するに「自己投資」は、多くのケースで本質的には投資ではない、と思ったほうが良いでしょう。
むしろリフレッシュのための「浪費」と割り切って行うほうが、抑制が効く分だけ、まだ良いと思います。
だからこそ「浪費」は、貯蓄を行ったあと、余ったお金で計画的に行うべきです。
甘言にのせられて、万が一のときのお金がないのは、本末転倒です。
20代であっても、手元には「3ヵ月分の生活費」は残しておきましょう。
本当に、安心感が違いますから。
*1 出所)厚生労働省「歯周疾患の有病状況」
*2 出所) 全日本民主医療機関連合会「口から見える格差と貧困」